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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十三話「追って追って、その先に」

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防御手段

「というわけでブライトビー、ライリーベル、トゥトゥエル・・・君たちが頼りだ。彼らをうまくフォローしてくれ」


「と・・・言われましても・・・間違いなく俺は前線に上がるでしょうし・・・ベルとトゥトゥの方でうまくフォローしてやってくれるか?」


康太の場合戦いに身を投じることになるためにおそらく、というか間違いなく土御門の二人を守ることは難しくなるだろう。


そうなれば、あと二人を守ることができるのは文と倉敷の二人だけということになってしまう。


「私は別にいいけど・・・正直なところ、私平均以上の防御能力はないわよ?銃を防げるかどうか・・・」


「水の障壁を張っていいなら銃弾くらいなら止められるかもしれないけど・・・守り続けられるかって言われると微妙だぞ?」


文はもとより守りよりも攻撃に重きを置いた魔術師だ。その魔術の性能のほとんどを攻撃に回しているために、防御をするということはあまりしてこなかった。


相手を圧倒できるだけの素質があるからできる芸当であると言い換えることもできる。良くも悪くも才能に恵まれてしまった弊害というべきか。


無論やろうと思えば防御もできるだろう。だが向かってくる銃弾を防ぐことができるだけの防御を展開できるかは怪しいところである。


対して倉敷は水の防壁を展開すれば銃弾を止めることは不可能ではない。空気の一万倍の物理的な抵抗を持つ水の中ならば、いかに貫通力の高い銃弾であろうと一メートル程度でほぼ完璧に停止してしまう。


数十センチの水の防壁でも、殺傷能力をかなり減衰することが可能だろう。直接当たっても怪我一つしない程度の威力まで。


かつて康太の炸裂鉄球を防いだように、銃弾も同じような形で防げばいいだけの話なのだ。だが問題なのは彼の精霊術師としての性能である。


文のように恵まれた才能を有していれば、その水の防壁を延々と展開し土御門の二人を守ることもできたのだろう。


今回の戦闘時間がどれほどになるのか倉敷は想像できていなかったが、一定量の水を顕現する、あるいは操作し続けるという行為によって消費する魔力と、自らと自らに宿した精霊の魔力供給能力を天秤にかけた時、長時間守り続けることが難しい可能性があることに倉敷は気づいていた。


「なるほど・・・そういう弱点もあるのか・・・」


「どっちにしても私かトゥトゥがやるしかないんだけどさ・・・ビーは防御能力かなり低いし」


「仮に俺が戦闘に出なくてもそうなるだろうな。ぶっちゃけ俺は防御では完璧に役立たずだ・・・」


康太は防ぐのではなく回避することによって相手の攻撃を無力化するタイプの戦闘スタイルだ。


真っ向から受け止めるのではなく受け流す、避けるといった動作が多いために誰かを守るという行為は圧倒的に苦手としていた。


だからこそ、土御門の二人を守るのであれば消去法で康太以外の二人に話が向かうのである。


「二人とも、予知の魔術で二つ以上のものを見ることってできるのか?」


「二つ・・・っていうと?」


「自分たちの身の安全と攻略中の味方の安全って感じで。撃たれる時間と角度がわかれば回避はできるだろ?」


「・・・いやいや・・・時間と角度がわかっても銃の回避は・・・」


「・・・難しいと思います・・・けど・・・」


さも当たり前のように回避ができるだろうといった康太に対して、土御門の二人は複雑そうな表情を浮かべた後で首を横に振る。


仮面のせいでその表情を見ることはできないが、動揺しているのは確かだなと文はため息をついていた。


「あんたと一緒にしないの。適当に避けたら別の弾に当たるかもしれないんだから下手に動けないでしょうが。正面からの防御が一番確実よ」


「そうは言うけどな・・・そういえば二人は防御はどれくらいできるんだ?」


「えっと・・・普通の障壁を展開する程度は」


康太に促されて土御門の二人は目の前に障壁を展開して見せる。康太はその障壁をまじまじと観察し、小百合はその様子を横目で眺めてから小さくため息をついていた。


「ビー、エンチャントは使うなよ?」


「大丈夫です。これくらいなら」


康太は障壁をゆっくりと観察しながら自分のもっていた小さなナイフを取り出す。いきなり刃物を取り出した康太に土御門の二人は若干驚いていたが、そのナイフが障壁に突き立てられた瞬間、その驚きはさらに強くなる。


康太が突き出したナイフは見事に障壁を貫通していた。


魔術も何もかけられていないただのナイフ。ただの刃物が自らが作り出した障壁を易々と貫通しているその事実を見て土御門の二人は目を丸くしていた。


「精度、練度、共に低いな・・・銃弾を防ぐどころかビーのナイフすら防げないとは」


「え・・・!?嘘・・・!?マジっすか!?」


「うわ・・・こんなに簡単に・・・?」


実際は康太が壁破りの技術を身に着けてきているからこその結果だが、銃弾が万が一障壁の弱い部分に的中したらこのナイフと同様に障壁を簡単に貫通していたことだろう。


これでは防壁とは言えない。


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