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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十四話「旅行で斬り捨てるもの」

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土産物は何を

康太たちは海でひとしきり遊んだ後、買い物を楽しんでいた。


せっかく沖縄に来たのだから土産の一つでも買っていこうと思い、いろいろと見て回っているのだが、何というか食べ物以外で買えるものが予想以上に少なかった。


というより、何を買うべきなのかわからなかったのである。


康太が土産を買う相手は真理、神加、奏、幸彦、あとついでに小百合。ほとんど女性なのはさておいて、これらの人々に何をお土産にすればいいのか迷ってしまっていた。


お菓子の類は鉄板として、それ以外でいったい何が喜ばれるのかわからなかったのである。


よくわからない柄のTシャツ、よくわからない形の玩具、沖縄ならではのものが多いのだろうが、これらを大人や子供がもらってうれしいかと聞かれると微妙なところだ。


少なくとも康太がこれをもらっても困る。特に玩具の類はもらっても絶対に困る。


かといって修学旅行の定番といえる木刀などを買おうとも思えなかった。康太はすでに木刀どころか槍や剣も持っているのだ。それは康太の関係者全員に言えることである。今更武器を買う必要性がない。


修学旅行で買える木刀に武器としての意味はあまりないのだが、そのあたりは康太には理解できないことだった。


「どうした?随分悩んでるけど」


「んー・・・何を土産にしたらいいのかと思ってな・・・お菓子とか食べ物の類は鉄板だけど、小さな子供は何を喜ぶかな?」


「子供?八篠姉弟とかいたっけ?」


「姉が一人な。いやそっちじゃなくて、親戚の子供になんかあげようと思ったんだけど・・・小さな女の子が何を喜ぶのかまったくイメージできなくて」


小さな男の子というのであればある程度過去の経験から想像もできたのだろうが、小さな子供でしかも女の子となると青山も島村もどのようなものがいいのか想像できていないようだった。


「やっぱあれじゃね?ぬいぐるみとか人形とか。なんだっけ?ゴールデニアファミリーだっけ?」


「あとはバービーちゃん人形とかかな?キチちゃんとかも有名だよね」


「人形か・・・沖縄で買ってやるほどのものでもないような気がするんだよな・・・」


「限定版とかありそうじゃない?ほらよくあるじゃない、地方限定の人形とか特定のグッズ関係」


そういえば以前にも何度か高速道路のパーキングエリアなどでそういった土産物を見たなと康太は思い出していた。


沖縄には沖縄の地方応援グッズと称して各キャラクターの限定商品などが売られていても不思議はない。

ではそれを買おうと思った瞬間、康太は一つ疑問を浮かべる。


そもそも神加は何が好きなのだろうかと。


天野神加、小百合が拾ってきた精霊に愛された少女。康太も彼女と一緒に過ごしてそれなりに時間が経過したが、まだ彼女が何が好きなのか、何をもらうと嬉しいのかわかっていなかった。


クリスマスプレゼントとして大きな人形をプレゼントしたが、あれも本当に喜ばれたのかはわからない。


女の子が喜ぶお土産とはいったい何だろうか、小さな子供が喜ぶお土産とは何だろうか、康太は悩んでしまっていた。


大人の人たちへの土産は沖縄名産の酒を買っていけば問題ない。特に奏などには良い酒をプレゼントしたいものである。


滋養強壮などに効き目のある酒を買っておけば問題ない。幸彦は沖縄の食べ物に加えて酒を土産にしておきたかった。


小百合には適当に菓子類でも与えておけばパソコンの前で食べてくれるだろう。真理には菓子類に加え観葉植物でも上げようかなどと考えられるのだが、やはり神加だけ何を与えたものかと困ってしまっていた。


とりあえずアドバイスを求めるべきだなと康太は電話をかける。


『ハロー、どうしたコータよ』


「アリス、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ、神加にお土産買っていこうと思うんだけど何がいいかな?」


『・・・何がいいかな・・・とは・・・現地のものでいいのではないか?』


「いやそうじゃなくて、小さな子供、それも女の子が何を上げたら喜ぶかわからなくてさ。アドバイスを求む」


『・・・私が幼い少女だったのはすでに何百年も前の話なのだが・・・あー・・・そうだな・・・ぬいぐるみでも与えておけばいいのではないのか?少女といえばそういったものが好きだろう?』


やはり人形の類がいいのだろうかと康太は唸り始める。


限定の人形がないわけではない。沖縄の民族衣装に身を包んだ有名な人形などが多々存在するために別にそれでも問題はないのだ。


『そうかそうか、確かコータは沖縄に行っているのだったな。私への土産は何にするつもりだ?』


「え?」


『え?』


不意にアリスから問いを投げかけられ、康太は一瞬放心してしまっていた。


アリスの土産のことを考えるのをすっかり忘れていたなとこの時点で気づき、とりあえず何にしようかと適当に売り場を見渡す。


「あー・・・菓子の類か酒にしようと思ってたけど・・・?どっちがいい?」


『迷うところだな。珍しい酒を頼む。明らかにこっちでは売っていないようなものだと嬉しいぞ』


「ほうほう・・・了解した」


康太へ目の前にあった瓶の中にハブが詰められた酒を見つめてこれにしようと即決する。


喜んでくれるかは置いておいて、珍しいのは間違いないだろうと決めつけてそれの購入を決めた。


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