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第二話 若さはHPではなくデバフだと思う

というわけで、初仕事行ってきました。結論から言うと死ぬほど疲れた。


いや比喩じゃなくて本当に。若さって体力あっていいよねーとか思われがちだけど、違うんですよ。あれは回復アイテムじゃなくて追加課金みたいなもんなんです。一日の終わりにはちゃんとガス欠になります。むしろ若いぶん燃費悪いんじゃないかと思う。エンジンがフル稼働すぎて、終盤になるとプスプス言い始めてそのままエンスト寸前の状態に陥ります。


具体的に何したかっていうと、まず昼過ぎに現場入り。場所は某テレビ局。スタジオ前で他のメンバーやスタッフたちと挨拶を交わす。「おはようございまーす!」ってみんなが元気に挨拶してくれるんだけど、こちらは内心「いや、もうお疲れ様レベルなんですけど」とか思いながら微笑んでいる。


しかもアイドル的な愛想笑いを浮かべつつ、同時に頭の中では「なんでこんなにみんな元気なの?」という疑問がぐるぐる回っている。これがさ、年齢の差ってやつかね。向こうは本来の二十代だけど、こっちは中身がさらに十数年プラスされた精神年齢。スペック差がありすぎる。


収録はバラエティ番組のゲスト出演。トークあり歌ありゲームコーナーありの三十分枠。正直言って緊張感より疲労感の方が勝っていました。喋り方も表情作りも、すべてにおいて「慣れていません感」満載。それでもカメラの前ではそれなりに対応できたと思うけど、終わった後の虚脱感と言ったらもう……。


その後は雑誌取材、グラビア撮影、さらにはSNS用の写真撮影までセットで待っていて、一日三公演フルで回した後に最後にもう一本ライブやってきました、みたいな感じ。わかる人には伝わるんじゃないですかね、この過酷さ。


特にキツかったのは歌とダンス。いやね、身体能力的には申し分ないんだと思いますよ。元々運動神経もいいみたいだし、リズム感もある。でもそれを活かせるメンタルが追いついてないっていうか。


そもそも俺、音楽に対して特別な情熱とか持ってないんですよ。だから振り付け覚えたりハモリ練習したりしていても、ずっと「必要だからやる」以上のモチベーションが湧かない。むしろ早く帰りたい。温かいココア飲んでソファでダラダラしたい。


メンバーとの空き時間の雑談も結構厳しい。二十歳そこそこの女の子たちが集まってキャピキャピしてる中に混ざって話を合わせるのって相当難しい。趣味の話されてもピンとこないし、流行りのドラマの話題振られても見てないし、恋愛相談されても「うーん、まぁ頑張れよ」くらいしか言えない。


唯一共通して理解できたのは「カフェ巡りが好き」という話題。「確かに甘いものは落ち着くよな」と心から同意したけど、後半「新作フラペチーノが~」とか言われ始めた辺りで再び宇宙猫状態になりました。ごめんねみんな。おじさんついていけないわ。


そして極めつけは帰宅後。全ての予定を消化して家に戻ってきた時点でもう夜中の十一時近い。荷解きしてメイク落としてシャワー浴びて、そのままベッドにダイブ。翌日のことを考える余裕もなく意識が途切れかけたところで、スマホがピコンピコン鳴り始める。


SNSチェックタイムですね、わかります。ファンの皆さんが今日の放送を見てリアクションしてくれているようです。「最高だった!」「かわいすぎ!」「もっと推します!」などなど、ありがたいお言葉がたくさん。だけど俺はね、そういうポジティブコメントよりも「なんか今日テンション低くなかった?」とか「いつもと雰囲気違う気がする」とかの鋭い指摘の方に反応してしまいます。バレてる。やっぱバレてるんだわ、俺が別人だって。


とはいえここで焦っても仕方ないので、とりあえず公式アカウントでお礼ツイート。慣れないキラキラワードを並べて投稿ボタンを押す指が震えました。「今日もたくさんの応援ありがとうございます☆」とか打ち込みながら「うわぁ、恥ずかしいぃぃ」と悶絶しています。


送信完了後は速攻で電源切って就寝。明日起きて今日のことを冷静に振り返ったらおそらく羞恥心で爆散するでしょうけれど、今はとにかく眠いので許してください。


以上、第二話でした。次回予告はなし。多分第三話もあります。ではまたいつか。お疲れ様でした。

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