魔法の使える世界にて俺の部屋となる場所には化け物がすみついていた件について
ほかの方と似ている部分がありましたら
ご報告ください
「ここがお前の部屋となる場所なんだが」
イザリアが目の前の部屋の扉を指差し言う。
そこには鎖が何重にも巻き付いたうえに何十個ものの南京錠がついている扉があった。
「アイカ」
「…はい」
赤いフードのコートの子が扉に向かい手をつきだす。手から淡い水色の光が出てきたかと思ったらその瞬間鎖と南京錠がばらばらと地面に落ちた。
俺はその光景に驚き鎖を拾い上げてみる。
ジャラと音がし手に重みがかかる。
「アイカは魔力を操る魔法。この鎖には魔力が巻きついていて魔力を抜くことによって外すことができる代物なんだ。本当は魔力を放出するカギを使って魔力を消すんだけど南京錠を何十個もとるほど暇じゃないから」
イザリアさんが鎖について簡単に説明をした後、扉を思いっきり開けた。
扉があくと中は白い煙につつまれており中の様子が全く見えなかった。
「アリサの魔法で時空が歪められている。入ったら中に居る奴をどうにかしねえかぎりはでれねえ仕組みになってる。まぁアイカの魔法と一緒に使って精密に設定した訳じゃないからその気になれば出れるかもしれないけど」
イザリアさんが言うことは俺にはよく分からなかったが、要するに1度入ったら簡単には出れないのだろう。
イザリアさんはそれを説明した後部屋に向かってまっすぐ入っていく。
するとイザリアさんが部屋に足を踏み入れた瞬間にイザリアさんは煙に包まれ消えた。
他の3人もその後に続く。俺は一瞬戸惑ったがそのまま足を踏み入れた。
部屋は思った以上に明るく煙は入り口にうずまいているだけのようだった。
「おい、姿を現せ」
イザリアさんが目の前を睨みながら声を張り上げる。
すると何もない空間からでかい狐が出てきた。どれくらいかっていうと170cmを超える俺の身長をはるかに超えていた。3mはあるんじゃないだろうか。
『そこに居るのはなんだ? 人間か化け物か?』
地の底から恐ろしく低い声が響き渡る。狐は俺に9本もある尻尾のうち1本を向ける。
「なんのことだ。それより、今日はてめえをぶっ倒しにきた」
イザリアさんが尚も強い口調で狐を睨みつける。
狐はスゥと尻尾を俺から離し笑い始めた。
『何度も言うが私はそこの少年の召喚魔の中に居る1人にしか仕えてないもんでな』
ミキさんを尻尾でさして笑う。何のことだかさっぱり分からなかった。
「…今度こそ僕に従ってください!」
ミキさんがポケットから丸いコインのようなものを取り出して叫ぶ。
『……。分かった。だが私を吸収しようとするには大きな魔力が必要になる。それに耐え切れなくなったらどうなるかわかってんだろうなあ』
狐がそう言ってコインに向かって前足を伸ばす。
その次の瞬間狐は丸いコインに向かって吸い込まれていく。
「カイ! ミキを支えておいてくれ!」
「え、あぁ」
俺はミキさんの背中を支える。ズリズリと後ろにミキさんがさがっていき俺も足に力をいれてふんばるが後ろに少しずつ下がっていく。
「くっあぁあああああっ!!」
そしてミキさんが大きな叫び声をあげたと同時にコインが真っ赤な色に染まり地面に落ちる。
その直後ミキさんの身体がスッと大きくなる。
背が一瞬にして伸び……た?
ミキさんが背中を支えている俺の手を振り払う。
「イザリア…あんだけミキに魔法を使わせんなって言ったよな」
「ミサキ……」
「俺が出てこなかったらミキは死んでたんだぞ!」
「……」
「今度またミキに魔法を使わせてみろ。今度こそ殺すぞ」
そう言ってミキさん? はバタリと倒れた。
身体が小さくなり元の姿に戻る。
「今のはいったい……?」
「後で話す。気にするな」
イザリアさんはミキさんを抱え立ち上がった。
ミキさんはぐったりとしていて一瞬死んでるのかと錯覚した。
続く
新キャラが登場してごっちゃごっちゃしてますが気にしないでください
次の話が説明回です。