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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十一話「血の契約と口約束」

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報告相談

「なるほど、大筋の流れは理解した」


その日の午後、康太と文、そして倉敷は小百合に今回の件の報告をするべく小百合の店にやってきていた。


当然のようにそこにいる小百合と、偶然そこにいた真理にも事情を話してこれからの対策を具体的に決めておこうと思ったのだ。


大体本部に出す条件に関しては固まってきている。あとは康太の準備とどの期間に依頼を持ってくるかを決めるだけだ。


「お前としてはもう腹は括ったようだな。それで?何時頃報告に行く?」


「こっちの準備というか決めることが決まったらすぐに伝えに行こうと思います。具体的な依頼の開始は今度の三連休にしようと思ってます。それなら多少は融通が利きますから」


九月にある三連休。もし依頼が無駄に長引いたとしても三連休を用いれば多少の余裕は出てくるだろう。


康太としてはせっかくの三連休を潰すのは正直避けたいところではあったが、これだけの大事になってくるとそう簡単にはいかない。ある程度こちらも身を切る必要があるのだ。


「なるほど・・・それで依頼に連れていくのはお前含めて四人か」


「はい、俺と姉さん、文と倉敷の四人です。本当なら師匠にもついてきてほしかったんですけど・・・」


「私はまず無理だろうな・・・真理に関してももしかしたら難しいかもしれん。そのあたりは留意しておけ」


エアリスと同じような考えを小百合も抱いていたのだろう。難しそうな表情をしてから真理の方に視線を向ける。


康太と別行動をさせるために別件を小百合に直接依頼する可能性は高い。そして真理も同様だ。余計なことを吹き込まないようにある程度経験も実力もある人物を引き離しておくのは常套手段と言えるだろう。


こちらの戦力がある程度把握されている以上、相手がそう言う手段に出ることは不思議ではない。最悪康太と文、倉敷の三人で挑まなければならないだろう。

そうなってくると文の負担がかなり多くなるが。


「装備などは好きに持っていくといい。詳しい内容を本部の連中から聞き出したら準備に入れ。それでまだ決めることはあるか?」


「今のところ思いつかなくて・・・とりあえずさっき言った条件で師匠が問題ないと思うのであれば協会の方に足を運ぼうかと」


康太が先程言った条件というのは今回の依頼を受ける上での条件の話だ。


具体的には依頼の日程。康太の持つDの慟哭の稼働試験とその条件。そしてそのDの慟哭が相手に通用しなかった場合の対処。さらには依頼に連れていく協力者。今のところ康太たちが考えたのはその四点だ。


いろいろな人から意見を聞いて考え付いた意見なだけに小百合もそこまで反対意見を出すつもりはないようだった。


「問題はないだろうが・・・そうだな・・・あともう二、三点付け足すとすれば・・・まず作戦のスケジュールの把握、そして作戦実行のタイミングをある程度お前が決めることができるようにすることだな。向こうが決めたスケジュールに全て従うというのはリスクがある」


今回の依頼の主導権はあくまで本部の魔術師たちにある。そうなると康太が現地に行ってすぐに作戦が開始されるという風にされる可能性がある。


康太としても心の準備や休息やらやりたいことはある。ある程度我儘を通せる立場にあるのだから理由をつけてスケジュールを調整できるだけの権限を持っておいても損はないだろう。


「ついでに現地での軍資金、そして通訳なども用意させておけ。三日間はイギリスで行動することになるだろうから最低限生活できるだけの環境を整えさせておくのも必要だな」


向こうはそう言ったことはやっておくようなことは言っていたがあらかじめ明言しておくようにと小百合が言うと、康太は小百合のアドバイスを一つ一つメモに記していた。


人格はいろいろと破綻している小百合だが、こういった面倒事に関しての対処は康太も目を見張るほどの手際の良さを誇る。康太が思いつかなかった、そして考えも及ばなかったことを次々と出してきてくれるのだ。


こういう時に師匠という存在はありがたい。だからこそ本部側は師匠である小百合を康太から遠ざけようとしているのだろう。


「それに、作戦決行時にどのような形で本部の魔術師たちが行動するのかも確認しておくのも必要だろう。もし相手が康太たちを裏切るような形で行動することがないようにしておく必要がある」


「それって聞く必要ありますか?裏切るような行動を相手に教えるとは思えないんですけど」


「そう言う行動をとるものはいないと明言させておく必要があるんだ。もし仮にそう言う行動をとらせようとしていたのであれば牽制にもなるし、勝手に動いたという方便を使ったとしても責任をとるのは責任者だ。基本的に上層部というのは責任をとることを嫌う」


仮に相手がそう言う事を考えていなかったとしても、そして明言したうえでそう言う行動をさせようとしたとしても、依頼として記録する以上は嘘偽りなく記録に残る。


その場合意訳しようのない形でそのような考えはないと明言させておく必要があるのだ。


相手の魔術師がどのような形で行動するかを把握しておくのは間違いではないだろう。もし仮にその行動にそぐわぬ行動をしているところを発見すればそれだけ異常の発見を早めることもできる。


康太たちが行動するうえで安全を確保するためのちょっとしたテクニックのようなものだと考えればいいのだろう。


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