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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
最終話「彼の戦う理由」
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飛行機の運勢

康太、文、倉敷、アリスは一つの班となって移動を開始していた。


すでに康太たちが移動しているのは日本ではない。康太たちが攻略するべき南米に移動し、二番目に近い空港より航空機を利用して移動していた。


康太たちを乗せた飛行機は三番目に出発した。一番目に出たのは小百合たちを乗せた飛行機、二番目には真理たちを、三番目に康太たちを乗せた飛行機が出立している。


といっても他にも飛行機は飛んでいる。いくつかのグループをまとめて飛ばすことはできないため、適度に空中で旋回などをしてタイミングを合わせて現地にて合流する手はずになっている。


康太たちが乗っている飛行機は大型の輸送機だった。少なくとも人を乗せるためのものではない。


日本支部の魔術師も何人か乗っているが、その中に康太の知っている顔はいなかった。


同時に攻略する三点に加え、包囲のための人員も用意されているために、どこかに自分の知り合いはいるだろうが、少なくともこの飛行機の中にはいなかった。


通常の旅客機の中ならばあり得ない振動と揺れ、そして騒音に囲まれながら、康太たちは装備の最終確認を行っていた。


「にしても大丈夫かしらね」


「何が?」


「師匠たちよ。飛行機一緒に乗せちゃったじゃない?喧嘩して飛行機を落としたりしなければいいけど」


「たどり着くまでに落ちなかったらその飛行機は運を使い果たしたってことだ。別のところできっと落ちるって」


「お前ってなんでそんなに自分の師匠への信頼がないんだよ。もうちょっと信じてやってもいいんじゃないのか?」


「逆だ逆。信頼しているからこそあの飛行機が落ちると確信してるんだよ。内部にいつ爆発してもおかしくない爆弾を抱えてるようなもんだぞ?ちょっとした衝撃でドカンってレベルのやつ。そんなの落ちないほうがおかしいだろ」


康太のたとえに倉敷も納得せざるを得ないのだが、納得しきれない部分もあった。少なくともそんな状態の二人をなぜ同じ飛行機に乗せたのかという疑問が残る。


「他の便に乗せたってよかったんじゃないのか?あの二人が攻略するチームだって二つか三つくらいの飛行機で行ってるだろ?」


各所を攻略するための人員を乗せた飛行機は、それぞれ三機から四機程度の編成で行動することになる。多少の時間はずらすが、少なくともそれも数分単位の誤差だ。そのため別々の飛行機に乗せても何も問題はないように思われたのだ。


「いや、うちの師匠を止められるのがたぶんエアリスさんだけだから一緒の飛行機に乗せたんだろ。うちの師匠だけだと八割から九割くらいの確率で飛行機を落として攻撃するからな」


「止めようとした結果飛行機が落ちるとは思わないのかよ・・・」


「無抵抗のまま落とされるか、抵抗して落ちるかの違いだろ。この二つはかなり違うぞ」


「結局落ちてるけどね。まぁうちの師匠もいるから、落ちるとしても他の人たちは無事でしょ。たぶん」


「うちの師匠だけだと人命救助とかガン無視でやるからなぁ・・・この間ちょっと話したけど、ある程度死人がいないと明らかに不自然になるからそういう意味でも人が死んでたほうが後始末的には楽になるっていう」


「おっそろしいこと話すんだなお前ら。いやまぁ確かに飛行機事故で誰も死ななかったら少しは不審がるかもしれないけどさ・・・一応ここに乗ってるの俺らの味方だぞ?」


「いやだから適当な一般人をここに強制的に連れてきて、後始末要員のためにぽっくりとやるのがベターじゃないか?」


「お前魔術師としては正しいんだろうけど人としては最低だぞ?わかってるかそれ?」


「大丈夫大丈夫。俺はそういうことはしないから。師匠はそういうこと面倒だからしないから。後始末とかそういうのをやるのは大抵支部長だから」


「何一つ大丈夫だと思えないんだけど。おいベル、向こう平気なのか?結構な人数一緒に行動してるだろ?」


「・・・祈るしかないわね。飛行機の中じゃ私たちにできるのは祈ることくらいよ。アリスでもさすがにわからないでしょ?」


「本気を出せば今飛行機が飛んでるかどうか位はわかるぞ?喧嘩しているかどうかまではわからんが」


「大丈夫だ。あの人たちが喧嘩したら喧嘩じゃ終わらないから。たぶん飛行機落ちた後もずっと戦ってるから」


「何一つ大丈夫な要素が見当たらない・・・お前の兄弟子の方は?土御門の双子と一緒に行動してるんだろ?」


「あっちは大丈夫だろ。むしろあっちは落ちる要素がない。万が一落ちる場合もあの二人が予知できるから何とかなる」


「マジで人員配置間違ったんじゃねえの?支部長の采配のままにここまで来たけどさ・・・本当に大丈夫なのか?」


「大丈夫なんじゃない?あの人はずっと私たちの師匠と渡り合ってきたのよ?このくらいのことは想定できるはず。それを想定してなおそういう配置にしたんだから、何かしらの考えと確証はあるはずよ」


「えー・・・あるのか?」


「なけりゃあの飛行機に乗った人間全員が地上へのダイブを強制されるだけの話だ。別にそこまで問題でもないだろ」


魔術師なのだから最低限落下程度は何とかできるものだ。攻略のために命がけで戦うのだから、その前に命がけのスカイダイビングが一つ増えるだけの話だと康太は考えていた。


普段から空中で行動していない魔術師からすれば、そんなに簡単な話でもないのだが。


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