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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
三十話「神の怒りは、人の恨みは」

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お金大事

「・・・わかった。許可しよう。協会側にも私の方から二人が依頼を受けやすくなる体制を整えておくように言っておく」


当主の許可が下りたことで、晴と明は満面の笑みを浮かべてハイタッチしていた。自分たちの努力が認められ、協会の魔術師として活動できるのだ。


出向という立場ではあるが自分たちが自主的に行動できるというのはこの二人からすると今までずっと望んできたことでもある。


嬉しさを隠せないのも無理ないのかもしれない。


「とはいえ、不安があるのも事実だ。君達にも時折、この二人の監視をお願いしたい」


「監視というのは少々言い方が物騒ですね。せめて協力くらいにしてください。この二人が俺らに依頼料をしっかり払って協力を求めるというなら断ることはしませんよ」


「え?先輩普通に手伝ってくれないんですか?」


「当たり前だ。魔術師として活動する以上、協力を求めるなら代価を求める。逆に俺らがお前らに頼む時も、きちんと依頼料を出すぞ」


今までは研修に近い形であったために露骨に金額の提示などはしてこなかった。一応二人に払う分を別口で確保してはあるが、それは言わないほうがいいだろう。


魔術師として自主的な活動をするというのであれば、そういった金銭面での管理も必要になってくる。


「お金の管理かぁ・・・そういうのはやったことなかったなぁ・・・」


「最初は私たちが教えてあげるわよ。といってももらえる金額と差し引く金額と、最終的に残る金額を算出するだけだからそこまで難しくはないわ」


文がそういいながら晴と明を元気づける。康太は金の管理に関してはかなり大雑把にまとめているが、時折協力者を募るときや倉敷に払う分などは比較的多めに割り振っている。


危険手当と言えなくもないが、康太の依頼には当然戦闘が付きまとうことが多い。最近常に一緒に戦ってもらっている倉敷には特に多めに支払っているのである。


「まぁそのあたりは一緒に行動することになるかもしれない魔術師たちと相談しながら決めるのがいいかもな。あとは自分たちの装備品の購入費用とかもあるからそのあたりを考えて自分の取り分を決めるといいぞ」


「康太の場合は装備品を定期的に新調するから、ある程度財源確保しておかないとつらいのよね。こいついろいろ依頼受けるからそのあたりは問題ないんだけど」


康太はそれなり以上に面倒な案件を引き受けてくる。そのため依頼料もかなりのものになっているのだ。


多少の報酬を支払ったところで痛くもかゆくもない。戦闘能力を買われてかなり高い金額を支払われているため、金に困ったことはないのである。


「お前らがどんな依頼を受けることになるのかは知らないけど、最初は文や姉さんや倉敷なんかを一緒に連れていくことを勧めるぞ。何があるかわからないし、オブザーバーとして役に立ってくれるだろうからな」


「・・・先輩を連れていくのはダメなんですか?」


「連れて行ってもいいけど・・・俺が行くとたぶん俺が依頼を終わらせるぞ?たぶん俺の姿が見えた瞬間に相手がいろいろ察する」


康太の存在は協会内でもかなり知られている。そのため康太の姿が見えた瞬間に相手はその態度を覆すだろう。


交渉にしても戦闘にしても、康太の存在を見せつけるだけで相手は恐怖する可能性が高い。


最近康太は協会に顔を出すことが増えているし、何より最近支部長から出た非難声明によって知名度もかなり上がってしまっている。


「確かにこいつを連れていくのはお勧めしないわね。とりあえず戦って終わらせようとするかもしれないし」


「俺はそこまで戦闘狂じゃないぞ。戦わなきゃいけない時はそうするけど、話し合いの時はなるべく話し合いで決着できるようにする」


「・・・相手が半狂乱した時は?」


「とりあえず倒して落ち着かせる」


ここで精神を安定させるための魔術を使うのではなく、とりあえず倒すという選択肢が出てくるあたり、戦闘狂と言われてしまう一端になっていることに康太は気づいているのだろうかと文はため息をつく。


「とまぁこんな感じよ。何か依頼を受ける時は私にまず相談しなさい。話を聞いたうえでアドバイスくらいはしてあげるから。必要なら倉敷に協力を頼むといいわ。あいつはそこまで依頼の中で自己主張するタイプじゃないから、二人の力になってくれるはずよ」


「ありがとうございます。そうさせてもらいます」


「ありがとうございます。その時はお願いします」


文の言うように、倉敷は精霊術師としての劣等感があるからか、依頼の時にもそこまで自己主張をするということがない。


とはいえ言うことは言う。不満も言うし、こうしたほうがいいのではないかという意見も出す。


だが主張しすぎない。絶妙な立ち位置を自分の中で確立しているのだ。


それは精霊術師として活動してきたゆえの処世術なのだろう。そして康太たちと一緒に行動するようになって、同世代かつ意見しやすい存在を身近に得たことによる変化でもある。


それはきっと土御門との活動でも発揮してくれるだろうという確信があった。文は倉敷に対する評価はかなり高い。


この二人を預けても問題ないと思える程度には。


「確かにあいつの戦闘能力なら何とかなるだろ。あいつの尖った性能もお前らならうまく使いこなせるだろうしな」


「応用も利くけど、そのあたりは精霊術師の限界があるから、そこは注意よ?」


康太と文の評価が高い倉敷と二人は何度か行動したことがある。その実力を見たことがあるために二人は大きくうなずいていた。


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