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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十話「古き西のしきたり」

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魔術のルーツ

途中、高速道路に入る前にコンビニによって必要そうなものを買い出してから、小百合の運転するトラックは高速道路に入り本格的な移動を開始していた。


こうなってくると本当にできることはない。たまにパーキングエリアによって土産物を見たりトイレや軽い食事を楽しむくらいしかやるべきことはなかった。


康太と真理はゲームをして遊んでいたが、車に乗りながらゲームをするというのは地味に酔いやすい。


二人とも車に酔うようなタイプではないが、長時間車に乗ることが確定している中でゲームをやり続けるというのもなかなかにリスクが高い。


どうしようもなくなった時のためにゲームは温存し、それまでは適当に会話をして時間を潰すことにしていた。


「そう言えば姉さん、前に話してた魔術のルーツの話なんですけど」


「あぁ、そう言えばそんなこと話しましたね。それがどうかしたんですか?」


「えっと、その魔術のルーツの話がちょっと気になって。西の方で四法都連盟ができたのとなんかつながりでもあるのかなと・・・」


康太が疑問に思っていたのは先日の魔術のルーツと西の方に魔術協会に所属していない魔術師が多いことの関連性に関してだった。


正確には四法都連盟の誕生と魔術のルーツがどのようにかかわってくるのかが知りたかったというのもある。


もちろん魔術そのもののルーツに関しても知りたいという気持ちがあるのも否定できない。


「ではお教えしましょう。まずは私達が使っている魔術の大まかなルーツについてです。現在多くの魔術師によって使われている魔術は大きく分けて四つに分けられます。ヨーロッパ系、アジア系、アメリカ系、アフリカ系です」


「・・・地域によって区別されてるんですか?」


「もちろんあくまで大きく分けてですので詳細は異なりますが、とりあえず先にあげた四つの地区によって魔術に特色ができているんです。要するに各地で魔術が作られ、各地それぞれの特徴を持った術式が生まれたという事ですね」


「住んでる場所が違えば、その場所に住んでる人が作る魔術も違ってくるってことですか?」


「そう言う事です。魔術が非科学的、非日常的、超常的なものであろうとそれらを生み出したのは人間です。人が自らが行いたいと思った内容や事柄を達成するために作られたのが魔術です。地域ごとにそれらが異なるのは当然ですね」


真理のいうように、魔術の術式はすべて人間によって作り出されたものだ。その種類や効果に千差万別の違いがあろうとも、生み出したのが人間である以上それを生み出す理由というものは存在する。


ただ単に研究目的で作り出したという魔術もあるだろうが、大抵の魔術は特定の状況を楽に行うためのものだ。


誰かの傷を癒したり特定のものを動かしたり火をともしたり力を強くしたりと、何かを目的とするには原因と理由が必要なのだ。


そしてその二つは地域や時代によって大きく異なる。その為現在使われている魔術は大きく分別して四つの地域によって分けられているのだ。


「ちなみにその地域ごとの特色ってどんな感じなんですか?」


「大まかな特色ですけど、ヨーロッパ系は現象を操ったりする魔術が多いですね。火を起こしたり物を動かしたりと、外的要因を作り出す魔術が多いです。イメージしやすいあからさまな魔術と言えばわかりやすいでしょうか」


ヨーロッパ系の魔術はいかにも『魔術』らしい魔術という事らしい。確かに火を起こしたりしていれば魔法や魔術の類であると一見してわかるかもしれない。ヨーロッパ系の魔術はそう言ったいかにもな魔術が多いのだろう。


「対してアメリカ系は先住民の方が作り出した呪術系、つまり対人用の魔術と移民の残した現象系の魔術が混ざり合った特殊な形態を作り出していますね。対人特化の魔術が多いのが特徴です」


「あー・・・そっか、もともとアメリカってイギリスとかからの移民の人たちの集まりでしたっけ・・・」


アメリカはもともとイギリスの植民地から発展した国だ。原住民との争いや元の国であるイギリスとの衝突を何度も繰り返すことで現在の地位を確立した特殊な国と言えるだろう。


対人用の魔術というと康太はイメージするのが難しかったが、それでも特殊性はなんとなく理解できた。


「そしてアジア系、これはかなり特殊な部類で未来予知や他者への認識や無意識の干渉に非常に適しています。第三者への意識的な介入に加え、動物などを操ることもできます。康太君が覚えた暗示の魔術も元をたどればアジア系のグループに属しているんですよ」


「へぇ・・・ていうか未来予知の魔術ですか。今まで聞いたことはありましたけど実際に見たことはないですね・・・」


「そう、未来予知の魔術はだいぶ昔からあったんですよ?昔はただの占いと混同されていたらしいですが、一部の魔術師はそれを利用して特殊な地位を築いたりもしていた者なんです。日本でも有名な職業がありますよ?」


未来予知を使った職業などと言われても占い師以上の事は思い浮かばなかったが、それは現代に限った話だ。


だが現代ではなく昔の話であればその条件にあてはまる職業を康太は思い浮かべることができた。


「・・・あ、ひょっとして陰陽師ですか?」


「正解、その通りです。ここまで言えば何故四法都連盟と魔術のルーツが関係があるかがわかるのではないですか?」


アジア系の魔術のルーツ、そして四法都連盟が何故日本の西側にあるのか。そして何故魔術協会の所属の人間が西には少ないのか。康太は点と点が線で繋がったのを確信していた。


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