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不思議図書館  作者: A-10
6/25

6・ケリー=ウッドロゥ

・・・・・・・・・・・・・・・




ケリー=ウッドロゥは10年をかけて、この世界の謎を探っていた。


こちらに来てからというもの、時々…

『 自分の意志とは関係なしに行動をしていたり 』、

『 言葉を喋ったりしている 』。


机に肘をつきながら、両手で顔を覆い息を吐くウッドことケイダイ。

城の中にある兵士専用の区域。

その一室。

一兵卒の部屋よりも少しきれいで、一人では充分過ぎる家具が並ぶ。


棚の本はぎゅうぎゅうに詰まっていて、クローゼットの中などを覗くと、へそくりでは無く本が出て来る。

床や机の上の本も所在なさげに積み上げられている有り様だ。


必死に集めた本も、最近は特に忙しくて読むことが出来ずにいた。


そんな空間の中、ケイダイは今日の出来事を思い出していた。

ツカサとの会話を。


顔が赤くなる。


(  もう本当…嫌だ!  )


勝手に動く口。

この現象が耐えられない。


(  ツカサとカレンは単純だから気にならないんだろ!  )







はやく解放されたいという一心で、帰る方法を探っていたケイダイは、城の図書室、資料室に貴重な情報がある事を知り、兵士として入隊した。

しかし、一般兵士では閲覧出来ないと言われショックを受ける。


その後、隊長以上の地位になれば閲覧出来るということを知った彼は、たゆまぬ努力をし、見事隊長になった。


隊長になると早速、調べ始める。

資料室で調べてみると、意外にも異世界からの人間は多くいることが分かった。

今まで配属が違ったので知らなかった。


隊長になって配属されたのは、異界人の取り締まりも含まれた部署だったので、その後、実感することになる。



資料室などで調べものを始めたはいいが、書物の量がとても多く、中々進まない。

こちらでの言語は日本語で通じてはいるが、それは会話の場合だけだった。

文字の読み書きとなると、全く解らなかったが、ウッドはこちらに来た12歳の頃から今日まで研鑽を積み、難しい読み書きも出来る程になっていた。







(  せめて、こちらに来る時に見た本に似たものでもあればいいんだが……。  )



ケイダイはあの本があやしいと思っていた。

この世界はとても危険だ。


痛みはあるし、何度も死にかけたので、夢だとも思えない……。

そもそも、元の世界に戻るなんてことが出来るのだろうか……。


何よりも、変なセリフはもう言いたくないし、勝手に動く体も懲り懲りだ。

本や異世界について調べている自分。

これまでも全てシナリオ通りだったらと思うと、やるせなくなるが…

『 出来ることを最後までやる 』と決めた。


自室であれこれ思案していると、



ゴォーーン…

ゴォーーン…



「 !!! 」

トラブルを知らせる鐘が大きく響いた。

この鐘が鳴ったら、動ける兵士はすぐに駆けつけねばならない。

持ち場を離れられない兵士も勿論いる。


常にこのような有様な為、調べようにも進まないのだ。


一般兵士には一般兵士の忙しさがあり、

隊長には隊長の忙しさがある。

そして、貧民にも貧民の忙しさがある。


だが、ケイダイの忙しさは、ほぼ24時間気が抜けないのだ。

なぜなら体が勝手に動くうえに、いつ動くかも分からない。尚且なおかつ隊長という役職柄、やはり気が抜けなかった。



(  鐘の音が2回鳴ったな。  )



北の方角に異常が発生したようだ。

何回鳴ったかで方角が分かるようになっている。


ケイダイは直ぐウッドに切り替わり、動き出した。



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