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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
最終話「彼の戦う理由」

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滅びをもたらす者

「なんて・・・なんてことを・・・!」


打ち込まれた杭は衝撃波によってできたクレーターによってむき出しになっている。康太はそれを回収し、再び腕に取り付けゆっくりと立ち上がる。


「これでお前たちのやろうとしてたことは終わりだ。他のところもうまくいっていればいいけどな」


今回攻略する場所はここだけではない。康太たちだけが動いているわけではないのだ。その結果如何によってはどのように対応するかも大きく変わってくるだろう。


そういう意味ではまだ安心はできないというのが正直なところだった。


周りの魔術師が放心している中、康太はその魔術師たちを一人ずつ蹴り倒していく。


一撃で顎を蹴りぬき、脳震盪を起こして気絶させていった。


「やめろ・・・やめろ・・・!これ以上!これ以上何をしようというんだ!」


「これ以上?何を言ってる。なにも終わってないぞ。まだ、何も終わってない。俺のやることはまだ何も終わってない。一仕事終わっただけの話だ」


そう言いながら、放心したままの魔術師を蹴り、意識をそれでも失わないものに関しては思い切り地面に叩きつけて強引に気絶させる。


相手が戦意を失っていようと、相手が完全に動いていなかろうと、康太には関係がなかった。

そうしているとき、康太の近くの地面に光る魔術が襲い掛かる。


かなり遠くから放たれたそれが、アリスからの援護の砲撃であるということは康太もすぐに理解できた。

それ故に、康太は目を細めて、笑う。


「俺の仕事は、お前らを殲滅することだ。方陣術を破壊することはそのついでで、俺の目標はお前たちなんだよ」


「私、たち・・・?」


「そうだ。お前たちにやる気があろうとなかろうと、絶望していようとしてなかろうと、そんなこと俺には関係ない。とりあえずお前らを全員潰す」


「・・・なぜ・・・そんなことを・・・?」


話している中でも、康太は拡大動作などの魔術を用いて魔術師たちを気絶させていく。中には何人か、放心状態から抜け出し、自らのみが危ういと理解したからか逃げ出そうとしている者もいる。


康太はそういった魔術師から優先して気絶させていった。


「なぜ?お前らが俺を不快にさせたからだ」


「・・・それだけの理由で?」


「それだけだ。十分だろ?」


康太の絶望的なセリフに、多くの魔術師が逃げることは叶わないということを悟っていた。


康太ほどの機動力を持った魔術師が本気を出せば、逃げられるものはいない。散り散りになったところで、この密林地帯からどのようにして逃げろというのか。


逃げられないように包囲網を設置されているのは容易に想像できる。砲撃が飛んできていることから、遠くからも狙い撃ちができるというのは間違いない。


逃げることは不可能、そこまで考えた魔術師たちが考えることは二つだけだった。


あきらめるか、戦うか。


康太から逃げられないからもはやあきらめると悟ったものが半数。康太さえ倒せれば何とか徒党を組んで逃げられるかもしれないと、康太を倒すという決意を固めたものが半数。康太が気絶させた魔術師を除き、半数の魔術師が康太に対して戦う意志を見せていた。


「よしよしいいぞ。サンドバックを殴ってても鬱憤晴らしにならないからな」


「お前は・・・最低の人間だ・・・!人の形をした悪魔だ・・・!」


「・・・はっはっはっはははっははははははははは!何言ってるんだお前は、随分と今更なことを言うじゃないか」


康太は神化状態を維持しながら、満面の笑みを浮かべ、そして自分の体に手を触れる。


「この体の!この姿の!どこに人間らしさがある!?お前らのせいで、俺のせいで、俺はもう人間じゃなくなったんだよ!」


半神半人。アリスが言うところの、半分人間で半分神となった姿。到底人間とは言えないその姿となってしまったのを目の当たりにして、いまさら人ではないといわれたところで康太は何も感じなかった。


「だから俺はお前らを倒すんだ。徹底的に、何度でも、どこまでも、お前らという存在を見つけて叩き潰す。お前らがこの世から消えるまで!俺を不快にさせたお前らがいなくなるまで!」


腹の底から湧き上がる憤怒を隠そうともせず、康太は叫ぶ。周囲に電撃をまき散らしながら、周囲に怒りを振りまきながら、相手に殺気をぶつけながら。


「こちらの勢力がいったいどれほどいると思っているんだ・・・!たった一人で、たった一人で何ができるというんだ!」


「一人?あぁ、そうだな。一人でできることなんてたかが知れてるよな。ごもっともだ」


そういうと、康太はより一層電撃を放ち、光り輝き始める。一瞬康太の姿を見失うほどの光量に、その場の多くの魔術師が目を瞑らざるを得なかった。


そして康太の光が収まったその時、その場には康太以外の姿がそこにあった。


「だから俺は一人じゃやらない。面倒くさいからな。優秀かつ頼りになる仲間と一緒にやることにするよ」


そこには文とアリス、そして倉敷と協会の精鋭といえる魔術師たちがやってきていた。


アリスと文の高速移動によって追いついたのだ。


「さぁ覚悟しろ。お前たちの未来は滅びだけだ」


その攻略点にいた魔術師がすべて殲滅されるまで、そう時間はかからなかった。


これにより、日本支部が攻略するべき場所はすべて攻略を完了することとなる。


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