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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
三十一話「その有様」

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ザ忍者

「それと・・・ビー、君は今回隠密行動をしたほうがいい」


「隠密・・・?俺が?」


隠密行動、言葉にするとこれほど康太に向かないものもないのだが、春奈は何か考えがあってこのことを言っているように思えた。


「せっかくそれだけの実力があるんだ。できることは増やしておいたほうがいい。派手に暴れるだけが手段になってしまうのはもったいないぞ」


「それは・・・そうかもしれませんけど。索敵相手だとどうしても隠れる意味があんまりなくなっちゃいますよ?」


魔術師に索敵という手段がある以上、どうしたって隠れるにも限度がある。いくら身を隠すことができたとしても索敵の前には丸裸なのだから。


「隠密というのはただ隠れるだけではない。素早く、相手の意識の隙間を縫うように行動することが大事なのだ。特に相手だって常時索敵を張り巡らせているわけではないだろう?」


春奈の言うように常に索敵を張り巡らすという状況はあまりない。警戒し、相手を探すときに発動するくらいで戦う時なども状況によっては索敵を解除していることもある。


それだけ防御や攻撃に気を取られていれば、当然索敵だって発動していないことになる。


もちろんチームで動いていた場合、ある程度索敵役などを決めて動いているために索敵が張られていない状況というのは少なくなるが、単一行動、あるいは単独行動などをしている相手などに関しては索敵を張っていない時間の方が長いだろう。


「ビーの手札は幸いにして目立たないものも多くある。せっかくそういう手段があるのだから隠れて攻撃するという方法も覚えておいて損はないだろう。あのバカはそういうことを教えてこなかったかもしれないが」


「師匠は・・・まぁ、真正面からの攻撃がメインですから」


小百合は面倒なことは極力省いて攻撃する。いや攻撃にしろ回避にしろ、不要なものを極限まで省くことによって高い精度、高い威力の攻撃を実現させているのだ。


隠れて行動するというのは今まで小百合とともに行動してきて一度もないといってもいい。たいていが敵の前方からの正面突破だ。


「君にあのバカのようになれとは言わない。あのバカにできないことをするべきだ。幸いにして君はあそこまで偏屈な魔術師ではないのだから」


自分の師匠がバカだの偏屈だのと悪口を連発されているというのに全く怒る気がしないのはなぜだろうかと、康太と真理は首をかしげていた。


むしろこの発言が至極当然のものだと思っているからだろうか。なんにせよ良くも悪くも小百合の弟子としては複雑な気分である。


「ですがエアリスさん、ビーは今の状態でもなかなかの水準に達しています。それに・・・言っては何ですが、ビーはまだ気配や殺気の消し方などを身に着けていません」


「なるほど・・・意図的にアピールしているわけではなかったのか・・・普段からして相手の攻撃を惹きつけるような行動ばかりしているから、てっきりそういう意図があったのかと思ったが・・・」


「別に意図的にそうしてたわけじゃないんですよね・・・」


康太は以前から小百合に言われていたことだが、殺気というものを隠すことができていない。


攻撃するときに大抵殺気を放ってしまっているために、どうしたって相手に気付かれることが多く、攻撃を防がれることもままある。


そういったことができるようになれば隠密行動もできるようになるのかもしれないが、あいにくとそういった技術はまだ身につけられていない。


だが囮としての康太は優秀の一言だ。存在感と殺気を放ち、目立つ動きをしていれば否応なしに目に入る。


しかも最近は電撃同化や神化状態などを発現することによりさらに輝き目立つようになってきている。

相手の意識を自分に向けるには最適といってもいいほどだ。


そうやって康太が敵の攻撃や意識を惹きつけ、なおかつ高速で移動し攻撃していく。相手からすればいやがらせ以外のなにものでもない。


さらに一緒に行動している文や倉敷もかなり高い攻撃能力を有している。康太にばかり気を取られていればその二人からの攻撃が押し寄せることになるのだ。


「せっかく高い機動力を持っているんだ、高い隠密性能を有することができればそれこそ忍者のように動くことができるぞ?」


「忍者ですか・・・」


「君の場合は暗殺者に近いかもしれんがな。どちらにせよできるようになって損はない。今回は特に建物を壊さないように戦うことも必須になる。目立たず相手だけを攻撃するようなことを念頭に入れておきなさい」


普段のように壊しても問題ないような建物や場所であったのならば、全力で壊すなり倒すなりできるのだが、あいにくと今回の建物はあまり壊してしまうと一般人の目についてしまう。


破壊せず、中の人、特に魔術師だけを狙い撃ちする必要があるのだ。


その辺りは康太の苦手分野であるために、快諾はしかねるがやるしかないのが現状である。


「ベル、手伝ってくれるか?」


「あんたは上から攻めるんでしょ?私は一階からだもの、助けに入るのに少し時間がかかるわよ」


「うっへぇ・・・難易度高そうだな・・・」


空中から落ちること自体はさほど難しくはない。問題なのは侵入する際、そして侵入した後の行動だ。


こればかりは一朝一夕でうまくいくものではないだろう。準備が整うまでの間にある程度練習しておかなければ大変かもしれないなと康太は悩んでいた。


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