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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
五話「修業と連休のさなかに」

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乗り物酔いと食べ物

移動を始めて一時間半ほどして、康太たちは一度高速道路の中にあるサービスエリアにやってきていた。


車での移動というのは単調ではっきり言って運転手以外は非常に暇なのだ。康太と文はそれを見越して携帯ゲームを持ってきていたが、さすがに助手席にいた真理が運転してくれている師匠である小百合の隣で堂々とゲームをするわけにもいかず、小百合の話し相手になっていた。


悠々とゲームをやっていた康太は若干申し訳なさを感じながらもサービスエリアで用を足すとそこで売られているものなどを確認していた。


サービスエリアなどに足を運んだならまず最初にやるべきはトイレに向かう事、そして次にその場で売っているものを確認することだろう。


ご当地の土産物や食べ物などいくらでも見るものはある。時間は十分ほどと決められているためにそこまで余裕はないが少し店の中を物色する程度なら十分可能だ。


もちろんあまり長く物色していると小百合に頭を握りつぶされかねない。何事もほどほどにしておく必要があるだろう。


「あんたまたなんか買ってんの?前の旅行の時も変なの買ってなかった?」


「こういうのは一期一会、旅行先での出会いの一つだ。こうする事は何も間違っていないだろう?」


「・・・お菓子持ってなければ普通にいいセリフだったのかもしれないけどね」


康太はまたしてもご当地アレンジのされた菓子を購入しようとしていた。本当に菓子を持ってレジに並んでいなければ非常に良いセリフだったのだろうがこういうところが康太が残念な理由だろう。


それが悪いとは言わないがもう少し考えて物を言ってほしいものであると文は小さくため息をついていた。


「変な味のもの買って車酔いになっても知らないわよ?まだまだ先は長いんだから」


「大丈夫大丈夫、俺車には酔わないから。今まで一度も酔ったことないし」


経験則で物を語るのはどうかと思えてしまうがこういうのはどうしても個人差が出てくるものである。


乗り物酔いしにくいものもいれば少し車に乗っただけで酔うようなタイプもいる。康太と文が行っているように車の中でゲームをやるというのは実は非常に酔いやすい行動の一つなのだ。


それをやっても全く酔っていないという事もあって康太は基本的に乗り物酔いとは無縁なタイプなのだということがわかる。


「私達はいいだろうけど、一緒に乗ってる二人の事も考えなさいよ?小百合さんはさておいて真理さんが乗り物に酔わないとは限らないじゃない」


「・・・あー・・・そっか、人によっては食べ物の匂いがダメとかいう人もいるしな」


車の中で食べ物の匂いをかいだだけで強烈に乗り物酔いが加速するようなタイプも存在するために安易に車内で何かを食べるのは軽率かもしれないと康太は思い始めていた。


小百合はともかく真理にまで迷惑をかけるわけにはいかないという考えが康太の中にある。これが広いバスの中ならまだしも今回は狭い車内だ、万が一という事もあるために真理に一応確認しておいた方がいいだろう。


康太と文は商品を購入した後で小百合の車の下に戻ってきていた。そこにはすでに真理が康太たちを待っていた。どうやら彼女は用だけ足してすぐに戻ってきていたようだ。


「姉さん、一ついいですか?」


「あぁ康太君、文さんおかえりなさい。どうかしましたか?」


「いや、姉さんって乗り物酔いするのかなって思って」


康太はそう聞きながら真理に買ってきたご当地アレンジされた菓子類を見せる。それを見た時に真理は康太が何を危惧しているのかを察したのか薄く笑って見せる。


「私や師匠は乗り物酔いの類はしませんね。ですから車の中で食べても大丈夫ですよ?ただしこぼさないようにだけ気を付けてくださいね」


この車は小百合の個人的な所有物だ。今回は送り迎えをしてくれているのだからきちんと綺麗に使わなければ小百合に失礼である。


もちろん康太だって菓子をこぼすつもりなどない。そもそもこぼすほど子供ではないつもりだった。


「よっしゃ、とりあえず目的地に着くまでの楽しみが一つ増えたな」


「・・・ねぇ、後で一口だけ頂戴」


「あ、それなら私も一口頂けますか?少し興味があります」


ゲテモノというわけではないが普段食べている菓子のアレンジ版となると興味はある。特徴的な味付けをしているだけにその場でしか食べられないようなものも多い。こういった場所で買うと必ずこういう反応をされるものだ。


「そう言えば目的地まであとどれくらいですか?」


「あと一時間ちょっともあれば到着するかと。途中で食料なども買っていくのでもう少しかかるかもしれませんが」


「食料・・・?ってあぁそうか、別荘で自炊しなきゃですもんね」


今回エアリスが提供してくれるのはあくまで別荘という場所だけだ。その場に行って食事が勝手に出てくるわけでもなし、自分たちの食事は自分たちで用意しなければならないのである。


「康太君と文さんにも手伝ってもらいますよ?二人とも料理の経験は?」


「生姜焼きと味噌汁くらいなら作れますけど・・・そこまで得意ってわけじゃないです」


「私はよく母を手伝っているのでそれなりに」


康太の方はたまに両親が旅行に出かけるために一日二日程度であれば自炊できる程度のレパートリーしか持ち合わせていない。だがどうやら文は最低限以上の料理技術を持ち合わせているようだった。康太と真理の視線が文に集まると二人は同時にこの旅行中の食事当番は彼女で決定だと考えていた。


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