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魔法の使える世界にて悲しき過去を語られる件について

ほかの方と似ている部分がありましたら

ご報告ください

※今回は海の一人称ではなく三人称で小説が進んでいきます。ご注意ください






「――――それでミキのことなんだが」

イザリアは白い椅子にゆったりと腰かけ目の前に居る海に向かって言い放つ。

ミキはすでに治癒魔法の使えるやつに治療してもらっている。


「これはな、ミキに聞いた話だ」

イザリアはスッと目をつぶり記憶を辿りミキから聞いた話を思い出そうとした。


※3年前 ミキ当時8歳


「兄ちゃーん!」

ミキはとある平和な村に住んでいた。

ミキは他の人よりずっと魔力の数値が低かったがそのかわり魔法の技術がはるかに高かった。

魔力と技術というものは比例するものではない。

魔力がたくさんあるのに低級な魔法しか使えないものもいれば魔力も技術も普通というやつも居る。

しかしミキはそれを疑問に思ったことはなかった。

それを言ったら魔力が高いのに低級な魔法しか使えないやつはどうなるんだと何度も考えたからだ。

それに今の平和な日常さえあれば魔法なんてどうでもいいとさえミキは思っていた。


「ん、なんだミキ」

自分より5歳上の優しい兄ちゃん、優しい親。優しい人達。そんな人達に囲まれてのびのび暮らしていた。


「今日ね、今日ね学校でね」

学校が終わったら兄ちゃんであるミサキに学校であったことを報告することが日課だった。

ミサキはそれをニコニコと聞く。苛められた話を言うとミサキはみけんにしわをよせて困ったように笑うのだった。その笑みに黒い感情を渦巻かせながら。

苛められた話をすれば次の日に苛めた奴は学校を休みそれから自分に話をしなくなる。

幼かったミキにはそれについて深く考えなかった。


そして平和な時は過ぎ、あの日がやってくる。


3年が経った今でも頭に焼き付いて離れないあの日が――――。


ミキの村に封印されていた化け狐が突然何者かによって封印が解かれたのだ。

化け狐は今まで動けなかったぶん村で暴れた。

そしてミキは―――――


「い、あ、来ないで」

化け狐の目の前に居た。

化け狐は目を光らせミキに向かって前足を振り上げ、そして勢いよく振り下ろした。


「ミキ!」

ドンッと押される感覚とともにミキは地面に転がる。しかしそんなことはどうでもよかった。

目の前に自分の兄、ミサキが倒れているからだった。


「い、いや、兄ちゃん、にいちゃあああああん」

ミキはミサキを何度も何度もゆさぶった。しかしピクリとも動かない。

化け狐はいつの間にかいなくなっておりミキはポタポタと涙を流した。

それから聞いた話だが化け狐はまた村人により封印されたらしい。

しかしミキはずっとミサキのことをそれから考え続けた。

自分のせいで死んでしまったという罪悪感が心を支配し苦しむ毎日。

そんなある日。

図書館でミキは見つけた。


死んだ人を蘇えらせる術を、

自分の召喚魔として蘇えらせる術を


それはとても難しい魔法だった。高度な技術が必要だったがミキにはそんなこと関係なかった。一日でその本の内容を覚え魔法の儀式を行った。

そしてその儀式は―――――失敗した。

いや、成功はしたのがただの召喚魔としてではなく、自分に憑依させる召喚魔だったのだ。

しかも自分が危険に晒されたときのみに自動的に出てきて憑依するがたの。

そしてその後化け狐を封印していた場所はまた封印が解かれた。

そっきょうで作ったせいだろう。封印があまく化け狐自身の力で壊してしまったのだ。


そしてミキは今度こそ勝つつもりで化け狐のところへ向かった。

しかし、やはり実力の差は大きくミキはまた負けた。

トドメがさされると思い目をつぶった。

そして自然と意識を失った―――――はずだった。

自分が目を覚ましたときにはすでに化け狐はいなかった。

そこはただの焼け野原となってはいたが

ミキは身体中がボロボロだった。その中にポツリと光るものが落ちている。


「……?」

それは赤く染まったコインだった。もしかして化け狐をこのコインで召喚魔としたのだろうか。

ミキはコインをぎゅうと胸に押し当てた。

ミサキが自分を守ってくれた。そう思ったからだ。


そして今に至る。


※現在


「ミキは死者を蘇えらせる魔法により元から少なかった魔法の半分を失った。永遠に。そのせいで少しの魔法だけでも使えば魔力が少ししか残らなくなりミサキが出てくるようになった。そのたびにミキに魔法を使わせたやつを殺そうとしてたよ。ミサキは」

イザリアが長い語りを終えた後に入れてあった紅茶を飲む。

語っている間に紅茶は冷め切っておりあまり美味しくなかったのだがせっかくアリサがいれてくれたものだ。イザリアはそれを飲み干した。

そして海に目を向ける。


「……そう、だったんですか」

海も紅茶に手をのばし少し飲む。

「俺も一度斬られかけたことがあるよ」

そう懐かしむように言うイザリアの顔は少し悲しみの色が混じっていた。

イザリアはどうしてもミキに魔法が使わせたかった。

その理由が分かるのはまた次回。

やっと終わりました。

こういうシリアスな話は結構楽に進みました。

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