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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十六話「届かないその手と力」

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四人一組

海に近い工業地帯の一角、いくつもの倉庫や貨物が置かれているその場所に奇妙な音が響き渡っていた。


工場とその倉庫、そして海に面していることを利用して運び込まれてくる大量の物資を保管するコンテナ群。さらにはそれらを運ぶための重機などが満ちているこの一帯にそれは起こっていた。


時折明滅するように周囲を照らす閃光と金属音、そして異音が響き、同時に衝撃があたりに突き抜ける。


何人もの人間が戦っているのだということを証明するかのように、周囲には動向をうかがっている人間、そして攻撃をする人間、援護する人間などがいた。


連続して明滅する光が周囲を照らす中、倉庫の壁が粉砕され、一人の人間が屋外へと弾き飛ばされていく。


そしてそれを追うように赤黒い鎧をまとった人物が壁から飛び出してきた。


その人物が出てくるのを待っていたかのように、赤黒い鎧をまとった人物めがけて、いくつもの火の玉が襲い掛かってくる。


赤黒い鎧をまとった人物はその背にある剣を、鎧を可変させることで鞭のように動かしすべて撃ち落としていく。


そして先ほど弾き飛ばした人物に詰め寄ると、その人物めがけて拳を叩きつけた。


もともと相当のダメージを負っていたのだろう、その人物は抵抗することもできずにその拳によって意識を喪失していた。


その人物がやられたことを知ってか、建物やコンテナの上にいた人物たちが一斉に赤黒い鎧を着た人物めがけて襲い掛かってくる。


中には氷の刃や炎の弾丸を放つものもいた。


だがまるでその攻撃から鎧の人物を守るかのように巨大な水のうねりが空中を走る。


氷の刃や炎の弾丸を飲み込み、建物の上にいた人物の一人めがけて襲い掛かる。


猛烈な水の流れはその人物を追い立てていく。その場から離脱させるかのように水はその人物を追い立て、徐々に距離を作っていった。


『片方は任せろ、そっちは任せた』


『了解、引っ張るわ』


鎧の人物に向けて届く声、無線機のそれを聞きながら上空へと視線を向けると、その水の上には一人の人物が乗っていた。まるでサーフィンでもしているかのように何かの板のようなものに乗りながら空をすべるその姿を見て、鎧の人物は小さくため息をつく。


もう一人、攻撃を向けていた人物に対しては周囲に光が満ちると同時にその体が宙に浮いていく。


稲光がその体を覆う中、強制的に飛行させられている人物は何とか抵抗しようとしているようだが、次の瞬間、その体を包むように巨大な竜巻が発生し、もはや逃れることができなくなってしまっていた。


風に乗って遠くへ運ばれていく人物を見ていると、鎧の人物に向けて無線が入ってくる。


『ビー、すまないがちょっとこちらに手を貸してくれないかな?さすがに三人相手は骨が折れるよ・・・いや、もしかしてそっちもまだ戦闘中かな?』


「いえ、こちらの二人はすでに片付きました。今から援護に向かいます。場所は?」


『コンテナ地帯の一角だね。詳しい場所はちょっと移動し続けてるからわからないけれど・・・派手に戦闘しているからわかりやすいとは思うよ』


「了解しました。今すぐ向かいます。少し待っていてください」


『了解、急ぎ目で頼むよ』


無線での連絡を終了させると、鎧の人物はその体から炎を噴出させながら空中を駆けていく。


素早く上空まで移動すると、鎧の人物はその光を見つけていた。コンテナ群の中に不自然に明滅する光がある。


そして目を凝らすとそこに四人の人物がいることに気が付いた。その中の一人が先ほどの無線の相手であることは即座に理解できた。


場所を把握すると鎧の人物は即座に高速機動の態勢に入り、空中を高速で移動していく。鎧の一部を変形させ、翼のように変えることで滑空し、炎を噴出させることで空を飛んでいるのに等しい効果を得ていた。


無線をもらったその場所にたどり着くのに一分とかからなかった。人間が出せる速度をはるかに超えたその速度に反応できたのは四人の中で二人だけだった。


鎧の人物は反応できていない人物めがけて、速度をそのままに飛び蹴りを放つ。


その体に直撃した蹴りは、鈍い音とともにその体を大きくひしゃげさせ、勢いよくコンテナに叩きつけた。


いくつかの骨が折れたのだろう。そして折れた骨が臓器を傷つけたか口から血を吐き出しながらゆっくりとその場に倒れこむ。


頭を強く打ったこともあって若干脳震盪も起こしているようだった。痙攣しながらその場から動けなくなっていく。


そしてその姿を確認した瞬間、先ほどまで戦っていたであろう人物が鎧の人物の近くに駆け寄ってくる。


「助かったよ、さすがに歳かな・・・こんな人数差でもきつく感じるのは」


「何言ってるんですか、まだまだ若いでしょうに。片方は俺が受け持ちます。もう片方は頼みます」


「了解、向こうにまだいたと思ったけど?」


「そっちはベルとトゥトゥに任せてます。大丈夫でしょう」


「オーケー・・・それじゃ続きと行こうか」


相手の人物を見て鎧の人物は大きく鎧を変形させていく。そしてその姿がようやくあらわになる。


オレンジ色をベースにした蜂をモチーフにした仮面。魔術師ブライトビーがそこにいた。


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