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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
番外編「祝福された少女が望むもの」

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相談と作戦会議

「戻りました!」


「お邪魔します!」


二人が同時に駆け込んできたことで、小百合は眉を顰め舌打ちをしながら神加たちの方を見る。


「何時だと思っている。もう少し静かにしろ」


「ごめんなさい師匠、依頼が入りました。ちょっと下にこもりますね!」


「すいません小百合さん、お邪魔しまーす」


神加だけではなく詩織までやって来たことに目を細め、なおかつ依頼が入ったということも言われればさすがにそれ以上追及することは小百合はしなかった。


だが支部長に呼び出されてから協会に足を運び、そして依頼を受けたということからまた面倒ごとの類だろうと小百合は考えていた。


その考えは実際的中しているわけだが。


「で、話を整理しようか」


神加は地下にある作戦会議室を模した場所にやってきて、詩織と話を進めることにした。


大きな机や椅子、そしてホワイトボードやスクリーン、パソコンなど、会議に必要なものはおよそすべてそろっている。


この場所は一時期家具やインテリア関係の作成にはまっていたアリスが作ったものである。作戦会議や依頼などの情報整理にこの場所は非常に適していた。


「まず依頼内容。この封筒を所定の時間、特定の場所まで届ける。これに関しては特に問題はないと思うの。私たちじゃなくてもできるような内容だと思う」


そう言いながら詩織はスクリーンで所定の場所の地形データをネットで調べて投射する。


そこは一見すると田園地帯のように見えるが、ところどころ小さな雑木林なども存在している。


その中にある山のふもとにある場所が今回の目的地に指定されているようだった。


「場所的にはどう思う?一般人の目は少なそうだけど」


「一般人は少なそうだけど遮蔽物が少ないのはあんまりよくないと思うわ。こっちも見通しがいいけど、逆に相手からも見つかっちゃう」


「・・・敵がいるって考えてるよね?」


「支部長のあの反応からして間違いないでしょ。私たちが呼ばれてる時点で戦闘の可能性はかなり高いけど・・・今回はただでさえ訳ありっぽいし」


支部長が何らかの圧力をかけられているということが判明している時点でただの依頼ではないことはほぼ確定している。


そんな面倒そうな依頼内容で戦闘が発生しないという確率の方が低かった。


「この封筒の中身に、それだけ面倒な状況でも届けるだけの価値があると思う?そもそもわざわざ届けるっていうのが微妙じゃない?」


「それをあたしたちに預けてるっていう意味でもね・・・これは勘だけどさ、たぶんこれを届けること自体が目的じゃないと思うのよね」


「それは私も思った。これ、私たちをこの場所におびき寄せるためのものって考えたほうが自然だよね。罠とか?」


「否定はできないけど支部長がそういう依頼を承認するとも思えないのよね。あたしたちを敵に回すだけのデメリットがメリットを上回るっていうなら話は別だけど・・・あたしたちを敵に回した場合、同時にかなりの人が敵に回るから」


「うちの師匠も神加の師匠も含めて一派全員の可能性も出てくるもんね。それは確かにかなり大きいデメリットになるよね」


「だからあからさまな罠は仕掛けないと思うのよ。どんなって言われると答えにくいけど」


神加も詩織も魔術協会からの依頼に加え、身内からの依頼を何度かこなしているからか、依頼に対する嗅覚というものは身についている。


支部長の反応があからさまに妙だったために経験が薄い彼女たちでも問題なくその違和感を嗅ぎ分けることができていた。


少なくとも現状、このままただ盲目的に進めばあまり面白い結果にはならないだろうということはわかっていた。


「一緒に行動する人っていうのも気になるわね。人数、実力、派閥、そのあたりを調べたほうがいいかも・・・」


「けど大々的に動けば相手にも気取られるよ?かといって慎重に動きすぎると時間かかりすぎるし・・・実行が三日後だし・・・」


神加たちのように戦闘能力に秀でているが、それ以外は未熟な魔術師にとって三日というのは調査するには短すぎるが、戦闘の準備をするには十分すぎる時間だ。


明らかにそのあたりを把握していろいろな条件が決められているように思えて仕方がなかった。


支部長の判断だ。どのような考えがあるのか、どのような背景があるのかを知ることは難しいだろう。

とはいえこのまま流れに身を任せても良いとは思えない。


どうするべきかと神加たちは悩んでしまっていた。


実際に取れる手段が少なすぎるのである。調べようにも時間が足りないうえに情報が少なすぎる。


味方の情報不明、敵の情報不明、誰からの依頼なのかも極秘、本部などの圧力がかかっているであろうことは把握できるが、本部だって一枚岩ではない。


仮に本部のことを調べようとしたところで徒労に終わる可能性も否定しきれない。


「そもそもこの任務の目的を考えてみない?私たちを呼んだことと、これを届けること、そして想定される戦闘、支部長の反応。全部合わせて」


「そうね・・・できることの前に情報を整理したほうがいいか」


今できることは限られている。そのため自分たちが得ている情報から、依頼主や背景がそもそも何を求めているのかを考えようとしていた。


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