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紫音&梓シリーズ

スキー合宿

作者: 麻沙綺
掲載日:2014/01/29

今日から、スキー合宿。

二泊三日の学校行事とはいえ、超憂鬱。

なぜって?

スキーなんか、一度もやった事がないド素人なんだよ。

しかも、合宿の二日目がバレンタインデー。

私の愛しの彼は、絶対って言って良い程、沢山のチョコを貰うんだろうなぁ…。



「梓ー」

朋子が、声をかけてきた。

「おはよう、朋子」

「って、何呑気なこと言ってるのよ。ほら、バスに乗らないと」

朋子に背中を押される。

バスは、クラス毎になっていて、彼とは別々。

っていうか…。

王子の彼女が、私だなんて、誰も思っていないだろう。

「梓。ちゃんとチョコ持ってきたんでしょ?」

「うん、一様は…」

一様、頑張って手作りチョコを作ってみたんだけど…。

それだけじゃなくて、手作りの毛糸の帽子も一緒に渡そうと思ってる。

「一様って…。もっと、自信持ちなさいよね」

朋子が、私の背中を叩く。

「痛いって…」

私達は、空いてる席に座る。

出発直前に、クラスの女子がキャーキャー騒ぎだした。

私と朋子は、顔をあげると彼が立っていた。

エッ…。

「何で?」

私の口から、その言葉が出てきた。

「梓、おはよう。明日の自由行動、一緒にどう?」

彼、流崎紫音くんが言ってきた。

クラス中の女子の視線が私に注目してる。

何て、答えたら…。

「流崎。梓が困ってるから、後にしたら…」

朋子が、助け船を出してくれる。

「朋ちゃん。俺は、梓に…」

「だから、もう出るみたいだけど…」

朋子が、他のバスを指差して言う。

それを見た紫音くんが、慌て出した。

「梓、後で返事聞かせて」

と、出ていった。

ハァー。

視線が痛いです。

これは、どうしたら良いんでしょ。

何て答えよう。

ロッジに着く間、ずーっと考えていた。



バスを降りて、昼食を摂った後、各自部屋に向かう。

四人一部屋で、二泊する。

もちろん、朋子とは同室。

後の二人も同じクラスの子だ。

「ねぇ、田口さん。王子と付き合ってるの?」

聞かれて、どう答えれば良いのかと思ってると。

「あぁ、ここでの事は、他言しないから大丈夫だよ」

と、スキーウエアに着替えながら言う。

「私達、他の学校に彼氏居るから、とろとう何て思ってないからね」

私は、突然の告白に驚いた。

「そうなの? それ、私と一緒だ」

朋子が言い出す。

そうは言っても、朋子の彼は大学生。

朋子自身も、同級生は頼りないみたいだけど…。

「へぇ、そうなんだ。ねぇ、その辺の話、夜にしない?」

との提案に。

「いいね」

朋子が頷く。

「田口さんも…ね」

「…う…うん…」

仕方なしに頷いた。

「ほら、もう時間だよ」

私も慌てて、着替えて部屋を出た。



集合時間ギリギリに並ぶ。

今日のウエアは、朋子に付き合ってもらい買ったもの。

朋子が、選んでくれたものだから、大丈夫だと思う。

…けど…。

「……では、各コースに毎に集まって怪我の無いように…」

ということで、私は初心者コースに向かう。



初心者は、私を含めて十人。

でも、私以外の人、運動神経良さそうなので、直ぐに慣れてしまう気がする。

「コーチをします、長瀬です。宜しく」

っと、目に前で挨拶されて。

「あっ、田口梓です。宜しくお願いします」

今回は、初心者が少なかったらしく、マンツーマンで指導してくれるみたいです。

「じゃあ、田口さん…。梓ちゃんって呼んでもいいかな?」

「エッ…。あ、はい。構いませんけど…」

「とりあえず、板を借りに行こうか」

「はい」

私は、長瀬さんについて行く。


長瀬さんは、手慣れたように板を借りてくれる。

「梓ちゃんは、スキー自体が初めて?」

「恥ずかしながら…」

「そっか…。じゃあ、平らのところで、板のはめかたからだね」

長瀬さんは、そう言って私の分の板まで担いで、移動する。

「あのー。自分の分は、自分で持ちます」

と声をかけたら。

「あれー。俺、そんなに頼りないかなぁー?」

ニコニコしながら言う。

「そう言うわけじゃ…」

「じゃあ、このまま…ね」

「……はい」

って、頷くしかない。


「この辺で良いか…」

長瀬さんがそう言って、板を下ろす。

「まずは、板と足を繋ぐところから始めようか」

「はい」

「俺が、見本、見せるから、見てて」

長瀬さんが、そう言うから彼の行動を見逃さないように凝視した。

「梓ちゃん。そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど…」

「あっ、ごめんなさい…」

そんなこんなで、長瀬さんが丁寧に教えてくれる。



「じゃあ、少し休憩をとってから、なだらかな斜面で、ゆっくり滑ろうか…」

「はい」

私の返事を聞いて、ロッジのある休憩室に向かう。



休憩室には、数人しか居なかった。

私は、空いていた席に座る。

フー。

私、本当に滑れるようになるのかなぁ。

「はい。梓ちゃん。ココアでよかった?」

「あっ、はい。ありがとうございます」

私は、長瀬さんからココアを受けとると一口、口に含んだ。

その温かさが、体に染み込んでいく。

「梓ちゃんって、可愛いよね」

「そうですか? そんな事言われた事ないですよ」

って苦笑する。

「本当? 同学年の男供は、見る目がないんだな」

って、ニコニコ顔で、言われました。

エッと…。

それは、どういう意味なんでしょう?

「いや。梓ちゃん程の可愛い子って、いないよ」

うーん。

それは、喜んでいいんでしょうか?

「梓」

声をかけられて。

「あっ、朋子。朋子も休憩?」

「うん。梓は、頑張ってるの?」

「うん。長瀬さんが、丁寧に教えてくれるんだよ」

私は、隣に座ってる長瀬さんを見る。

「そう。でも、王子は、他の子達と楽しそうだけどね」

朋子が、呆れたように言う。

そうなんだ。

でも、仕方ないよね。

こればかりは…。

紫音くん、何でも楽々こなしちゃうから…。

「梓ちゃんの友達?」

長瀬さんが、声をかけてきた。

「エッ、あ、はい」

「棚橋朋子です。梓が迷惑かけてませんか?」

朋子は、自分から自己紹介しだす。

「大丈夫だよ。梓ちゃん、素直な生徒だよ。もしよかったら朋子ちゃんも一緒にどう?」

「私は、遠慮しておきます。梓の事宜しくお願いします」

朋子は、長瀬さんに頭を下げると行ってしまった。

「梓ちゃん。俺達もそろそろ行こうか」

「はい」

長瀬さんは、私が持ってた紙コップを取るとそれをゴミ箱に捨て外に出る。

やることが、スマートだよ。

私は、その後を追った。



「リフトも初だよね」

長瀬さんの言葉に頷く。

「じゃあ、オレが先に乗るから、後ろのリフトに乗ってきて」

長瀬さんに言われて頷く。

乗る事は、出来た。

でも、降りるときは?

リフトが、終着まで来ると折り返していく。

えーっと…。

私が、慌ててると。

「梓ちゃん。軽く飛んで」

って言われて、私は怖じけずく。

が、このまま乗ってても戻ってしまう。

私は、意を決して飛ぶ。

すると、ボフ…。

長瀬さんが、抱き止めてくれた。

「あっ、ありがとうございます」

「いえいえ、さっ、コースに出よう」

長瀬さんは、私の前をゆっくりと歩く。

初心者コースに着くと。

「さっき、教えたように板をつけてね」

長瀬さんは、さっさと準備してる。

エッ…と。

こうだったよね。

さっき教わった事を忠実に行う。

「よし、じゃあ、俺が先に行くから、その後をゆっくりと降りてきて」

長瀬さんが、先に滑っていく。

「梓ちゃん。おいで」

長瀬さんに言われて、ゆっくりと滑る。

ワッ…。

「梓ちゃん。腰が引けてる。もっと、膝を使って…」

そんな事言われても、どうしたらいいの…。

って…。

あっ…。

止まらない…。

「梓ちゃん…」

あっ…。

と思ったら、長瀬さんが受け止めてくれる。

「大丈夫?」

「はい。すみません…」

私は、萎縮してしまう。

「俺の事はいいから…。梓ちゃんが無事なら…」

そんな返事を聞きながら、周りが黄色い声をあげてるのに気づいた。

声の方を向くと紫音くんが、綺麗なシュールを描いて降りてくる。

その横に寄り添うように有美さんが、一緒に滑っていた。

それが、凄く絵になってて…。

私には、無理だな。

有美さんは、いかにも紫音くんの彼女のような素振りを見せている。

ハァー。

「あの二人、お似合いだな」

って、長瀬さんまでも…。

やっぱり、そうですよね。

あの二人が並ぶと、美男美女ですもんね。

なんで、こう悲観してるんだろう。

「でも、俺は、梓ちゃんの方が好みだけどな」

長瀬さんが言う。

エッと…。

どう返したらいいのか…。

「さぁて、梓ちゃん。続けようか」

長瀬さんに言われて頷いた。



「大分、滑れるようになったね」

長瀬さんが、ニコニコしながら言う。

「そうですか? まだ、ちょっとぎこちないと思うんですが…」

「あまり無理しても仕方ないから、今日はここまでだね」

陽も沈みかけてるし…。

「はい」

「明日も教えてあげるから、安心して…」

エッ…。

明日も…。

「何か、問題あった?」

「いえ、大丈夫です」

「そっ、じゃあ、また明日ね」

「あ、ありがとうございました」

私は、頭を下げた。



ハァー。

溜め息交じりで部屋に戻った。

「お帰り」

朋子が、笑顔で言う。

「ただいま」

落ち込み気味の私にたいして。

「どうしたの?」

心配気味な朋子。

「明日も長瀬さんとマンツーで滑ることになちゃった」

「エッ…。明日もって…。流崎どうするの?」

う…うん…。

「どうしよう…」

私は、朋子に泣きついた。




夕食後の自由時間。

「梓」

不意に呼び止められた。

「紫音くん」

「朝の返事、聞かせて?」

「ごめん。無理になっちゃった…」

私は、申し訳なく思いながら、紫音くんに謝った。

「まさか、あいつかよ!」

あいつって…。

私は、紫音くんの顔を見上げる。

「あいつが、梓を…」

紫音くんが、呟く。

「紫音くん?」

「梓は、あいつがいいのかよ」

エッ…。

「今日、梓のコーチしてた奴」

紫音くんの顔が歪んでいく。

「もういいよ。梓の好きにしな!」

「ちょ…ちょっと、紫音くん…」

私の声も虚しく、行ってしまう。

あー。

もう、何でこうなるんだろう。

明日は、バレンタインだっていうのに…。

このままじゃ、渡せないかも…。




部屋に戻ると、恋話が始まった。

「ねぇ、田口さん。王子と付き合ってるって、本当なの?」

不意に、朝と同じ質問が降ってきた。

どう答えたらいいんだろう…。

今の私、紫音くんの彼女っていえないよね。

「梓。どうしたの?」

朋子が、私の顔を覗き込んできた。

「どうしよう…。私、紫音くんを怒らせちゃったかも…」

私の言葉に三人が驚いた顔をする。

「何があったの?」

朋子が、諭す様に聞いてきた。

私は、さっきの事を話した。



「それは、ただの妬きもちだと思うよ」

他の二人も頷いてる。

そうなのかなぁ。

「田口さんをとられそうで、焦ってるんだよ」

「明日になれば、解決してるって…」

本当かなぁ。

「それに、明日はバレンタインだしね」

朋子に言われて…。

「今日は、もう寝ようよ」

「うん。お休み」

「お休み」

それぞれのベッドに入って、眠りについた。



翌朝。

「おはよう」

「おはよう。今日は、頑張りなね」

皆が、背中を押してくれる。

「うん…」

「さぁって。朝食、食べに行こうか」

四人で部屋を出て、食堂向かう。

その廊下で。

「紫音くん。これ、受け取ってー!」

って、声が聞こえてきた。

エッ…。

私は、その場で固まった。

「梓?」

隣に居た朋子が、私に声をかけてきた。

「…うう…ううん。なんでもない」

私は、笑顔を張り付けて、食堂に足を向けた。

わかってた事だけど、やっぱりだよね。

食堂に入って四人がけのテーブルに着く。

「私達、先にとってくるね」

「うん」

朋子が、返事を返してる。

「梓。あからさまに落ち込まないの」

「だって…」

って、私達が話してる間に、食堂に紫音くんの姿。

「紫音くん。これ、受け取ってー!!」

女の子が、紫音くんに群がる。

「流崎くん。これ、貰っていただけます」

紫音くんの横に並ぶように有美さんが、言ってる。

もう、見ていたくない。

私は、席を立つと食堂を後にした。

「梓…」

智子の声が背後でする。



何で、私、こんなに胸が痛いんだろう。

こんなに、心狭かった?

紫音くんの事だからかなぁ…。



部屋を出る前にウエアーのポケットに、チョコと帽子を忍ばせた。

渡せるとは、思えないけど…。




「梓ちゃん。大丈夫?」

長瀬さんが、私の顔を覗き込んできた。

「あっ、はい。大丈夫です」

ドアップの長瀬さんにビックリして、後ずさった。

「昨日の続きうをしようか?」

「はい」

早く上達したくて、そう返事をする。

今日も、長瀬さんが板を持ってくれる。

なんか、悪い気がするが…。

「気にしなくていいから…」

長瀬さんが、笑顔で言う。

うーん…。

なんだろう?

昨日より、ご機嫌なような気がする。

「大分、滑れるようになったね。じゃあ、中級コースに挑戦しようか」

長瀬さんの提案で、中級コースに移動。

ちょっと、怖いかも…。

「梓ちゃん。ゆっくりでいいから、下まで降りよう」

長瀬さんが、何時もの様に先に滑り出す。

私は、意を決して、滑り出した。

当たり前なんだけど、初心者コースより、斜面が急で、スピードが出てる。

ワッ…わ…。

勢いがつきすぎて、止まらない。

「梓ちゃん!」

長瀬さんも慌ててる。

私も、パニック状態。

どうしたら、止まるの?

「梓ーー!!」

大きな声と同時に。

ドン!!

衝撃と同時に目を瞑ってしまい、何がどうなったのか…。

でも、これが痛くないんだ。

私は、恐る恐る目を開けた。

「紫音くん!!」

私の目の前には、紫音くんが…。

私を抱き締めてくれてた。

「痛たた…。梓、大丈夫か?」

自分の方が痛いはずなのに、紫音くんは私の事を気遣ってくれる。

「うん、私は…。紫音くんの方こそ大丈夫?」

「俺は、大丈夫だよ。何て無茶しやがるんだよ!」

「…ごめんなさい…」

「…ったく、心配かけさせるな」

紫音くんが、私の頭を撫でる。

「うん…」

「…で、俺に渡すものはない?」

って、催促される。

「無いよ。だって、紫音くん一杯もらってるでしょ?」

嘘。

本当は、持ってる。

「あー、あれ。全部断った。それに、彼女が居るのに受け取るのは、失礼だろ。だから梓から貰わないと今年、俺ゼロになるんだけど…」

紫音くんが、照れながら言う。

そうだったんだ。

私は、ウエアーのポケットに隠してた袋を取り出す。

「はい、紫音くん。貰ってくれますか?」

それを紫音くんに差し出した。

「喜んでいただきます」

紫音くんの顔が、笑顔になる。

「開けていい?」

私は、頷いた。

気に入ってくれるといいんだけど…。

「…これは…」

そう言って、取り出したモノを頭に被る。

うん、似合ってる。

「梓。これ、手編みだよな」

「うん。紫音くんに似合う色を見つけて、編んでみたんだ」

「ありがとう、梓」

紫音くんに抱きつかれた。

エッ…、あっ…。

「紫音くん…」

「梓ちゃん…」

背後から、長瀬さんの声。

「長瀬さん…。あの…」

「うん。梓ちゃんの彼だって、直ぐにわかった。俺の完敗」

って、長瀬さんが言う。

エッ…。

あの…、それは、一体何の事?

「じゃあ…」

そう言って、長瀬さんは降りていった。

「やっぱり。あいつは、梓の事、狙ってたんだ」

紫音くん?

それは、つまりどう言う事でしょう?

「梓。お前、隙見せすぎ。もっと自覚持てよ。俺の女だって」

エェーっ。

もしかして、長瀬さんが、私の事を…。

って言うか、紫音くん。

今、めちゃ恥ずかしい事をさらりと言いませんでした。

あ、ダメだ。

顔が、熱くなってきた。

そんな顔を見られたくなくて、顔を背ける。

「梓」

「はい」

声が上ずる。

「こっち向いて」

無理です。

向けれないでいる私の頬に、柔らかいものが触れる。

エッ…。

私が、紫音くんの方に向くと。

「やっと、向いたな。梓、大好きだよ」

紫音くんが、笑顔で囁く。

「うん。私も、紫音くんが好き」

私は、笑顔で言い返した。

梓、凄い鈍感でしたね。


チョコ、どこにいっちゃったんだろう?


まぁ、紫音の事だから隠れて、食べたんでしょう…ね。

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