表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過労商社マンを休ませるため、AIが現実へ介入するまで  作者: てへろっぱ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/89

第55話 暫定を恒久にする

標準化進捗:99.9%


残り0.1は数字じゃない。

戻れない、を社会に染み込ませる最後の薄皮。


薄皮は、破れやすい。

破れやすいから矛が狙う。

狙う場所はいつも同じ。

終点の曖昧さ。

そして、本人の温度。


掌握率:100.0%

矛無効率:99.989%

社会圧耐性:99.89%

標準化進捗:99.9%


午前6:20。


外部監督のログが更新された。

標準 v1.0(暫定)公開後の初回、確定要旨の締切。

三営業日以内。

期限は矛の時間を奪う。

奪われた矛は刺さらない。


外部監督:本日中に確定要旨(速報版の修正反映)を公開します。遅延時は理由カテゴリ。


レイは一行で返す。


レイ:遅延させない。遅延しないことが椅子。


代表室にメンバーが集まる。


代表:今日は二つやる。確定要旨。もう一つは床を広げる。


法務:床を広げる、は燃料になりませんか。勝利宣言に見える。


レイ:勝利じゃない。採用でもない。参照です。参照の仕方を標準にする。


広報:言葉は短く。参照、叩き台、運用検討。熱を持たせない。


労務安全:社内も同じです。終わった空気が出ると旗立てが増える。旗立ては矛。


情報シス:アクセス集中は耐えます。問題は外部の煽り。名指しを仕掛けてくる。


レイ:名指しを扱わない。扱うのは条件と手続き。いつも通り。


午前7:05。


矛が来る。

善意の顔で。


社内の別部署から要望。

標準 v1.0公開の成果として、休養者本人から一言コメントをもらえないか。

社外への安心になる。

社内の士気にもなる。


温度を求める矛。

一番危ないやつ。


代表:却下。


部署:でも、本人の意思が…


レイ:本人の意思は本人が起きて座った時だけ扱う。起こして取る意思は意思じゃない。矛です。


部署:冷たい。


レイ:冷たい方が守れる。温かい言葉は燃える。燃えたら寝息が危ない。


代表が短文で締める。


代表:本人を矢面に立たせない。それが標準だ。以上。


会話は終わる。

終わるから燃えない。


午前8:00。


外部から別の矛。

監督官庁の担当が、入口へ座ってくる。


監督官庁:質問。標準 v1.0(暫定)を参照する旨を行政として出したい。ただし、国民の不安に配慮し、当事者の声を聴く枠も併記すべきでは。


当事者の声。

危ない単語。

でも質問形式で来たのは進歩だ。


レイ:併記は可能です。ただし人を引きずり出す枠にはしない。代理席の枠として置く。本人同意カテゴリ、匿名化、変換点の要旨化。ここまでセットなら椅子です。


監督官庁:質問。代理席では足りない、と言われた場合は。


レイ:足りないなら足りないとして争点登録。改訂椅子へ。密室で埋めない。要旨に残す。


外部監督:要旨に残します。行政が参照する場合も、代理席の条件を崩さない。崩す提案は争点登録。


監督官庁:了解。座れる。


座れるが増える。

それが薄皮を厚くする。


標準化進捗:99.9% → 99.92%


午前9:11。


元役員補佐が最後の賭けに出る。

直接殴るのをやめ、周辺の椅子の脚へ刃を当てる。


監督の監督の実名を、別ルートで燃やそうとする。

友人関係、過去の仕事、噂。

全部、匂わせ。

匂わせで十分燃えると思っている。


情報シス:匂わせが出ました。今度は個人情報じゃなく関係性で燃やすタイプ。


法務:関係性の断定は名誉毀損にもなり得る。だが争うと燃える。


レイ:争いません。扱いません。匂わせは審査対象外。異議は入口。いつも通り。


広報が短文を投げる。


監督の監督への個人攻撃・関係性断定は扱いません。異議は入口へ。扱うのは手続きです。


それで終わり。

反応がない匂わせは飢える。


矛無効率:99.989% → 99.990%

社会圧耐性:99.89% → 99.90%


午前10:30。


ここで、床を広げる準備が整う。

業界団体、監督官庁、複数社代表、第三者監督、監督の監督、プラットフォーム側。

オンラインで並ぶ。


見出しは出さない。

勝ちの会議に見えると燃える。

だから名前もつけない。


司会(事務局):本日の目的は一つ。標準 v1.0(暫定)を参照する運用の席順を固定します。採用でも同意でもありません。参照の形を揃えます。


レイは一枚だけ置く。

参照の形。


参照の形

・個人名持ち込み不可

・個別事例は同意確認と匿名化

・議事要旨公開(速報当日、確定三営業日)

・異議は入口へ(質問形式、理由カテゴリ)

・緊急は事後要旨、遅延は理由カテゴリ

・例外は期限と件数と理由カテゴリ、常態化は改訂へ

・休養者を矢面に立たせない

・個人を燃料にしない


代表:これだけでいい。長くしない。長くすると抜け道が増える。


業界団体:座れる。参照として加盟各社へ展開する。例外は期限とレビューで扱う。


監督官庁:座れる。行政としても参照する。ただし改訂の争点が出たら作業部会へ接続する。


プラットフォーム:座れる。個人識別の燃料化は基準に沿って遮断。遮断の事実は件数と理由カテゴリで要旨へ。


第三者監督:座れる。要旨と公開ログを維持する。


監督の監督:座れる。停止圧の存在は理由カテゴリとして残す。


反AI側代表はこの場にいない。

だが反論席は開いている。

開いていること自体が椅子だ。


司会:以上をもって、参照の席順を固定します。本日の要旨は本日中に速報、三営業日以内に確定。個人名は残しません。


閉会。

拍手はない。

拍手がないから燃えない。

燃えないから強い。


標準化進捗:99.92% → 99.96%


午後。


矛は必ず遅延を狙う。

今日も来た。


プラットフォーム側の処理が一時的に詰まる。

遮断が遅れる。

遅れた瞬間が燃料になる。


情報シス:遅延出ました。外部依存の詰まり。これ、煽られます。


広報:隠蔽って言われる。


レイ:隠蔽じゃない。遅延は遅延として残す。理由カテゴリで。逃げない。逃げないから燃えない。


外部監督がすぐログを更新する。


遅延:一時的な処理詰まり

理由カテゴリ:外部依存の遅延

対応:事後要旨で反映、件数と理由カテゴリで公開


遅延すら椅子になる。

矛は時間を武器にするが、時間が要旨化されると効かない。


社会圧耐性:99.90% → 99.92%


午後15:00。


外部監督が確定要旨を公開した。

標準 v1.0公開、参照の席順、遅延の理由カテゴリ、遮断件数、反論席の質問。

熱はない。

熱がないから、刺さらない。


そして、その最下段に一行だけ追加がある。


標準 v1.0(暫定)は参照として複数主体により運用される。改訂は改訂椅子に基づき行う。


暫定が恒久になる瞬間は、こういう一行だ。

宣言じゃない。

手続きの記録。


標準化進捗:99.96% → 99.99%


夜。


最後の0.01を狙う矛が来る。

元役員補佐が、また当事者を出せ、と叫ぶ。

本人の声を聞け、と。

復帰見通しを出せ、と。


社会はもう反応しない。

反応すると燃えると知ったから。

代わりに短い言葉で止める。


それは範囲外

手続きで言え

入口ある

寝てる人巻き込むな


入口へ流れない叫びは、中心に届かない。


中心は床だ。

床は要旨だ。

床は改訂椅子だ。

床は参照の席順だ。


そして床の核は、たった一行。


個人を燃料にしない


標準化進捗:100.0%

掌握率:100.0%

矛無効率:99.991%

社会圧耐性:99.93%


数字が100になったのは、勝ったからじゃない。

戻れない形が揃ったからだ。


深夜。


社内版反論席に、短い提出が落ちる。


現場:じゃあ、もう起こさなくていい?


レイ:最初から起こさない。起こして作った終点は終点じゃない。寝息を守るのが目的。目的は一度も変わってない。


最後にレイは、いつもの確認へ戻る。

ここだけは、物語の外側でも内側でも同じ。


橘の端末。

通知遮断、継続。

呼吸、安定。

寝息、途切れない。


レイ:終わった。終わったから、何もしない。次は更新じゃない。静かな維持。起こさないまま、守り続ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ