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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十六話「届かないその手と力」

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長期戦を見込んで

調査部隊が離脱しようとしている中、康太は襲い掛かってくる魔術師たちと戦闘を繰り返していた。


「結構人数集まってきたな・・・追い返すっていうより、返したくないって感じか・・・あの人たちが何か見たのか?」


「さぁな・・・でもどっちにしろ全部倒すんだろ?」


「もちろん、得られる情報は全部得るぞ。包囲網を突破されない限り倒し続ける」


康太と倉敷は一時的に合流し、離脱しようとする調査部隊を追おうとする魔術師たちを牽制し続けていた。


調査班がいる以上、彼らの脱出を援護するのが自分たちの仕事だ。無論倒せるのであれば倒したいが、まずはこの場から無事に離脱させるのが優先である。


離れた場所にいる幸彦もそのように動いているようだった。文が殿として直接援護しているとはいえ、この人数を一気になだれ込ませては抑えきるのは難しいだろうと判断し、この場に足止めすることを最優先としているのだ。


「トゥトゥは後魔力どれくらいある?」


「ちょっと派手に使ったからな・・・でもまだ七割以上あるぞ。少し休ませてくれればその分回復させられる」


「了解、んじゃ交代で休憩しながら戦ってくか。先に俺が行くからその後魔力が回復したら援護してくれ」


「わかった。ある程度回復したら援護する。お前は大丈夫なのかよ」


「あぁ、常に相手の魔力吸い取りながら戦ってるからな。多少はなんとかなってる」


いつの間に相手から魔力を吸い取っていたのかと倉敷は驚くが、康太の使う封印指定の力を倉敷は実際にその目で見たことがある。


そう考えると不思議なことではないなと考えながら少し後退することにした。


「若干下がり気味で休む。後ろに敵を通すなよ?」


「任せとけ、この辺り一掃してやるよ」


康太は槍を構え、背中に取り付けられている二本の剣をウィルによって操っていく。ウィルもやる気満々なのか触手のように伸びた体の一部を操って剣を上下左右に揺らしている。


いつでも行けるぞと嘶いているようである。


「もし俺に余裕があるように見えたらベルかバズさんの援護をしてもいいぞ?そのあたりの判断は任せる」


「オーライ。んじゃ頑張ってな」


「おう、行ってくる!」


康太は地面を蹴りながら噴出の魔術を発動し、こちらと距離を取ろうとしていた魔術師たちめがけて一気に距離を詰める。


当然相手は康太を近づけたくはないため射撃系の魔術で牽制を始めた。この対応は間違ってはいない。むしろ通常の魔術師戦であれば最適解に近いといえるだろう。


相手を攻撃し、その対応をさせることで相手の前進を止める。攻撃が当たれば御の字、相手が止まってくれれば良し、止まらずとも相手が対応の魔術を使えばその分相手へ消耗を強いることができる。


だが康太は攻撃にも当たらず、止まることもなく、魔術も使わない。一気に接近してその体めがけて攻撃をしていく康太。上下左右縦横無尽、地上も空中も関係なく駆け回る康太の体だけを見ていれば、康太の体から延びた触手とその先に取り付けられた双剣笹船がその体を切り刻む。


これだけ派手に動いて康太の体すら見逃しそうなのに、残り二つのほぼ自立した動きをする二つの剣にも意識を向けろというのは無理の一言だろう。現に康太を近づけまいとしていた魔術師たちは康太との距離が十メートルを切った時点でその姿を捉えることができず攻撃することすらできなくなりそのままやられていた。


普通の相手に対する対応では康太には届かないということを、数回の接近で気づいた魔術師もいたようだった。


康太のいる場所を察知しての広範囲攻撃。高速で動く相手に対して点ではなく面での攻撃をしようとした者がいた。


当然周囲の木々を巻き込みながらの攻撃だ。襲い掛かる炎は木々にも被害を与えながら康太に襲い掛かる。


康太は舌打ちしながら大きく息を吸い、露出している部分をすべてウィルで覆うと無属性のエンチャントの魔術を発動し防御力を高める。


そして攻撃が飛んできた方向へと一気に距離を詰める。目でものを見えなくとも索敵の魔術で木々の位置は把握できる。索敵で把握できないほど相手が遠くにいてもこちらに向けられている殺気でその位置を把握できる。康太は迷いなく進み、炎を抜けると同時に炎を放っていた魔術師めがけて槍を振るう。


通り抜ける形で切り裂いた康太の槍は魔術師の太ももを深く切り裂いた。切り裂かれながらも康太の姿を確認した魔術師は即座に振り返り康太めがけて攻撃を仕掛けようとするが、いきなり足が持ち上げられつるし上げられる。


康太の背中から延びた触手の一本が魔術師の足に絡みつき、周囲の木々めがけて叩きつける。遠心力を伴って叩きつけられた魔術師は骨のいくつかを折りながらも、未だ意識を失うことはなかった。


何とか脱出して反撃を。そう考えた瞬間、康太は槍を振り回してその魔術師に対して叩きつける。


槍の一撃によって地面にたたきつけられた魔術師は今度こそ意識を失い動かなくなった。


それを確認した康太は密閉した部分を元に戻し、大きく息を吸い込んでいた。


広範囲の攻撃が来ると無理やりの攻撃になるなと実感しながら次の魔術師のところへと向かうことにする。


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