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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
九話「康太とDの夏休み」

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事前の根回し

「とりあえず渡すものは以上だ。お前達から何か質問は?」


一度話を切り上げてコーヒーを入れ始めている奏を見ながら康太たちは思案を始めていた。


「移動手段はどうしましょう?現地までは電車と・・・バスかタクシーを経由することになりそうですけど・・・」


今回の移動先を考えると電車を使ってライブ会場まではバスかタクシーを使う以外に方法はなさそうだ。


協会の門を使わせてもらえるのであればもう少し移動手段も短縮できるかもしれないが、どちらにしろ途中でタクシーなどを使わなければいけないだろう。


「移動に関しては門を使って最寄りの教会まで移動しろ。そこから先はお前達の自由だ。あらかじめ教会の場所を調べておけ。そうすればスムーズに移動できるだろう」


「ライブの前日から現地に向かったほうがいいですか?それとも当日でも問題ないでしょうか?」


「それも好きにしろ。ただ護衛対象が現地入りするのは前日からだ。リハーサルなどもあるらしいからな。ホテルの予約も護衛対象のスケジュールにあわせてある」


移動をスムーズに行うためと護衛をしっかり行うためには前日から現地に行っていた方がいいように思う。


なにせ今回の依頼内容は一応護衛という項目も入っているのだ。個人を守るためにはその人のスケジュールに合わせたほうがいいように思う。


「じゃあ今回は前日には現地に行っています。あとスタッフの方に話をしてあるとのことでしたけど・・・私たちがその協力者であると証明するものとかって必要じゃないでしょうか?」


「そうだな・・・私の名刺と紹介状を書いておこう。護衛対象のマネージャーに見せれば話を通してくれるはずだ」


奏は二人に自分の名刺を渡すと同時にパソコンで何やら書状を書き始める。印刷した後に自分のサインとハンコを押して本人が書いたものだという事を証明するとそれを封筒に包んで康太に持たせた。


これで現場に行ってもある程度協力は取り付けることができるだろう。ついでにこれまで起きた妨害に関しての情報も手に入るかもしれない。


「一般客に対する対処は主にライブ当日に行われるとして・・・一応スタッフの人にも気を使っておかないとな・・・」


「そうね。同じ場所に留まるっていう意味ではお客さんもスタッフも大差ないし。そのあたりは私が注意しておくわ。情報収集とかは任せる。あと準備もしておかなきゃね」


「そうだな・・・でも方陣術使って何の術を発動するんだ?魔力の探知?」


文が魔力を探知できる魔術を修得しているのは康太も知っていたが、それを方陣術で発動することができるのだろうかと疑問に思っていたのだ。


方陣術はあくまで術を遠隔で勝手に発動するためのもの。探知そのものを行うことができるのか、そしてその探知魔術を自ら知覚できるのか少しだけ疑問だった。


「探知系の魔術は遠隔だとあんまり意味ないわ。今回方陣術で使うのは補助の魔術ね。探知の魔術をやりやすくするためのものよ」


「補助魔術・・・どんな感じのなんだ?」


「そうね・・・探知魔術っていうのは大抵一定空間内に術を満たすことで効果を発揮するんだけど、今回発動する方陣術はそれをやりやすくするための術式なのよ。要するに軽負荷で広い空間を索敵するために使う術式ってこと」


今まで探知魔術に関しては全くその内容を知らなかったために康太としてはそう言うものなのだな程度にしか思わなかったがここで一つ疑問がある。


負担を減らすために術を増やすというのは結局のところ総合的にかかる負担的にはどうなのだろうかという話だ。


「へぇ・・・でもその分負担も増えるんじゃないのか?使う術が増えてるわけだし」


「だから方陣術を使うんじゃない。魔力さえ用意すれば勝手に術を発動してくれるからそれなら負担自体はほとんど変わらないのよ。そうすれば比較的楽に魔力探知ができるってわけ」


今回は探知範囲が地味に広いからねと文は苦笑しながらため息をついて見せる。

方陣術は魔力を流し込むと発動する術式だ。発動さえ行ってしまえばあとは記された術式が勝手に術を発動してくれる。


その為術者の負担は発動する瞬間にしかない。今回のように広範囲を発動する場合であれば初動魔力さえ用意してしまえば勝手に発動してくれる方陣術の方がずっと楽に発動できるのだ。


「康太は探知系の魔術は全く覚えていないんだったな?さすがに一つくらいは覚えておいた方がいいと思うが・・・」


「そうなんですけど・・・まだ覚えておかなきゃいけない魔術が多くて・・・そう言うのはどうしても後回しになっちゃうんですよね・・・」


「それにこいつの場合気配とか視線とかでなんとなく敵がいるかどうかがわかるらしいですから、最低限探知はできると思っていいと思いますよ?」


日々の鍛錬のたまものか、単純に小百合に叩きのめされ続けて身についた防衛本能か。どちらにしろ康太はある程度の敵意であれば感じ取れる。


そう言う意味ではすでに探知用の魔術を一つ覚えているのと変わらないように思えるが実際の性能は探知魔術の方が圧倒的に上だ。


両方身に着けておけばそれだけでだいぶ楽になるのは言うまでもない。


何かしら探知を覚えておけば今後役に立つだろうが、まだまだ覚えることが山ほどある康太にとって探知魔術はどうしても後回しになってしまうのだ。


こればかりは時間をかけて覚えていくしかない。半年程度で学べるようなものではないため仕方がないというものだろう。


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