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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十六話「届かないその手と力」

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雪辱戦

上下の仮面の形が違う魔術師、そして左右の形が違う仮面をつけた魔術師。それぞれを見て康太は笑みを浮かべながらも冷や汗をたらしていた。


「一人でも結構きついかと思ってたのに・・・二人同時かよ」


「完全に相手の能力は未知数・・・けどよ、相手は二人だしこのまま数で押すのもありじゃないか?」


倉敷の言うように数は現在こちらの方が勝っているのだ。人数差で押し切るのも悪くないかもしれない。

だが相手の仮面の形状から、この二人を一緒にしないほうがいいと、幸彦は考えていた。


そしてそれは文も同様だった。


「この二人は一緒にしないほうがいいと思うわ。仮面の形状から言って・・・たぶん身内か、同じようなタイプの魔術師でしょうから・・・」


「同感だね・・・二対一を二つ作ろう。どっちがどっちを受け持つかだけど・・・」


「俺は上下のやつを受け持ちますよ。あいつには借りを返してやらなきゃ」


そういうと思ったと幸彦と文は笑う。倉敷はため息をつきながら魔力をみなぎらせる。


次の瞬間、康太たちめがけて氷の刃が大量に襲い掛かる。とっさに倉敷が水の盾を顕現させ刃の勢いを削ぐが、同時に炎が襲い掛かり水の盾を完全に蒸発させてしまった。


そして盾がなくなるのを見計らって再び氷の刃が襲い掛かる。


康太たちは跳躍してそれらを回避すると声を張り上げた。


「じゃあ僕は左右のやつを受け持つよ!手の内がわからないなら対応能力があるほうがよさそうだね、ベル!一緒に来てくれるかい?」


「了解しました。ビー!トゥトゥ!あんたたちは上下のやつを仕留めなさい!手の内がわかってるからって油断しちゃだめよ!」


「了解!叩き潰す!」


康太がやる気をみなぎらせているのを見て、幸彦と文は視線を合わせてから互いに頷く。


この場で戦えば康太たちと同じ戦場で戦うことになってしまう。ならば自分たちが場所を変えなければならないと考えたのだ。


「ベル!合わせてくれよ!」


「任せてください!」


幸彦が勢いよく地面を隆起させると、二人の魔術師は上空に跳ね上げられた。だが相手も即座に反応している。風属性の魔術を使って態勢を整え反撃しようとしていた。


次の瞬間、文の竜巻の魔術が二人の魔術師を襲う。激しく発生する乱気流に、相手はわずかに体勢を崩しかけるが、相手も風の魔術を使えるためにそこまで大きく影響されることはなかった。


だがほんの少し反応が遅れれば文にとっては十分だったのである。


竜巻に乗せた砂鉄を伝って電撃が二人の魔術師に向けて飛んでいき、その体に直撃していく。


だがまったくと言っていいほどにダメージは受けていない。その魔術は攻撃のための魔術ではないのだ。


「さぁ、こっちに来てもらうわよ!」


文の発動したのは磁力の魔術だった。竜巻から引っこ抜くかのように無茶な挙動で横移動をし、左右の形が違う仮面をつけた魔術師は遠くに弾き飛ばされるかのように飛んでいく。


上下の形の違う魔術師はその魔術師を追おうとするが、それを康太が許さなかった。


竜巻の中を駆け上がるように空中に舞い上がった康太は、魔術師の眼前に立ちふさがるとその右腕にウィルを集中させ、噴出の魔術を発動して殴りかかる。


相方とは全く逆方向に殴り飛ばされた魔術師は、地面に叩きつけられるその瞬間、自らに襲い掛かる大量の水を確認していた。


倉敷によって作り出された大量の水、あれを受けるのは良くないと判断したのか、魔術師は大量の炎を顕現させ襲い掛かる水すべてを蒸発させていた。


「なんだよ、結構量だしたのに一発かよ」


「相手はかなり高出力で魔術が使える。まともな出力じゃ勝負にならないから小細工しまくるぞ」


「情けなくなってくるな・・・どっちか入れ替わったほうがよかったんじゃないのか?」


「いや、これがベターだろ。俺が向こうに行けばベストだったかもしれないけど、それは俺が許さん」


一番良い戦闘の形としては康太と文がコンビを組んで左右の形が違う仮面をつけた魔術師を担当し、幸彦と倉敷が上下の形の違う仮面をつけた魔術師と対峙するのがパワーバランス的には良いのだ。


相手の持つ素質的に、相手が優れていることがわかっているのだから優れた素質の人間をばらけさせるのはあまり得策ではない。


とはいえ、康太がこの目の前にいる魔術師にリベンジしたいと思っているのも事実。最善ではないかもしれないが、まともな形に持っていけただけまだましというものかもしれない。


「相手が炎を出して来たら防いでくれ、氷も使えるから鈍い水を出すとすぐ凍らされるぞ」


「わかってるよ。動きまくって翻弄してやる。お前こそ捕まるんじゃないぞ?相手は風を使うんだろ?空中で巻き上げられんなよ?」


康太は槍を、倉敷はボードを手に取りながら互いに戦闘モードに移行する。


相手も康太と倉敷が自分に立ちはだかる敵であると認識したのか、魔力をみなぎらせているのがわかる。


「あっちは無事かね?」


「バズさんとベルが行ってるからな、大丈夫だと思いたい・・・少なくともこっちよりはずっと大丈夫だろ」


「それもそうか・・・こっちはこっちのことを考えるか!」


襲い掛かる巨大な炎に対し、康太たちは即座に反応する。


大量の水を作り出して炎を消す倉敷、そして康太はそれに即座に反応し相手に接近しようとしていた。


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