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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十六話「届かないその手と力」

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子供心か本気か

「というわけで来ましたよ支部長。今度はどんな厄介ごとでしょうかね?」


修業に一区切りつけた康太はある程度身支度してから支部を訪れていた。具体的な召集の時間を聞きたいというのもそうだったが、単純に直接支部長の意見を聞きたかったのである。


「いやぁ、もう嫌な予感しかしなくてさ・・・来てくれて本当にありがとう。僕としてはかなり戦々恐々だったんだよ?最悪クラリスに声をかけようかと思ってたくらいだ」


支部長が自らの支部のリーサルウェポンを出そうとしている時点で今回の件の厄介度合いは過去例を見ないほどのものであるらしい。


仮面の下から聞こえてくる声は焦ったり怖がったりこそしていないものの、心底いやそうではある。


そのうち舌打ちでもするのではないかと思えるほどだ。ここまでいやそうな声を出している支部長を見るのは実に久しぶりである。


「支部長が師匠を指名するレベルって具体的にどれくらいの危険なんですかね?あんまり具体的にイメージできないんですけど」


「んー・・・そうだなぁ・・・怒らせたクラリスを国会議事堂に放り込むレベルの危険度になったら仕方なくクラリスを呼ぶかな・・・あくまで僕の何となくの基準でしかないんだけど」


「・・・比較対象も師匠なんですね」


普通こういう場合本人とは関係のない例を出すと思うのだが、支部長の中では厄介な案件=小百合が関わっているという認識であるらしい。


そういう意味では間違ってはいないのだが、逆に言えば今まで小百合を呼んだ案件はそれだけ危険だったということでもある。


「彼女の場合たいてい何でも壊してくれるからね・・・場合によってはなぁなぁで終わらせられることも多いからある意味助かっている部分はあるんだよ?その分犠牲も多いんだけどね」


「じゃあ今回の案件も?」


「うん、君たちが出られなかったらクラリス案件だったね。いや僕の個人的ないやな予感に従うならの話で、実際そこまで厄介なのかどうかはわからないんだけどさ」


クラリス案件。まるで何かの隠語のようだと康太と文は笑いながらその話を聞いていた。


今後非常に厄介な面倒ごとに関しては『クラリス案件』という単語を使ってみようとひそかに画策している程度には面白い単語だった。


「でも今までの支部長のいやな予感って当たってますよね?たぶん今回も当たるでしょう?」


「わからないよ。僕の悪い予感が外れてくれる可能性だってないわけじゃないさ。可能性は低いと思うけど」


支部長本人も自分のいやな予感の的中率には自信があるのか、悪い予感が外れると言い切れないあたりが何とも微妙なところである。


「ちなみにですけど、今回の文書はいったいどこで見つかったんですか?」


「イタリアだね。イタリア支部の拠点で見つかったそうだよ。各言語、暗号などが含めてあったから解読までに時間がかかったみたいだけど・・・僕もまだその内容は詳しくは聞かされていないんだ」


「詳しくはってことは大まかには聞かされてるわけですね?」


「・・・うん・・・なんとも途方もない内容でどうとらえたものか迷ってるんだよね」


支部長としては今回聞いた内容が、本当のことなのか、それともただの与太話なのか判断しかねるらしい。


だが支部長のいやな予感に従うのであれば、今回のこれも例外なく面倒ごとの一種なのだろうということは予想できた。


「ちなみにその内容は?現段階でわかっていることだけでもいいので教えてもらえませんか?」


「・・・うん、わかったのは相手の目的の一つ・・・いやその手段の一つというべきなのかな?どちらにせよ途方もないよ」


「その内容は?」


「世界征服」


支部長の言葉に康太と文は目を丸くする。


支部長がなぜその内容に対してそれが真実なのか与太話なのか判断しかねているのか、その言葉を聞き終えて数秒した段階で理解する。


「それは何とも壮大ですね・・・俺も小学校の頃世界征服とかやってみたいなとかは考えたことありますよ。まだ子供だったのでなんかすごく平和的なやり方だったと思いましたけど」


「子供のくせになんてこと考えてるのよあんたは・・・いや、子供だからこそなのかしらね・・・まぁいいわ・・・でもそれだと子供の落書きなのか本気なのか測りかねますね」


「そうなんだよ・・・普通に考えたら世界征服なんてできるはずないって思うし、そもそも世界を征服して何をするのって感じなんだよ・・・子供のいたずらって言われたほうが納得できるよ?できるんだけど・・・」


「・・・いやな予感がすると」


「そうなんだよ・・・なんかいやな予感がするんだよ・・・!クラリスがなんか企んでる時とおんなじ感覚なんだよ・・・!これ絶対なんかあるよ・・・!」


支部長が頭を抱えて嘆いている中、康太と文は具体的に世界征服という単語について考えていた。


文字通り世界を征服する。自らのものとする。それこそ征服という言葉の意味だと二人は理解していた。

世界を征服する意味。そこまで独占欲が強いのかとも思ったがそういうことでもないだろう。いったい何をするつもりなのか、康太と文は全くイメージできなかった。


活動報告に今後の方針などのアンケートを載せています!


皆様の意見を伺いたいので一度確認してご意見をいただければと思います


これからもお楽しみいただければ幸いです

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