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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十九話「その手を伸ばす、奥底へと」

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世界の半分

「これで俺が封印指定に登録されたら日本支部に二人も封印指定がいることになるのか。いや、もともとを加えると三つ扱い?というか俺の登録番号はいくつになるんです?」


「えーっと・・・ちょっと待って・・・最新の封印指定登録が・・・確か千いってたかな・・・?まだ九百番台だったかな・・・?」


支部長はそういいながら資料を取り出し始める。その資料の中にはアリスの写真もあり、当然ながら封印指定百七十二号の記述も存在していた。


「あぁあった。最近登録されたのが十四年前に登録された封印指定千十五号だから君の場合千十六号になるね」


「おぉ・・・封印指定って千個もあったのか・・・」


「というか千個しかないっていうべきかな?結構いろんな魔術師が封印指定を生み出している中では少ないほうだよ。一時期すごかったらしいよ?魔術師の中での技術革命があって封印指定がポンポン生み出されてたらしい・・・最近は本当に落ち着いたけどね」


封印指定の中でほとんどはすでに封印、あるいは存在そのものを消去されている。当然中にはいまだ処理されていないものもあるのだが、今回の場合康太そのものが封印指定になるとしてどのような処理が施されるのかは微妙なところだった。


「まぁ・・・えっと・・・アリシア・メリノスの話を聞く限り、もしブライトビーに寿命というものがなくなっていた場合、間違いなく封印指定に登録されるだろうね。彼女と同じ立ち位置になると思うよ?」


「そうなると間違いなく本部を敵に回しそうですね・・・まぁ俺も寿命がなくなるとか恐ろしいことになるのは勘弁なんですけど」


人間でなくなった康太がどれだけ生きられるのかは康太自身わからない。解析したアリスもまだわかっていないのが正直なところだ。


今後数年レベルでの調査で多少の変化があれば康太の寿命も算出することができるかもしれないが、現段階ではまだ不明な点が多すぎて何ができて何ができないのかということはわからない。


「そのあたりは今後の調査になるだろうけど・・・本当に本部にばれるのだけはやめてほしいな・・・それならまだ新しい魔術を開発したっていうほうが・・・いや、君の体そのものが変わってしまっているのだったらそれは無理か・・・ならいっそ・・・」


「本部にはあえて自分から言って、敵対意思が低いことを示したほうがまだ情状酌量の余地はあるかもしれんな。私と同じ立場であることを意識づけることができれば、まだ連中を説得できるかもしれん」


「けどこれは賭けだね・・・ブライトビーの戦闘能力と背景を考えれば、決して分の悪いかけではないとはいえ・・・」


康太の戦闘能力は本部にも知られている。はっきり言って康太自身が暴れまくるために、放っておいても噂が独り歩きするレベルなのだ。


それが良いことなのかどうかはさておいて。


さらに言えば康太の身内である小百合は言うまでもなく、小百合の兄弟子である奏はかつて本部に出向したことがあるほどの実力者だ。


康太の周りには実力者が集まっていることも鑑みれば、康太を無理に処分するのは本部としてもリスクが高いように思える。


何より日本支部に存在している封印指定二十八号アリシア・メリノスがいるのだ。彼女がいて、なおかつ康太と同盟を結んでいるということもあって手が出しにくいという状況は出来上がっている。


支部長の言うように分の悪い賭けではない。だがそれをすればもう戻れなくなるのも事実だ。


「アリシア・メリノス、可能な限り急いでブライトビーの体のことを調べてほしい。少しでも本部を納得させられるだけの情報が欲しい」


「ほう?支部長としてはビーを処理されるのは困ると?」


「うちの大事な戦力だからね。本部を敵に回すにしても味方は多いほうがいい。ブライトビーには利用価値があると思わせるだけでも本部の動きを遅らせられるさ」


どのような理由があれ、康太の寿命がなくなっていた場合、人間ではなくなっているのだから封印指定に認定されるのは時間の問題だ。


ならば本部を説得できるだけの情報をいち早く集めることこそが康太の立場をよくするための方法だ。


それはおそらくこの世界でアリスしかできない。アリスが説明すれば本部側としても疑うかもしれないが、逆に同盟相手を守っているというアピールをすることができる。


説明に対する客観的な事実よりも、主観的な背景を目的とした主張をすることができれば本部も手が出しにくくなる。


「いやぁ面倒くさくてすいません。でもその分強くなったと思うんで」


「君はそれ以上強くなってどうするつもりなの?世界征服でもするつもりなの?」


「もし寿命がなくなったらそれもいいかもしれませんね。アリス、一緒に世界を征服するか?」


「私たちでは滅ぼすことはできても征服するのは難しいと思うがの。少なくとも私は世界に興味はない。優れた娯楽があればそれでよい」


「なら国を征服して娯楽を作ることを最優先にするような政策を作ればいいんじゃないか?どんなものでも作り放題、楽しみ放題」


「・・・悪くないな・・・コータ、お前にはその国の半分をくれてやろう」


「二人とも、支部長の前で竜王みたいな会話はやめてくれない?あんたらがいうと本当になりそうで冗談じゃすまなそうなのよ」


康太とアリスの侵略計画。このまま進むと国だけではなく世界そのものを自分たちの支配下に置きそうな勢いだが、文が生きている間はその動きは止められるだろう。


文の寿命が尽きるまではこの二人が動くことはなさそうだった。



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