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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
最終話「彼の戦う理由」
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準備は急いで

「・・・わかった、君に任せよう。ブライトビー、あんまり突っ込むと彼女がやる気をなくしてしまうから、その辺に・・・」


「いいんですか?こいつに任せて」


アリスの自信満々な発言に康太は少しだけ眉をひそめていた。確かにアリスが手を貸してくれるのであればこれ以上なく心強いが、同時に不安でもある。


小百合たちとはまた別の意味で、彼女は何をしだすかわからない。危険といえば危険だし、不安といえば不安になる。


「現状手段が思いつかないのも事実だしね。まぁ僕の方でもいくつか方法は考えておくさ。だけど最後の手段として、アリシア・メリノスにお願いしようと思う」


支部長の言うように現状良い手が浮かばないのも事実だ。逆にアリスは何かを思いついたようだし、それを無視するのも少し申し訳なく思えてしまうのも事実。


これ以上あれこれ言ったところで何も変わらないのであれば、まずは任せてみてもよいのではないかと支部長は考えているようだった。


「任されよう。まぁ悪いようにはせん。ただ編成と展開に少し手を加えさせてもらいたい。そのあたりを打合せさせてもらって構わないか?」


「わかった。こちらもそのあたりを詰めたいと思っていたところだよ。君の意見がもらえるのは願ってもない」


封印指定である彼女の意見が聞けるというのは支部長からすれば願ってもないことである。世界最高峰の経験の塊。その彼女の意見が聞けるというのは本当に稀なのだ。


何せ彼女は普段家に引きこもってだらだらしていることが多いため、こうして協会に顔を出すのも実は結構珍しいのである。


「というわけだビーよ。私はこれから支部長と打ち合わせをしてくる。お前は先に戻ってこのことを皆に伝えよ。正式に作戦会議などはされるだろうが、それにしてもあらかじめ準備はしておくべきだ」


「了解、あんまり遅くなるなよ?」


「私はお前の子供か。すぐに戻る。二、三注文があるだけだ」


そう言ってアリスは支部長とともに支部長室へと歩いていった。これから作戦を考えるうえでいろいろと必要なものもあるのだろう。


そこに康太は必要ない。実働部隊としてほしいものはあるが、そのあたりの必要物資は支部長ならば準備してくれるだろうという信頼がある。


支部長にすべて任せるのは申し訳なく思うが、そのあたりは任せられるものは任せようというのが康太の考えだった。


「さて・・・んじゃ俺も準備しておくか」


康太はまず自分がいつも装備を準備してもらっている装備制作専門の魔術師テータのもとに向かっていた。


今までの戦闘で損傷した武器の補修が完了しているだろうし、ついでにほしいものがいくつかあるのだ。


「失礼します、テータさんいますか?」


康太が入ってくると、もはや顔なじみとなってしまっている魔術師たちが一瞬だけ康太のいる方に顔を向けると再び作業に戻っていた。


ここは康太がまだ未熟だったころから足を運んでいる場所だ。たとえ康太が変な噂を立てられようと、妙なことになろうと態度を変えることはない人間ばかりだ。


というか、そういうことに興味がないといったほうがいいだろう。何せほとんどずっとこの工房というか作業場に引きこもっているのだ。支部の中で何が起きようと、どのような噂が立とうとそこまで気にするようなことがないのである。


「お、ブライトビー。壊れた武器と防具の修理終わってるよ」


「ありがとうございます。あとテータさん、いくつかお願いしたことが」


「新しい装備?ものによるけど今から作ると時間かかるよ?」


康太がお願いしたいことというと大抵は新しい装備のことであるためにテータの話は早い。

ありがたいことなのだが同時に康太は申し訳なく思ってしまう。


「装備はそうなんですけど、ちょっと大きめのものが欲しくて。感覚からしてちょっと大きめのものがあったほうが安心できそうなんですよね」


「ふぅん、もう作り終わってるものの中でよさそうなものがあればそれをもっていってくれて構わないよ?」


「ありがとうございます。ところでテータさん、この間の件、考えてくれましたか?」


「ん?あぁ、君の部隊に入るってやつ?部隊に入るっていうか、君の部隊の装備一式を作ってくれってことだろ?それくらいなら構わないぞ。取引先が増えるし、こっちとしたら万々歳だ」


「ありがとうございます。たぶん近い内にかなり大きな発注をすることになるんで、そのあたりお願いします」


「お、なんか忙しくなりそうじゃんか。職人冥利に尽きるね。今使ってる武器の調子はどんな感じよ」


「いい感じです。ただいくつかの武器にガタがき始めてるので、また修理が必要になりそうですね」


「使い方が荒いから仕方がないな。とりあえずこれがもうできてる試作品の装備だ。お求めのものがあればいいんだけどね」


誰かに頼まれて作ったのではなく、自分が作りたいから作ったという感じ満載のある意味実用性を無視したものから実用性などはあるが誰かの手には渡らなかったものまで数多くその場には用意されていた。


大柄で、なおかつ扱いが難しいのは承知している。何せこの装備は康太が装備するものではないのだから。


「さて、どれがお好みだ?」


康太の外套に変化していたウィルがゆっくりとそこにある武器を物色していく。ウィルの好みがどのようなものなのか、康太はいまいちよく理解していなかった。


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