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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十六話「届かないその手と力」

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右へ左へ、上へ下へ

「あいつ・・・自然に気を遣うとかしないのかよ・・・環境破壊しまくりじゃないか」


「いつものことでしょ。しかもあれはたぶんビーがやったんじゃないわ。こっちで尻拭いするわよ」


康太が大量の炎によって攻撃されているのを見て、休憩してから文と合流した倉敷はため息をついていた。


炎であれば消すことは容易だが、広範囲に燃え移ってしまえばその分消すのにも苦労する。


何より炎が広がり山火事と認められるとかなり大騒ぎになりかねない。


早々に消し止めることが必要そうだった。


「俺が雨降らせるから補助頼む。あんたらも、雨を起こせる奴がいたら手伝ってくれ」


離脱しようとしている調査班の中にも攻撃ができなくとも隠匿の一環として天候を操ることができる魔術師が何人かいた。


倉敷を筆頭に周囲の天候を変化させていき、この辺り一帯に一気に雨を降らせていく。


もともと曇っていたこともあって雨を降らせるのは比較的容易だった。


「視界が悪くなるし行動もしにくくなるけど、山火事になるよりはマシね・・・トゥトゥ、あんたは消火活動をしてくれる?私はこのまま離脱させるわ。近くに戦闘要員の人たちが来てるからその人たちに引き継ぐ」


「了解。バズさんは大丈夫なのか?」


「えぇ、元気にぶっ飛ばしてるわ。徐々に調子あげてるみたいよ?」


文は索敵で幸彦の様子を見るが、康太に負けず劣らず魔術師たちを倒していっている。


その方法はかなり荒っぽく、魔術師の体がどんどん吹き飛ばされて行っている。まるで歩く自然災害だなと思いながら文は調査班の人間を離脱させるべく動き始めた。


「トゥトゥ、ビーも言ったかもしれないけど魔力の状態に気をつけなさい。まだたぶん敵は多いわ。調査班の人たち曰く、結構な人の出入りの痕跡があったみたい」


「拠点としてこれから使おうとしてたのか、それとも拠点を使い終わった後かってところか」


「どちらにしても情報があるのは間違いないわ。このまま押し潰す。けど」


「こういうところにこそ強い奴がいるってことだろ?今のこれはたぶん威力偵察ってところか?」


「そうね・・・この数で威力偵察ってことは、たぶんそれ以上に主力がいるはずなのよ。ビーのところに行ったら伝えておいてね」


「わかってる・・・っていうかあいつはたぶんわかってるだろ」


「そうね・・・たぶん何かしら感じ取っていると思うわ。妙に装備の消耗を押さえてるからね」


康太の戦い方を索敵で確認していた文は、康太が意図的に自身の装備品を使わない戦い方をしていることを把握していた。


康太はまだ自身の持つ消耗系の装備を一切使っていない。康太はまだ文の知っている情報を伝えられていないが、何となくわかっていた。


まだ強い奴が残っている。


こういう状況で先に出てくるのはたいてい弱い奴で、これから相手がやってくるということを経験則と自身の勘で把握していた。


「んじゃ消火活動してくる。他のチームがどう動いてるかをちょっと調べてくれないか?それによって今後の動きも変わるだろうから」


「わかった、別班と合流したら聞いてみる。そっちもしっかりね」


「了解」


そういって倉敷は大量の水を作り出してボードに乗ると一気に空中で波に乗り始める。目的地は康太を攻撃しようとして大量の炎がまき散らされた場所だった。


「派手にやったな・・・くっそ、せっかく魔力回復させてたのに」


雨が降り始め、倉敷が使う術にかなり補正がかかったとはいえ大量の水を作り出すにはそれだけ魔力が必要となる。


津波のように大量の水を作り出した倉敷は一気に炎を飲み込んでいく。


一部の水が炎の熱によって蒸発していくが、それすらも飲み込む水の勢いによって周囲の炎は一気に鎮火していく。


魔術師が目立つようなことをするというのは愚策だ。一般人に目を向けさせるということはそれだけ魔術の存在を露見させかねない。


魔術協会がその理念に基づいて行動しているということを計算に入れてあえて派手な行動をとり、こちらの消耗を増やそうとしているのであれば、それはそれで厄介だなと倉敷は考えながら周囲にもう火が残っていないことを確認して水を一気に分散させていく。


水の塊から霧のように拡散していく水は周囲の状況を把握するために倉敷が作り出した疑似的な索敵だった。


通常の索敵に比べると精度は落ちるし、何よりもほかの魔術や自然の影響を大きく受けるが、この状況では不満はいっていられない。


雨が降っているということもあって消費魔力もだいぶ少なくて済む。状況は倉敷に味方しているとはいえ未だ先が見えないことと範囲が広すぎることも考えるとただ待っているのは愚策だった。


再び波に乗って上空に上がると、他の場所でも雨を降らせている箇所がある。一か所で雨を降らせたことで、他の場所でも雨を降らせやすくなったのだろう。


隠匿という観点から雨を降らせた方が周りからは意識されにくいと判断したものがいたのかもしれない。

ますます動きやすくなるなと感じた倉敷は、地上で轟音が鳴り響いている場所に気付く。


それが幸彦の戦闘だということに気付き、援護に向かうべく一気に加速していく。


康太に負けず劣らず派手な戦闘だなと思いながら倉敷は幸彦と戦っている魔術師めがけて大量の水を叩きつけた。


活動報告に再びアンケートを載せました


SSを投稿することになったのでそれに関するアンケートですね


皆様のご意見を伺いたいのでなるべく多くの方のご参加をお願いいたします


これからもお楽しみいただければ幸いです

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