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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十六話「届かないその手と力」

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倉敷の新装備

康太たちは支部長、並びに本部から依頼を受けてここにやってきていた。


目的は敵勢力の殲滅。本部の人間が調べ上げた情報をもとに支部の方で裏を取り、康太たちという戦力を投入するに至ったのである。


以前康太たちが捕まえた魔術師たちの中に、何人か組織の構成を知っている者がいたのだ。


無論他支部の方でも捕獲した魔術師の中に多くの情報を持っている者がいたため、今協会では徹底的に敵性勢力の撃滅を行っているところである。


港に近い資材置き場、そして倉庫、工場。隠れるにはもってこいの場所であり、見つかりにくく、昼間は人の往来が多いために目立たない。


夜間での行動はそこまで向いている場所とはいいがたいが、拠点にするにはちょうどいいかもわからない。


康太たちが戦闘を開始したのはほんの三十分ほど前。だがすでに戦いは終わろうとしていた。


康太は幸彦と協力して魔術師を倒すと、確実に気絶させるべく思い切り踏みつけながら小さく息をつく。

そんな中、康太たちに声をかけるものがいた。


「ふぅ・・・そっちも片付いたみたいね」


「おう、お疲れ。さっきのはいいタイミングだったぞ」


康太たちが自分たちの倒した魔術師たちをひと固まりにしながらコンテナ群の一角に魔術師たちを捕縛していると、自分たちの担当していた魔術師を連れてきたのか、文と倉敷がやってくる。


連れてきた魔術師の中には康太が倒しておいたものの、捕縛する暇がなくて放置していた魔術師も含まれていた。


「忘れものよ。もうちょっとしっかり気絶させてくれてたらこっちも楽ができたんだけどね」


「悪いな。さすがに二人相手じゃそこまで気を配れなかった。でもなんとかなったろ?」


「まぁね・・・バズさんの方も問題なさそうで」


「あぁ、僕の方はダメだね。三人同時に相手にしただけで悲鳴を上げてしまったよ。体がついていかなくなってきてるのを感じる」


またまた何言ってるんですかと、文は近くに転がっている魔術師を一瞥しながら苦笑する。


幸彦の戦闘能力は折り紙付きだ。そんな幸彦が年齢によって戦闘能力が下がるというのはイメージできない。


というかまだ三十代なのだからそこまで運動機能が下がる歳でもないだろうにとため息をついていた。


「いや、前はもっとすごかったんだよ?このくらいの相手なら五人相手にしても平気であしらえてたんだよ?それが三人でビーに助けを求めちゃったよ・・・僕もそろそろ引退を考えるべきかなって思ったね」


「はいはい・・・で?周りにいる協会の人間は協力してくれるって思っていいわけ?」


文は周囲に警戒心を振りまきながら視線をあたりに動かしていく。どうやら彼女の索敵には何人もの魔術師が捕捉できているらしい。


詳細な索敵は彼女しかわからないが、彼女曰く協会の人間であるという。


「たぶんな。隠匿とかしてくれてるんだろ。こっちに手を出そうとしてこないってことはそういうことじゃないのか?」


「なんか観察されてるみたいで気分は良くないわね・・・特にトゥトゥ、あんたよく見られてたわよ?」


「俺?なんで俺?」


「あんな戦い方する奴は珍しいからね。面白い戦い方になったもんよ」


倉敷の戦いは先日のビデオの運搬の一件によって大幅に変更されていた。


その戦い方そのものもそうなのだが、倉敷の精霊術師としての装束もかなり変わっている。


康太の紹介のもと、協会で武器や装備などの製作を行っているテータによって倉敷の装備を一新したのである。


水の流れを掴んで空中機動をしやすくするためのボード。そして水の流れを利用して直進する杭、そして水に漂うことで高い防御能力を有する盾。倉敷の基本装備は機動力をメインとしながら水の中に杭や盾を紛れ込ませることで現象的、なおかつ物理的な攻撃を可能にしたものとなっていた。


高圧で撃ちだされる水の流れによって相手に叩きつけられるその威力は計り知れない。なおかつ倉敷自身が水に乗って空中を高速移動するのだから相手からすれば面倒くさいことこの上なかった。


水そのものがほとんどの攻撃に対して抵抗力を持っているということもあって、倉敷に勝つには雷属性の術を駆使するほかなくなってしまったのである。


「まぁ注目されるってことは、当然攻略もされやすくなると思いなさい?同じ戦い方ばっかりしてると簡単に攻略されるわよ?」


「それってこいつの場合はどうなんだよ。毎回同じような戦いしてるぞ?」


康太を指さす倉敷に対して、文は失笑し幸彦は苦笑する。傍から見ればそう見えるのだろう。だが康太の努力を知っている者からすれば康太の戦い方は同じようで全く違うものになり続けているのだ。


「こいつの場合は常に新しい魔術を覚えてどんどん戦い方を変えてるからね。ベースは変わらないけど、こいつの手札はどんどん増えてる。魔力を吸うし物理攻撃はほぼ効かないしで、敵に回したら厄介極まりないでしょうね」


味方でいるうちはすごく頼もしいけどといいながら文はため息をつく。康太が敵に回るということなど想像もしたくない。


今のところ、文は康太を裏切るつもりなどは毛頭ないのだ。そもそも裏切ることができるかも怪しいが。


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