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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
七話「破壊の源を与えたものたち」

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装備の特徴

夜遅く、完全に太陽が落ち周囲の建物から煌々と明かりが放たれる中康太たちは行動を開始していた。


奏の会社のあるビルの屋上でそれぞれ魔術師装備を付け周囲の様子を眺めていた。


すでに時刻は二十二時を回ったというのに街の明かりは一向に落ちる気配がない。もちろん少なくなりつつあるがそれでも周りを見渡すのに苦労しないレベルの光源が確保されているのだ。


これではまともに活動できるとは思えない。


「うわぁ・・・この時間でも普通に明るいってどういうことだよ・・・さすが東京」


「あぁそうか、お前達は普段こういう光景はあまり見ないだろうな・・・基本的に東京では屋外での戦闘はまずできないと思え。大抵どこも監視カメラが仕掛けてあるし、何より比較的明るい。深夜になればもう少しましになるんだがな・・・」


どんな店でもあると言っても東京にだって限度というものがある。深夜になればほとんどの店は閉まり街の光もかなり抑えられるがそれでも康太たちの暮らしている場所に比べれば明るすぎる。


こんな場所でこんな格好をしている人間がいたら即刻SNSなどでさらし者にされるだろう。運よくそう言った目をかいくぐれたとしても警察官による職務質問が待ち構えているのは言うまでもない。


「こんなに明るくてどうやって行動するんですか?こんなんじゃすぐ見つかっちゃいますよ・・・」


「わざわざ道になんて出るわけがないだろう?建物から建物に飛び移るんだ。その程度はできるだろう?」


普通の人間なら自殺行為につながるような事だが、康太たちは魔術師だ。一応康太も空中歩行くらいはできる。そう言う意味では運が良いと思うべきだろうか。


だが今までこれだけの高さのビルから飛び降りたことも、そしてこれだけの高度で魔術を使ったこともない。


まともに魔術が発動できるかと少しだけ不安になっていた。


「目的の建物まで・・・およそ十五分といったところか。それまでに体を温めておけよ?それなりに戦うことになるんだ」


「構いませんけど・・・姉さん、大丈夫ですかね?写メされたりしないでしょうか?」


「私達は建物からの移動をしますし、何よりローブも黒いです。夜空の保護色になって普通の人には見えないでしょう。それに私たちが飛び移るタイミングでわざわざビルを見上げる人がいるとも思えませんし」


「そうだよ、大抵はスルーされるって・・・えっと・・・ブライトビー・・・であってたよね?」


「あ・・・はい。俺はブライトビーです・・・姉さんと師匠からはビーと呼ばれてます」


「それじゃあビー、僕はバズでいいよ。サリーはなんて呼ばれたい?」


「サリーで構わん・・・にしてもブライトビーか・・・まぁあいつのセンスにしてはましな方か・・・」


それぞれの術師名を理解したところで康太はそれぞれの恰好を見比ていた。


真理の魔術師姿は見慣れたものだが、奏と幸彦の姿は今まで見たことがない類のものだった。


まず魔術師のローブに幾つか装飾というか装甲のようなものが取り付けられているのだ。そして仮面を見てもどこか違和感を覚える。


奏の仮面はとてもシンプルなのだが、ところどころに装飾が施されている。植物をモチーフにしたのだろうか、絵柄のようなものが入っているのが印象的だった。


幸彦の仮面は見た目からしてごつい。一瞬ロボットの顔ではないかと見間違えてしまったほどだ。男の子の好むデザインではあるが一見するとコスプレのようにも見えてしまう。


二人の術師名はそれぞれサリエラ・ディコルとクレイド・R・ルィバズ、それぞれサリーとバズという愛称で呼ばれているらしい。


今までのような名前呼びでないために少し戸惑うがこれも魔術師としての作法だ、慣れるしかない。


「蜂をモチーフにしているのになぜ槍は竹のような形をしているんだ?何か意味があるのか?」


「あー・・・まぁこれも師匠の用意してくれたものですけど・・・魔術師とか魔法使いって箒を使ってるイメージがあるじゃないですか。その擬態用というかなんというか・・・」


康太の使っている槍が術師名に関係あるからという事ではなく、ただ単に小百合の趣味ということに奏は若干呆れているようだった。


「魔術師にとって名前と仮面、そして装備は唯一と言ってもいいほどの判別方法だ。何かもう少し自分なりに用意したほうがいいぞ?」


「・・・つまりおしゃれするってことですか?」


「おしゃれ・・・まぁそう言ういい方もできるかもしれないけど・・・パッと見でわかるようにするっていうのも大事なことだよ?仲間との連携を取るにしても、敵味方を分けるにしてもね」


魔術師は基本的に顔を見せない。その為仮面と装備でしか個人の判別ができないのだ。


だからこそ自分の仮面と装備には気を使い、分かりやすいデザインをすることで個々人の判別を容易にする。


もちろん目立ちすぎるのは厳禁だが、それでも魔術師に許された唯一の判別方法だ、可能な限りわかりやすい方がいいのである。


「でも蜂ってどうすればいいのか・・・槍を針っぽくするとかですか?」


「そう言うのではなぁ・・・どうせなら防具でも着けたらどうだ?ハチの巣の六角形の構造ならパッと見蜂っぽいだろう」


自分の装備を自分でそろえる。そしてアレンジするなど考えても見なかった。康太は自分の装備を見ながらどうしたものかと悩み始めていた。


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