「もしも」について語る会
――もしも、もしもハナが皇帝ではない誰かを選ぶなら
これはそんな妄想について語り合う会である。
◆◆◆◆
「わたくしにもハナさんと暮らせる可能性がありますわね」
ハナと二人で毎日、楽しく過ごす。そんな妄想に嬉しそうな顔でイオが言うとセテも嬉しそうに頷いた。
「私にも可能性があるんだねぇ」
二人で楽しそうにうんうん、と頷き合っているとやって来たのがペット大好き侯爵。
「ペット(ハナ)について語り合う会の招待状を頂いたのだが」
お堅い侯爵がこんな妄想話に律儀に、茶菓子と茶葉と花を携えてやってくるなど不思議だが、貴族としてはイオ、セテは侯爵より身分が上のため基本的に拒否権はない。
そして、ペットについて心行くまで語り合えるのなら満更でもない。
ニネベが侯爵の持ってきた花を飾り、お茶とお菓子を並べると昼下がりのお茶会が始まった。
「して、主題は?」
「ハナさんについて、ですわ。わたくしとハナさん、一緒に暮らすの」
「なに? では、公女がハナを引き取ることに決まったのか?」
「さぁ、どうかしら?」
「私が引き取るかもしれないしね」
イオとセテが意味ありげに微笑むと侯爵は、顎に手を当てて考え始めた。
「では、私が引き取ることもあり得るのだな……?」
「「そういうこと(ですわ)」」
「うむ、なかなかに楽しそうだな……」
三人で、ああでもないこうでもない、と楽しく語らっていると能天気な男が笑い声に釣られてやってきた。
「おお、イオ、セテ、侯爵、随分と楽しそうだな」
「ごきげんよう、陛下。ええ、とても楽しいですわ」
「そうなのか? 何の話をしておったのだ?」
「もちろんハナさんのお話ですわ」
イオがすかさず言うと、皇帝は瞳を爛々と輝かせて話に飛びついた。
「おお、それは良いな! 余も混ぜてくれ!」
「構いませんが……どうなっても知りませんよ」
「うむ、楽しいに決まっておるな!」
「陛下、楽しいです。まず、ハナ殿は私が引き取ることになりましたので」
侯爵が真顔でそう言うと、皇帝は「えぇっ!?」と言う顔で侯爵を見つめた。




