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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十五話「釣りをするのも大博打」

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準備新たに

「なるほど・・・本部からねぇ・・・まぁそういうことが起きるだろうことは半ば予想できてたことだけどな」


康太たちはバイクやトラックを元の場所に戻した後、康太たちの拠点に集まっていた。


リビングに集まって軽く今後の話をするつもりだった。


「本部の人間が、その組織を敵対視しているのであれば無理のない話だけれど、それが支部長の頭を飛び越えて直接やってくると面倒なことになるね」


「そんなことってあるんですか?」


「あるさ。本部は割とそういうことを平気でする。特に康太君は、戦力としては並の魔術師のそれを大きく超えているからね」


君たちもまた同様だけどと幸彦はあくびを噛み殺しながら文と倉敷の方に視線を向ける。


倉敷の方はまだ戦闘能力にやや不安はあるものの、それでも十分すぎる戦力となっている。この三人は本部が強引に召集するに値する人間なのだ。


「ただ、一応君たち・・・康太君と文ちゃんに関しては支部所属だからね・・・本部があまり手を出しすぎると問題にはなるだろうけど」


「そういえば倉敷って所属はどこになるんだ?日本支部?」


「まぁ一応魔術協会に登録だけはされてると思うぞ?精霊術師としてだからほとんど権限も権利もないだろうけど」


「そのあたりはちょっと掛け合えば何とかなると思うけどね・・・君の場合は十分康太君にも支部にも貢献している」


「今も私たちの権限を流用して結構いろいろとしてますよ。術式の閲覧が主な目的ですけど」


「あぁ、それはいい。精霊術師の人たちにとって術式は喉から手が出るほど欲しいものだからね。水属性の術だったね。僕の知っている術でよければ教えてあげよう」


倉敷は思わぬ申し出にありがとうございますと頭を下げる。同時に少し話がそれてきているなと感じた文は話を元に戻すことにした。


「とにかく、現状、というか今後幸彦さんと私たちが行動して敵を倒していくっていうことが多くなるかもしれません。そのあたりは頭に入れておいてください」


「了解したよ。今回みたいなことが多くなると思えばいいんだね」


「どちらかというと、情報を精査した後の襲撃ととらえたほうがいいかもしれません。今回のような守備的な作戦ではなく、攻撃的な作戦になるかと」


「それはいい。もとより守るのは性に合わなくてね」


何となくそのあたりは察していた文はそうでしょうねと小さくため息をつきながらつぶやく。


温厚な性格をしている幸彦も、やはり小百合の兄弟子ということだ。以前一緒に戦ったことのある康太はわかっているが、幸彦の制圧能力はかなり高い。特に幸彦の場合は狭い室内においてもその戦闘能力が損なわれることがない。


恵まれた体格と、強力な魔術を使ってとにかく一方的に攻撃するのが幸彦の戦闘スタイルでもある。


「ただ僕も生活があるからね。今回みたいになるべく早めに教えてくれると助かるよ。そのほうが都合を空けやすい。夜ならある程度スケジュールに余裕があるから何とかなると思うけどね」


「わかりました。康太、倉敷、あんたたちも同様、いつでも戦闘できるように準備だけはしておきなさい。特に倉敷、あんた今回みたいな戦いをするならちゃんと装備を整えること」


「装備っていったって・・・適当な店で買うかな・・・?」


「何なら紹介してやろうか?協会の方で俺がいつも頼んでる人に装備を発注をすればその通りに作ってくれるぞ?」


「あぁ、テータさんね。いいんじゃない?今度行ってきなさいよ。いろいろと思いついたこともあるんでしょ?」


「いいのか?結構いろいろあるけど・・・」


「一度図面とかに起こしたほうがいいだろうな。あとはどんな機能を付け足してほしいかを具体的に考えること。それぐらいしておけばあの人は作ってくれるよ」


倉敷は今回の戦いで自分の術に対してどのようなものがあれば状況を有利に進めることができるのかを理解していた。


だがそれらを具体的にどのように形にすれば効果的なのか、そのあたりはまだまとまっていない段階である


康太の言うように、ある程度自分で考えてから図面などに書き起こしたほうが考えがまとまってよいかもわからない。


「わかった、それじゃあ今度頼むよ。ちなみにその装備ってどれくらいでできるんだ?」


「それって期間の話か?それとも金の話か?」


「両方だよ。お前なんて結構装備作ってるだろ?」


「んー・・・まぁものによるけど、たいてい万単位はするな。一つ一つオーダーメイドみたいなものだし」


「材料費だけじゃないよな?」


「面倒くさいものを一つ一つ手作りしてくれてるんだ、でかい工場とかで一括で作れるならもっとコストダウンもできるんだろうけどな。そのあたりは仕方ないだろ」


康太もそれなりに装備を作ってもらったが、その総額はまだ百万には届いていない。康太の場合数多く依頼をこなしてきたために比較的楽に払えたが、倉敷の場合はそこまで協会の依頼を受けたというわけではない。


康太と協力したうえで得た報酬は丸々残っているとはいえ、ある程度節約しなければいけないのが現状である。


「装備は早めに準備しておいたほうがいいでしょうね。あんたの戦い方、あれを身につければかなり楽に戦えるはずよ」


「そうかな・・・まぁ準備は早めにやるよ・・・装備の案ができたら悪いけど付き合ってくれ」


「了解」


倉敷の装備の発注をするという話をした後、康太たちはその場で解散することとした。


さすがに朝方までずっと行動していたということもあって眠気がひどく、頭も回らなくなってきていたところだった。


幸彦と倉敷は家に戻り、康太と文はこの拠点でそのまま眠ることにした。


徐々に動き出したその流れに、康太たちも少しずつ飲み込まれているのを感じながら、今はまどろみの中に身を沈めていく。


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