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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十話「古き西のしきたり」

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不穏な状況

翌日、康太たちはトラックに乗り込んで移動を開始していた。向かう先は今回の商談先である土御門の家系の下だった。


魔術師としての土御門の本家はどうやら京都のほぼ中心に近い場所に位置しているらしいが、今回の商談先はそうではないらしい。むしろ職人気質な人間らしく人の少ない場所を選んでいるらしかった。


「京都の都心じゃないんですね・・・もうちょっと端の方のホテルにすればよかったんじゃないですか?その方が楽なんじゃ・・・」


「そうでもないぞ。一、二時間程度で行ける中では一番安いホテルだった。そもそもあっちの方は人気も少ないしホテルもない。駐車場もほとんどないんだ。面倒だがこういう行き方になるのは仕方がない」


京都と言えど全てが都会なわけではない。ある程度木々に囲まれた場所もあり、所謂田舎のような場所だって存在するのだ。


今回向かっているのはそう言う場所だ。車で進めば進むほど、徐々にではあるが人の往来が少なくなっていくのがわかる。


ある一定時間移動し、あと少しで到着するという頃、康太たちはある視線を感じ取っていた。


「またですか・・・一応妨害しておきますか?」


「その必要もないだろう。もうすぐ到着する。すでに話は通してあるんだ。こっちから出向くのはわかっている。この辺りで見張っている連中くらいには話を通してあるだろう」


小百合は楽観視していたが康太と真理は気が気ではなかった。なにせいざとなったら自分たちがどうにかしなければならないのだ。


「姉さんいいんですか?見られてるって地味にうざいんですけど」


「とりあえず敵意は無いようですし・・・放っておきましょう。問題があるならそれから対処すればいいだけです。ただ覚悟は決めておいてくださいね」


「了解です」


康太も真理もすでに何時戦闘が行われてもいいように身構えていた。そんな中康太たちが目的とする家が見えてくる。


周囲に他の家は無いが、今まで見てきた家の中でもだいぶ大きな方であるというのは一見して理解できた。


平屋のようだったが周囲が大きな塀で囲まれている。康太は小百合の師匠である智代の家を思い出したが、彼女の家よりも一回りは大きいだろうか。


「・・・どういうことだ・・・?」


「え?どうしたんですか?」


到着したのはいいのだが、小百合の表情は険しさを増していた。その時点で康太と真理は嫌な予感がしていたが小百合が急いで運転席から降りたのを見てただ事ではないのを察し、康太と真理は急いで小百合の後に続いた。


三人が高い塀を飛び越え敷地の中に入ると康太はその様子を確認することができた。門の向こう側、平屋のある家のところどころに戦闘の痕跡があるのだ。


一体何があったのか、それを確認する前に康太と真理が同時に反応した。


一番先頭にいた小百合めがけて放たれた魔術、そして小百合めがけて斬りかかる魔術師。


それぞれ真理が障壁を展開、康太が刃を槍で受け止めることで防いだが、自分たちに誰かしらが攻撃を仕掛けてきたのは明確だった。


「なんだお前ら!いきなり何すんだこら!」


「それはこっちの台詞や!いきなり攻めて来ておいて何様やこら!」


康太は槍を操り相手の刃を弾くと小百合を守るように体を前に出した。


真理の視界の先にも一人の魔術師がいる。それがどういうことなのか康太と真理は理解していた。


二人の魔術師がこちらを攻撃してきた。どの家の誰なのかは見てもわからないが、それでも攻撃対象になったのは間違いない。


康太と真理が攻撃態勢に入る寸前、小百合は悠々と建物の方へと歩いていった。


「おいコラ!止まれや!」


「・・・おいそこの。もしかして晴か?」


晴と呼ばれた刀を持った少年は小百合の顔を見て目を丸くする。何故この人物が自分のことを知っているのか分からなかったのだ。


「なんやお前・・・何で俺のことしっとんのや・・・」


「・・・そうか・・・という事は向こうのは明か・・・ずいぶん大きくなったものだ」


「・・・師匠、ひょっとして知り合いですか?」


「あぁ・・・一度矛を収めろ。状況が知りたい。昭利さんはどこにいる」


小百合がその名を呼んだことでこちらに攻撃してきた魔術師二人は事情が把握しきれていないのかどうしたものかと悩んでいるようだった。


二人が行動を停止したのを見て小百合はため息を吐きながら家の中に入っていく。


「昭利さん!藤堂です!注文の商品を受け取りに来ました!どこにいらっしゃいますか!」


部屋の中にも届くように大きな声でそう叫ぶと、奥の方から一人の女性がやってくる。その肩は負傷しており、僅かに血がにじんでいる。


「・・・あぁ・・・小百合ちゃん・・・ごめんなさいこんな姿で・・・」


「詩織さん・・・お久しぶりです・・・一体何があったんですか・・・?真理、治療を」


「は・・・はい!」


どうやらこの家の人間なのだろう。そして小百合は真理に治療をさせると同時に先程晴と明と呼ばれた魔術師二名の方を向き舌打ちをする。


「晴、明、何を突っ立っている。他にも負傷者がいるだろう!全員ここに集めろ!」


「は・・・はぁ!?何でそないなことお前に言われな」


「話にならん・・・康太、周りにまだ負傷者がいる。たぶんかなりの数だ。探して連れてこい」


「了解です。おらいいから手伝え」


「な・・・なんなんやお前ら!」


「晴・・・今は手伝っといたほうが・・・」


どうやらこの二人も事態を正確に把握していないのか、かなり慌てているようだった。だが今は慌てているような時間もない。康太は二人を連れて周囲にいると思われる負傷者を探し始めた。


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