表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
三十一話「その有様」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1361/1515

アリスの診断

「なんだ、もう始めておったのか」


康太が小百合と神化の訓練をしていると、眩さを押さえるためかサングラスをかけたアリスがやってくる。


その様は小さな子供が背伸びをしておしゃれしているように見えなくもない。


「悪い悪い、ちょっといろいろ試したくてな。結局この体のことほとんどわかってないままだし」


康太の言うようにこの体のことはほとんどわかっていないに等しい。アリスが索敵してもあいまいな反応をされるだけなのだ。


あまりにも通常とかけ離れすぎていて康太の体をどのように表現したらいいのかわからないらしい。

ただこれが本来の康太の神としての姿なのだろうということだけはわかっていた。


「結局のところ、その体に慣れるしかないのだろうな。もしかしたらお前が人としての寿命を終えたらずっとその姿かもしれんぞ?」


「マジかよ、足とか結構歩くのに不便なんだけど。鍵爪あるからこれで攻撃できなくもないかもだけどさ」


そういいながら康太は自分の足を突き出して攻撃するような素振りをするが、あまり意味はなさそうだった。


アリスの仮説が正しかった場合、康太は数十年後にはずっとこの姿でいなければいけないかもしれないのだ。


それはそれで不便でしかない。


「ちなみにその頭の羽、動かせんのか?あるいはそれで飛べんのか?」


康太の頭から生えている羽は康太一人を飛ばすにはあまりにも小さい。何より康太はこれを自分の意思で操ることができていなかった。


「一応頑張ってるんだけど動いてないみたいだな。もはや飾りの勢いだよこれ。一種のコスプレと同じだわ」


自分の頭から生えている羽を触りながら康太はため息をつく。羽を動かそうとしてもうまくいかず、かといって何か変化があるかと言われればほとんどそれらしいものはない。


頭の羽に関してはほとんど飾りのようなものだった。


「尻尾の方はどうだ?というかそれが尻尾かどうかも怪しいが・・・」


後頭部から生えている尻尾のような体毛。ただ単に髪が長いのかと思ったのだがどうやらそういうわけでもないらしい。


「一応尻尾っぽいんだよな。頭から生えてるけど。なんかこう、骨みたいなのもあるっぽいんだよ。やわらかいだけじゃないんだよ」


「・・・頭から生えている羽と尾か・・・それ以外の変化は足の部分と耳だけか?」


「あぁ、まだ全身確認できてないけどそんな感じ。どうですかねアリスさん。俺のコスプレ様になってます?」


「あぁ、今すぐコミケに行っても問題ないレベルだと思うぞ。問題は妙に輝きすぎているという点だな。悪目立ちしてしまう」


「ですよね知ってた。まぁ冗談はさておいてさ、この状態ってどうなんだ?俺的に安定してるように見えるけど、アリス的には危ないと思ったりする?」


「・・・前にも言ったが、それ以上の状態に進まないほうが良いとは思うぞ。明らかに人間より神の方に近づいているのは間違いない。今のお前は今までのような綱渡りではなく、綱の上でブイ字バランスをとっているようなものだ」


「バランス感覚えげつないな。そんな感じだったのか・・・それってやばいよな?」


「やばい。だがお前自身が望んでやったのであればうまくバランスがとれているが、やはり他者から強制されるとそれが危うくなる。その状態で電撃を受けるのはやめておいたほうがいいだろうが・・・もうすでに一回やっておるしなぁ」


アリスは康太が初めて神化した時のことを思い出していた。


あの時康太の変化にいち早く反応したのはアリスだったが、それにいち早く対応したのは文だった。


相手の攻撃が来ると察した文は即座に康太に雷を落とし、康太の体を強制的に地面へと瞬間移動させた。

その時に神化こそ解除されたものの、あの状態もかなり危険な行為と言えなくもなかった。結果的に康太が無事であったとはいえ、一か八かだったのは間違いない。


「ともかく、お前の状態が変化したというよりは、お前の本来の力が発揮できるようになったといってもいい。特にそこまで危険なものではない。今までと同じ、やりすぎたら消滅するというリスクを抱えたままだ」


「何も解決にはなってないけどとりあえずやばいってことだけはわかった。敵が電撃使ってきたら注意しなきゃなぁ・・・でも電撃って避けにくいじゃん?どうすればいいと思う?」


「コータは電撃を避けるということをしないからの・・・」


「文で慣れてたせいでな。避けるまでもなくなってるっていう・・・でもそういうわけにもいかないだろ」


「単純な回避方法としては、水やらを使って誘導することだが・・・そういった術は使えないから・・・そうだの・・・単純なのは電撃そのものを使って誘導することか」


「そんなことできるのか?」


不可能ではないとアリスはそういいながら自分の体の周りに電撃を作り出す。そして電撃の流れを作り出して康太の方を向いてから手招きをして見せる。


「ほれ、私に向けて電撃を放ってみよ」


どのようなことをするのかはさておいて、とりあえずやってみる方がいいなと康太は迷いなくアリスめがけて電撃を放つ。


康太の体から放たれた電撃はアリスの周囲を流れる電撃のそれらと交わり、そのまま強制的に地面へと放電させられてしまっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ