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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
番外編「祝福された少女が望むもの」

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いろいろな可能性

「この依頼の形から察するに、運搬と戦闘の二通りの状況が発生してるわけでしょ?それをあたしたちになんで依頼したのかってことになるけど、支部長のところも監視されてて、なおかつ発言も意図的に注意してるみたいだった」


「うん、なんか警戒してるっぽかったよね。監視されてたって考えたほうがいいよね?」


「まず間違いないとおもう。でもどこからかっていうのはわからない、支部のも人はたくさんいるから・・・」


「圧力をかけようとしてるのは間違いなくて、さらに支部長がその圧力に負けるってなれば、本部説濃厚、全他支部の合同の圧力の可能性もあり?」


「その可能性は否定しきれないけど、でもそこまで支部長が恨まれてるってことも考えにくいと思う。あるいはあたしたちが憎まれてる?」


「私たちまだ高校生だよ?そんな恨んでる人いるかな?」


「あたしの師匠は恨まれてると思う。回り回ってそういうのがこっちに来てる可能性は高いよ」


「あー・・・そっちか。そっちの可能性は考えてなかったね」


今回の依頼が神加たちを目的にしているのではなく、神加を経由して小百合に何らかのアプローチをかけようとしているのであれば話は変わってくる。


例えば指定した時間に神加を呼び出して、小百合が一人になったところを襲うなどの作戦が考えられていた場合、神加をその場に向かわせることそのものが目的であるということになりかねないのだ。


戦闘が想定されるのはあくまで神加の足止めのため。支部長が圧力をかけられてなお屈したのは、被害に遭うのが小百合であるということを考えた結果かもしれない。


小百合ならばなんとかするだろうという信頼があるからこその圧力への無抵抗の可能性も十分にあり得る。


「私たち自身を巻き込んだのはあくまでその状況を作るためってことか・・・でもさ、言っちゃなんだけど・・・私たちってそれなりに強いじゃん?」


「うん、自分で言うことでもないかもしれないけど」


神加と詩織は通常の魔術師よりも数段高い戦闘能力を有している。


二人とも子供のころからずっと鍛えられてきているのだ。もちろん本格的な指導に入ったのは数年前からだが、それまでの長い間に基礎は出来上がっている。


基礎から発展した応用の技術は非常に高い。特に戦闘においては彼女らの右に出るものは数限られる。


「本気の私たちを足止めできる人たちっていうと、なかなかいないよね?それを考慮するとさ、本部が出張ってくる可能性もあるってことかな?」


「・・・あるいは・・・あるいは、こういう依頼がいくつもほかのところにも出てる可能性はない?」


「他の人にってこと?」


「日本支部だけじゃなくて、他の支部にもってこと。うちだけじゃなくて他の支部も考えていいのなら強い人はたくさんいる。そうなってくると・・・」


「・・・そこまでするかな・・・?いやでも小百合さん相手だとそこまでしてもいいのかな・・・?」


「本部がどれくらい本気かはわからないけどね。いやそもそも本部が相手なのかもまだわかってないけどさ」


相手がどれほどの勢力なのか、そしてどのような動きをしているのかがわからない以上、今の内に可能性はすべて上げておくべきである。


どのような状況になっても対応できるようにするにはそれ以外に方法がない。


「あとは一緒にくる人たちが実は敵だった的な。十分あり得ると思うよ」


「確かに。だまして悪いが仕事なんでなって感じ?」


「そうそうそれそれ。でもさ、考えてもみたらさ、一緒にくる人は間違いなく日本支部の人間でしょ?それなら相手になってもそこまで苦労は・・・」


「詩織、相手を過小評価すると痛い目見るよ?この間のこと忘れたの?本部の人間が来る可能性だってあるのよ?」


「う・・・そうでした。でも仕方なくない?少人数だった場合、私たちの相手をするのって大変だよ?」


「・・・支部長は少人数とは言ってなかったよね・・・しかもあの言い方からすると・・・協力はしてくれない」


「・・・数の利で押し潰そうってこと?」


先ほどまでの穏やかな雰囲気から一変、二人の視線が鋭くなり、言葉も重く、静かになっていく。


味方である人物がどの程度の人員なのかも不明。味方ではないのも確定。となればどうなるかは想像に難くない。


「想定は十人くらいにしておく?」


「二十人くらいにしておいてもいいんじゃない?神加ならそれくらいは捌けるでしょ?」


「相手のレベルによるわよ。あたし姉さんや兄貴みたいに強くないんだから」


「またまた、謙遜しちゃって。真理さん言ってたよ?神加さんはうちの弟子の中では一番の優等生だって」


「もう・・・姉さんは調子のいいことばかり言って・・・」


兄弟子である真理に評価されるのはうれしかったが、過大評価されるというのもなかなか複雑な気分である。


特に今回のように面倒な状況においては相手を過大評価し、自分は過小評価しておくくらいがちょうどいいのだと神加は考えていた。


自分より強い人物は山ほどいるのだ。そんな中で、自分の実力などは大したことはないと神加は考えている。


その考えは詩織も理解しているし、その考えも納得できるものだ。だが今回の相手がどの程度なのか測りかねている状況では、どうしても自分たちの周りと比べてしまうのは仕方がない話なのかもわからない。


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