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第3章 オマケ1 「尚が鬼コーチ宣言!」 オマケ2 「ホントに勘違い?」

第3章 オマケ1 気の持ちよう


 次の日の朝、ジムで尚が僕に宣言した。ビッって人差し指立ててる。


「今日から昇のサポートに入るわよ。補助してあげる」

「え? いや、俺は別に一人でいいんだけど‥‥‥」

「ナイボの前橋まであと2カ月なのよ。これから減量も本格化するのよ。筋肉落とさないようにハードトレが必要でしょ?」

「まあ、そりゃそうだけど。お前だってナイボ出るんだから自分のトレ大事だろ。補助するなら俺と同じ種目しかできないぞ。男女じゃ種目の選択も違うし」

「昇とかぶらない週2日は自分のトレやるわよ。お尻とか」

「うーん‥‥‥」

「とにかくやってみるのよ! 私、あんたの筋肉、1gたりとも落とさないわ!」

「尚さん、なんだか怖いんですけど‥‥‥」


 ******


 それじゃ、まあとにかくやってみるか、と、二人でベンチプレス台に移動した。


「まずはウェイトつけずにバーだけで補助の練習してみよう。5回やって挙がらなくなった想定で、6回目から補助に入ってくれ。補助は3回がいいな」

「うん、いいわよ。そうする」

「それじゃいくぞ」


 僕はバーをラックから外した。尚は僕の頭の後ろで待機している。

 3・・4・・5と、バーを上げ下げしたところで、「よし頼む」「うん」と、尚が前に出てバーに手をかける。


「‥‥‥って、ちょ、ちょっと待ってー。タイムタイム!」 僕は思わず叫んで、バーをラックに戻した。

「何よ? どうしたのよ」

「いや、いきなりスパッツ履いた尚の股間が目の前に‥‥‥。あと、ウェアの隙間から中が見えて、真っ白いお腹とブラが丸見え。これ、目の得、じゃなかった、目の毒! なんか平常心が保てない」


「なに今さらお子ちゃまみたいなこと言ってんのよ。あんた昨日私に何したか忘れたの?」

「た、確かにそのせつは大変お世話になりました。甘美な体験でした。だけど、あれはホラ、薄暗いエッチなシチュエーションだったから勢いがついたって言うかさ、ここは日常の空間だろ? だから違和感がすごいんだよ。あと意外なことに下から見上げると起伏がすごくよく見えて、普段見えないとことか、見ちゃいけないとこの形なんかが目に入って‥‥‥」


「あんた身体の形大好きじゃないの」

「いや、まあそれはそうなんだが」

「慣れよ、慣れの問題。気の持ちようよ。それじゃウェイトつけてやるわよ。そんな甘いこと言ってるとバーベル首に落として死ぬわよ」

「えー?」


 今度は、いつもどおりウェイトを一枚半ずつつけて、80㎏にしてやってみた。

 5・・6・・7・・ちょっときつくなってきた・・8・・9回目が挙がらない。

 そこに尚がスッと補助に入り、バーに手を添え、ギリギリ挙がるだけの力を加えてくれる。

 重い、苦しい。僕は天井だけ見て、ウェイトを挙げることだけに集中する。

 

 9回目を挙げ、尚が「あと2回!」と声をかけ、少し補助の力を強める。10回目が挙がり、「ラスト。頑張れ!」と声がかかる。僕は、背中を反らし、大胸筋を収縮させて、「くっ、ふぅ!」って唸り、全身をワナワナさせながら、全力で挙げ切った。


「‥‥‥ああ、これいい。すごく効いてる。最後の3回できっちり使い切る感じ。尚の補助も力加減が絶妙。その都度全力で何とか挙げてるって感じがする。すごく上手だ」

「えー。ほんと? 嬉しいー」 尚が、手を顔の前で合わせて、ポニテを揺らして喜んだ。


 あ、そういや股間のことなんて忘れてた。やっぱり集中力が大事なんだな。


「それじゃ交代。私やるね」

「うん、俺が補助に入る。まずはバーだけで練習だな。6回目から補助ね」

「それじゃ始めるよー」

 3・・4・・5、そこで、僕はスっと前に出て、補助に入る。

 と思ったら、「イヤー! キャー! ちょ、ちょっと待ってー!」って尚が叫んで、バーをラックにガシャンと戻した。


「何? どうした?」

「ちょ、ちょっと、あんたの短パン、短パン過ぎ! 変なパンツ丸見えよ。黒地に黄色の水玉って、そんなのどこで買ったのよ!」 

「ドンキで安かったんだよ。毒蛇みたいでかっこいいだろ?」

「あと下から見てると、いろんなとこの形見えるし、平常心が‥‥‥」

「お前もおんなじこと言ってるじゃないか(苦笑)。そんな甘いこと言ってると、バーベル首に落として死ぬぞ」

「えー?」


 と、まあ、最初はいろいろあったものの、二人ともすぐに慣れ、その後は週3日、ジムで補助しあいながら、同じ種目をやることとなった。

 おかげですごくトレが充実した。筋量は変わらないのに、どんどん身体が引き締まっていった。


 ******


第3章 オマケ2 壮大な勘違い


 その日の下校時、昇と手を繋いで大国魂おおくにたま神社の参道を歩いていたら、昇が私に「お前、優里さんにずいぶん気に入られてるんだなあ」って言ってきた。

 

 え? 昨日あんなことがあったのに? 私は驚いて、思わず昇の手をギュっと握り直した。

 だって、『ようなもの? 彼氏じゃないの? じゃ、たまにでいいから貸してくれない』って、言われたのよ。バカなこと言わないでよ。この手絶対離さないんだから。


「昨日、ジムでさ、いろいろ話が出来たんだけど、お前のこと、『尚ちゃんみたいな可愛い妹が出来て嬉しい。いつも昇君と一緒にいるみたいだけど、たまに私にも貸してね』って言ってたぞ」

「え? ほんと? 『貸してね』って‥‥‥昇のことは何て言ってた?」

「俺のこと? 何か言ってたかな。あ、そういえば、『いっぺんに弟分まで出来て嬉しいな。時々一緒にトレしよう!』って言ってくれた。優里さん気さくでいい人だな。かっこいいし」

 

 え? 弟? 一緒にトレしよう? ‥‥‥も、もしかして、まさか、『たまにでいいから貸してくれない?』ってそういうこと?

 あれ、私、昨日優里さんに何て言ったんだっけ? あ、思い出した。「ダメです。私のものです」、「手を出す女は許しておけない。それが優里さんでもです」って言ったんだった‥‥‥。


 いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ! 


 どうしよう、どうしよう、もう立直れない。

 壮大な勘違いして、優里さん相手にファイティングポーズとって、言葉のフックをブンブン振り回してしまった‥‥‥。

 

 私は、あっさりと昇の手を離して、両手で顔を覆ってしゃがみ込んでしまった。


「おお、尚、どうした! 減量中の低血糖でめまいでも起こしたか?」 昇が心配して、なんか見当違いなこと言ってる。

「いや、体は大丈夫‥‥‥昇には関係ないの。あ、いや、おおいに関係あるんだけど、私の問題なの。ちょっと、しばらくほっといてくんない?」

「何言ってんだ。こんな状態でお前をほっとけるわけないだろ?」 もう、お願いだからほっといて!


 ‥‥‥あ、でも、こんな状況じゃ、周りの人たち、超心配して見てるだろうな。絶対昇が泣かせたって思うだろうし。それで私は意を決してスックと立ち上がった。


「お、立直った。なんだかよく分からないが、よかった」

「もう今日はこのあと手は繋がないわよ。それどこじゃないわ」

「ええ? なんで突然怒り出したんだよ」

「怒ってないわよ!」

「えー、ワケわかんない」

「だから本当に怒ってないわよ! うるさいわね!」

「えー?」


 とにかく優里さんに次会った時、何て言うかよく考えよう。

 だいたい優里さんだって悪いのよ。『ようなもの? じゃ』って、そりゃ誤解するでしょう? 文脈がおかしいでしょう?

 

 てか、ほんとに勘違いなの? そこから考えないと。

 

 ごめん昇。わけは後で話すから。ああ、いや、これは話せないな‥‥‥。


 ほんとごめんね。







 次の第4章から、ナイボの前橋大会の準備に入っていきます。

 師匠大活躍。あと、最強ライバルもチラっと出てきます。


 それでは、また明日。


 小田島 匠

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