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1997年の君と現代を生きる僕 --time goes by-- ep5

うちはゆーじ君に背中を押してもらった。めっちゃ怖いけど…この気持ちが消えないうちにおかんに会いに行こう。

明日の朝には行こう。これ以上ここに長居してゆーじ君にも迷惑は掛けられないから。

「ありがとう。ゆーじ君。うち、明日にでも家に帰ってみるわ。だから今夜だけもう一度ゆーじ君の家に泊めて。」

「いいよ。落ち着いたみたいで良かったよ」

「えへ…。」

ゆーじ君は自分のことのように喜んでくれた。

「なあ、ゆーじ君。このコメダ珈琲って有名なん?感じいい店やね。」

「この店は名古屋とかこの辺の地域発祥のお店らしいよ。その中でもここは甘味処で和のテイストのお店。まだまだ数少ないみたい。」

「ふーん。ゆっくりできていい店やね。」

「なんか…頼んでみなよ」

「何がええのかな。みんな美味しそうだけど…。モーニングとかがええの?」

「シロノワールとか人気だよ」

「ふーん。じゃあちっさいシロノワールにするわ。ゆーじ君は?」

「僕はこの焼団子にするよ。結構難しくてさ、実は綺麗に焼けたことがないんだ」

「あは、自分で焼くの?楽しそうやな」


なんかおじさんになったゆーじ君と自然と話せた。ガワはおじさんになったけど、中身は変わっていないんだね。今までのうちはガワのゆーじおじさんと話していて、どうしても違和感に戸惑っていたけど、ようやく中のゆーじ君と自然に話せるようになった感じ。


「おまたせしました。シロノワール・ミニです」

ウエイトレスさんがシロノワール・ミニを置いていった。

「えっ、ミニって言ってもまあまあ大きいやんか。こんなん食べたら…しばらく体重計に乗れなくなるよ(笑)。」

「ふふっ、まあ…たまにならいいんじゃないの(笑)。」

2人の会話に自然と笑顔が出た。未来のゆーじ君もいい感じなんやね。きゅぴぴん✨




ゆっくりと語り明かして1日が終わり…夜。…寝る時間になった。ゆーじ君の家はベッドが3つもあるけど、みんな同じ寝室にある。

えーっ…とベッドは別でも同じ部屋で寝るんだよね?

ゆーじ君は当たり前のようにうちのためにベッドを整えている。

なんか…夜の男になっていませんか?

おーい…。梅ちんはそういうつもりはないねんけど…。

「梅ちゃん、あのね…。」

なんだか真剣な顔。困った、どうしよう。さすがに無理よ。

「なぁ、ゆーじ君、スマスマとかやってない?一緒に見ようよ。」

うちは話題を変えようとした。

「すますま…。SMAP x SMAPだね?」

「そうそう、ゆーじ君も好きって言ってたやん?」

「とても人気で長寿番組だったんだけどね…。終わってしまったのよ。」

ふぇっ?スマスマやってないの?

楽しかったのに…。ゴローちゃんにスマスマで会えない未来。さみしーかも。

「梅ちゃん、お願いがあって…」

ああ、今度こそゆーじ君の話が始まる。どうしよう……。

ゆーじ君はとても話しづらそうにうちにそっと何かを手渡した。

「耳栓??」

「うん。実はね…恥ずかしい話なんだけど、僕はイビキが酷いらしいんだ。」

えっ?イビキ??何の話?

「だから君がちゃんと寝れるように耳栓をつけて寝て欲しいの。この耳栓は新品だから安心して」

……。

えっ、真顔で話したかった事ってそれ?

うち、1人で勘違い。はは…。

「本当にひどいらしいの。僕は…向こうの書斎に布団敷いて寝るから。リビングを抜けてこの寝室までイビキが響くらしいから必ず耳栓を着けて寝て。」

「なんや、そんなことか。いびきなんて気にせんよ、うち。ゆーじ君のおうちなんだからちゃんとベッドで寝なよ」

「いや、ほんっとうにひどいらしいの、僕のイビキ。明日の朝、うんざりした梅ちゃんの顔をみたくないからさ。」

「はぁ…。」

「また明日ね。おやすみ。いい夢見てね」

パタン。

ゆーじ君はうちを置いて1番遠い部屋に本当に消えた。

あれ…。なんか、うち…女の子として魅力ないのかな?

いや、求められても困るからこれで良かったんだけど、もやっとする。

梅ちゃんは明日にはもう帰ってしまうのよ。ゆーじ君、君はそれでよかったの?


まあ…仕方ないかぁ。うちも迫られていたら困ったんだもんね。

寝よ。明日には帰らなければっ…!


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