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沈黙のドナー

 AIによってマイナンバーカードの悪用を改変してもらい・・・

 続編があってもいいかな?


「沈黙のドナー」


Aは、誰にとっても無害な人間だった。

十年間、同じ現場で、同じラインを黙ってこなす男。苦情は一度もなく、遅刻も皆無。それでも彼の人生は何一つ変わらなかった。


正社員への昇格面談は5度受けた。いずれも不採用。理由は、「会社の都合」だった。

同僚が次々に抜かしていく中、彼は足元の床にだけ目を落とし続けた。

孤独ではなかったが、誰の記憶にも強くは残らない。

そんな「Aの人生」だった。


ある朝、駅に向かう途中で、それは起きた。


背後からの気配。電撃のような衝撃。視界がぐにゃりと歪み、真っ黒に染まる。


彼はそれが“終わり”であることを知る間もなかった。


目を覚ました場所には、機械の音だけが響いていた。


何が起きたのか理解できないまま、全身が縛られ、喉にはチューブが差し込まれていた。

そして医師らしき者がつぶやいた一言を、かろうじて耳にした——


「この心臓が手に入ったのは奇跡だ。あの人が助かる」


その言葉に、Aの脳は恐怖と怒りと、言いようのない絶望で埋め尽くされた。

だが、体はすでに麻酔に包まれ、声も、抵抗も、できない。


——生きたまま、解体されていく。


数日後。

国会の奥、決してマスコミのカメラが届かない部屋で、一人の男が密かに退院した。


「心臓移植は成功だ。あの男のデータがなければ不可能だった」

そう語った医師の一人は、国家医療庁の上級官僚。

依頼主は現職大臣。次期総理候補とも噂されていた人物だった。


本来、マイナンバーに登録されたDNA情報は厳重に保管されるべきもの。

だが実際は、最上層の命令一つで、選別された“提供対象者”のリストが作成されていた。


表に出ることのないデータベース。

そこに載ることのない、国民がいた。


Aは、その一人だった。


彼の死は誰にも知られない。

家族もいなかった。葬式もなかった。役所は失踪届を形式的に処理し、「自己都合の退職」とだけ記録された。


だが、彼の命が奪われたその瞬間、移植された臓器が5人の命を救った。

そのうちの一人は、小児病棟に入院していた6歳の少女だった。


心臓を失ったその子の胸には、新しい鼓動が生まれた。

Aの鼓動。

まるで、生きろ、と言っているかのように。


Aの“希望”は、そこにあった。


彼の人生は、使い捨てられた。

政治の闇に消された。

だが、彼の命が誰かを生かしたという、たった一つの事実だけが、

この不条理な世界に対してわずかに牙を向ける。


彼のような者が、もう二度と奪われないように。

その心臓は今日も鼓動している。

 マイナンバーカードが義務付けされるとき、政府に利点があるとしたら、国民が全員がドナー登録され

自分のようななにも持たない人が被害にあうと感じた時にフィクションと考えた。

 まあ、その時代の小説 東野圭吾さんのプラチナデーターが着想だったのだけど

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