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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十四話「旅行で斬り捨てるもの」

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ジャパニーズニンジャ

康太たちを乗せた飛行機は沖縄へと到着していた。


着陸の時のわずかな振動と、窓の外から見える風景に、生徒たちのテンションは最高潮へと達しようとしていた。


「あっつ!むあっとしてる!」


「そりゃ沖縄だからね、六月だっていうのに暑いなぁ」


「まだ六月でこれか・・・普通に泳げるっていうのも納得だな」


飛行機から降りて空港にたどり着いた段階で康太たちを迎えたのは異様な熱気だった。康太たちが普段生活している本州に比べると気温がかなり高い。そして湿度も高いのか、非常に暑く感じられてしまっていた。


昨今気温が上がってきていることもあって六月でも半そでで行動できるレベルの暑さは全国のほとんどで観測されているとはいえ、沖縄のそれは本州の七月から八月程度の気温はありそうに感じられていた。


「この後バス移動だろ?最初どこに行くんだっけ?」


「えっと・・・ちょっと待ってくれ、今しおりを・・・」


「あ、荷物来てる!回収しに行かないと!」


空港の荷物が流れ出てくる場所に康太たちの荷物も早々にやってきていた。それぞれ生徒たちが自分の荷物を取ろうとそこに並ぶ中、康太たちも急いで自分の荷物を回収するために向かっていた。


「てか、沖縄ってすごい狭いじゃん?そんなに見るところあるのかな?」


「狭いって言っても東京都と同じくらいはあると思うよ?そう考えると普通に見るところは多そうじゃない?」


沖縄は島国である日本の中でも島の中では比較的大きいほうであるといえるだろう。


見るべきところはそれなりに多く、学校側としても見せたいものもあるのだろう。何日かかけて観光するスケジュールになっていることからそのあたりがうかがえる。


「ちなみに今日の昼飯は?」


「あれだけお菓子食べたのにまだ食べるの?」


「別腹に決まってるだろ。こっちって何が有名なんだ?」


「ラーメンじゃね?沖縄そばっていうべきか?あとは・・・なんだろ。あぁそうだチャンプルーだ。ゴーヤチャンプルー。炒め物なんだっけ?」


「なんだっけ、そうめんみたいなのを炒めた料理ってイメージ」


明らかに今まで沖縄という場所に関わりがなさ過ぎたせいか、イメージも知っている情報もかなりあいまいで適当なものになってしまっている。


料理に関しても有名な食べ物に関してもかなり大雑把な認識しかできていない。


沖縄というあいまいではあるが具体的なイメージが先行しすぎているせいか、それぞれの中で独自の沖縄像が生まれ始めている。


そのほとんどが実際は間違っているものであると気付くのにはもう少し時間がかかりそうだった。


「バスそろそろ移動するみたいだな。急ごうぜ、置いていかれるとかシャレにならん」


「そうだな。さすがにいなかったら気付くだろうけど」


「どうだろ、これだけ人がいたら気づけないんじゃないかな?」


康太は文ならば気づいているだろうという考えのもと発言したのだが、普通に考えればこれだけ人がいる中で一人だけを認識するのはかなり難しい。


文の索敵ならすぐにできることでも一般人には難しいというものである。


また思考が魔術師寄りになっているということに気付いた康太は、即座に頭の中から魔術を追い出し、再びただの高校生に戻ろうとする。


「あれだな、外国人もそれなりにいるっぽいな」


「そうだな。六月でも割と人気なのかな?」


「日本のどこに行ってもたいてい外国人がいるイメージだな・・・北海道から沖縄まで・・・観光地が多いのはいいことなのかもしれないけど」


クラスメートのそんな会話を聞いて、康太は視線を動かしていく。確かにそこには何人か外国人が旅行者風の格好をしてそこにいた。


康太たちも旅行をしているという意味では大差ないのだが、外国人の旅行者には通訳とガイドがついていた。


当然聞こえてくるのは外国語である。英語も中には混じっているが、康太たちのようなただの高校生にそれを聞き取れというのは無理があった。


アリスがいたらこのくらいの外国語はわかるのだろうなと思いかけて、康太は首を横に振る。


アリスがこの場にいたらいろいろと面倒なことになりかねない。アリスならば来ようと思えばいくらでも沖縄にくることはできるのだ。


「あぁいう外国人って日本の何を見に来てるんだろうね。日本なんて見るものそんなにないだろうに」


「そうでもないんじゃないのか?外国から見れば日本の常識って結構変なものが多いらしいし、結構誤解とかされてるぞ?」


「誤解ってどんな?」


「忍者はまだいると本気で思われてたりな。昔はマジでいたから今も細々とやってるんだって思われてる。日本版のFBI的な感じ?」


康太の言葉に青山と島村は笑いだしてしまう。かつて存在したといわれている忍者だが、現代にもいるとなるといろいろと想像してしまう。


スパイと言われてもいいような職業なのだろうが、忍者というと途端にうさん臭さが増すのは気のせいではないだろう。


今時忍者がいるなどと誰も思わない。だが外国人からすればそういった当たり前のことを知る機会がないのもまた旅行などにくる楽しみの一つなのかもわからない。


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