-2話-
翌日の朝たけるは学校をずる休みし、母親にバレないように河川敷で能力の訓練をしていた。
たける「オーラ量の平均はクリアしてるはずだからあとは頭脳と戦闘技術を磨かなきゃな」と満面の笑みでつぶやいていた。
「そこの少年何をしているんじゃ?」と右からしゃがれた声が来た。
たける「どなたですか?」
白髪の老人「わしは竜跳雲津と申す」
たける「それって4次能力の名前だったりしますか?」
白髪の老人「よく分かったのー、その通りじゃ」
たける「4次能力者って名前を伏せるんですか?」
白髪の老人「なんじゃ知らぬのか、それほどオーラ量があって2次能力者程度の者かと思ったが違ったか」
たける「すみません自分は無知でして昨日百花繚乱さんに色々教えてもらったばっかなんです」
白髪の老人『あやついくつか伝え忘れておるな?』
白髪の老人「まあよかろうワシが詳しく教えてやろう、ちょっとその前に散飛でもせぬか?」
たける「散飛?まさか飛ぶんですか!?」
白髪の老人「そのまさかじゃ、出てこい白竜!」右手で指パッチンをし、老人の隣から渦が生まれそこから竜が飛び出してきた。
たける「ドラゴン!?」
白髪の老人「それじゃ行くぞ乗れ」
2人は竜の上に乗り空に飛び立った。
白髪の老人「なぜワシがお主の前に現れたか教えてやろう」
たける「偶然ではないんですか?」
白髪の老人「偶然なわけなかろう、ワシは滅多に一般人の前には現れんからな」
たける「それってどういう・・・」
白髪の老人「要するにお主には素質がある人間だと百花繚乱から聞いておる」
たける「素質がある?」
白髪の老人「ああそうじゃ、そしてあやつの提案からお主の能力を調べることになったのじゃ」
たける「え?いきなりですね」
白髪の老人「あやつが久々に真剣に話していたからな、少しは協力してやろうと思っただけじゃ」
たける「なるほど、そういえばなぜみんなは能力名で名乗るんですか?」
白髪の老人「能力者教会にはランキングが存在するんじゃよ」
たける「ランキング?」
白髪の老人「ああそうじゃ、ランキングというのは実績で付けられるものじゃ」
白髪の老人「例えば何人の犯罪者を捕まえたか、いくつ組織グループを潰したかで決まるんじゃよ」
たける「なるほどだからナンバーワンと言っていたのか!竜跳雲津さんはどれくらいなんですか?」
白髪の老人「ワシは4位じゃよ」
たける「高いですね!」
白髪の老人「まあな、ところでさっきの話に戻ろうなぜ能力名で名乗っているのか」
白髪の老人「それは覚えられやすいからじゃ」
たける「ヒーロー漫画とかでよく見るヒーロー名的な感じですか?」
白髪の老人「言っちゃえばそうじゃな、着いたぞ」
たける「ここは俺の学校!?」
白髪の老人「そうじゃったのかお主は知らぬのか?」
たける「何をですか?」
白髪の老人「この学校に3位の人間がいるんじゃぞ」
たける「知らなかったです」
白髪の老人「まあ無理はないか、あいつは身バレしないよう顔を隠しているからな」
屋上から2人は学校へ入った。
友人A「お、たけるじゃーん今日は休みだったんじゃないの?」
たける「ちょっと訳ありで・・・」
友人B「お、ずる休みかー?てかお前の隣にいる人竜跳雲津じゃん!どういう繋がり?」
たける「ちょっと色々あってね」
竜跳雲津が現れたことにより学校中がざわめいた。
校長「いくらなんでも先に来ることを言ってもらわないと困りますよー」
白髪の老人「すまんなある男に用があってな」
校長「ある男ですか?」
「俺の事だろ?」背後から声が聞こえた。
白髪の老人「おおそうじゃ、お主だ無為転変よ」
服部「あんまその名前で呼ぶなここでは服部と呼べ宮地」
白髪の老人「年下なのに生意義じゃの」
たける「宮地?」
宮地「ワシの名前じゃ言ってなかったな」
服部「こいつが俺に見てほしいやつか?」
たける「服部さんって確かバスケ部エースの」
服部「あれなんだ後輩?」
たける「そうです」
宮地「その話はまた後でしてくれ、服部こいつを見てやれ」
服部「りょーかい」服部は3秒くらいたけるを直視した。
服部「こいつは・・・」
宮地「どうじゃった?」
服部「あのじじいの感じがするぜ」
たける「あのじじい?」
服部「お前の家族に平次郎というやつはいなかったか?」
たける「俺のじいちゃんだ!」宮地と服部は驚いた顔をした。
宮地「あやつに孫がおったとは」
服部「どーりで百花繚乱は真剣だったわけだぜ・・・」
たける「どういうことですか?」
服部「お前のじいちゃんはな」
宮地「よせ服部、それ以上言うな」
服部「こいつが知らないなんて可哀想だぜ?」
宮地「知らぬが仏と言うだろう」
たける「どんなことでも受け入れます!ですから教えて欲しいです!」
服部・宮地「・・・ ・・・」2人は1分程沈黙し見つめ合い考えた。
宮地「分かったお主の祖父は・・・」と言った瞬間に大きな爆発音がした。
全員「なんだ!?」
「イヒヒヒヒ、それ以上喋ったら殺す」
大きな鎌を持ったマスクをした男が校外から侵入してきた。
服部「お前は誰だ?」
怪しい男「そいつをつけてみりゃ英雄揃いだなあ、イヒヒヒヒ」
宮地「気色悪いのぉ」
楽「私は紅蓮軍2軍4番隊 楽 だぜぇイヒヒヒヒ」
楽「そいつを貰うぜぇイヒヒヒヒ」と言った瞬間鎌を横に思いっきり振った。
宮地「竜跳雲津-竜の鱗-」竜の鱗が極限まで固くなり壁になった。竜の範囲から外れたところは真っ二つに裂かれた。
服部「無為転変-青-」指先からオーラを凝縮し、一気に楽に放出した。
楽「さすがぁ3位と4位様だぜぇイヒヒぃ」
宮地「もっと強いのを期待したんじゃがのぉ」
楽「イヒヒヒヒぃ」
服部「じじぃ離れろ!」
楽「炸裂-斬-」楽の半径100M範囲内を粉々に斬り裂いた。
宮地「危なかったな、学校の子らは平気か?」
たける「服部さんが全員をガードしてくれたおかげで助かりました」
宮地「服部なぜあいつの動きが分かった?」
服部「あいつのオーラ量は俺らと同じ系統だ」
宮地「てことは4次能力者、いや2次能力者か!?」
宮地「だとしたらこやつ何者だ!?」
楽「お前らは相性が悪いイヒヒぃ」
服部「奴も疲れてる、押せばやれるぞ」
たける『この2人すごい、俺があんなんで苦戦してたのがバカバカしく感じる・・・』
宮地「竜跳雲津-竜の波動-」竜の口に宮地のオーラを凝縮させ一気に放出させた。
楽『まずい、このままだと・・・』
宮地の攻撃が楽に当たる直前宮地の攻撃が消えた。
「うちの輩がお世話になったな」体から蒸気が出ている上裸の男がいきなり現れた。
宮地「ワシの攻撃を消すとはお主も強者じゃな?」
服部「いや恐らくカマ野郎以上だ」
宮地「てことは・・・」
喜「これからこの国を占領する者として名乗っておこうではないか!紅蓮軍2軍1番隊 喜 だ!」
喜「天真爛漫-放-」宮地の攻撃のオーラを体に吸収しそれ以上に跳ね返した。
たける『さすがにこれはヤバいんじゃ・・・』
宮地『鱗だけじゃ守りきれん』
服部「無為転変-茶-」指先で喜の攻撃を吸収した。
服部「残念だったな俺も同じことが出来るんだ、耐久戦と行こうじゃないか」
喜「すまんがそれは御免だな」
楽「先輩後は頼みますイヒぃ」
喜「じゃあな野郎ども俺は帰宅の時間なんでねおさらばするよ」
服部「逃がしてたまるか」
宮地「よせ、それ以上前に出るな」
喜「じいさんの方は鼻が効くねぇ、あばよ」喜は楽を右腕で抱え高速で消えた。
服部「怪我はないかい?」
たける「はい、守ってくれたので怪我は無いです」
宮地「ワシは先に帰るぞ」
服部「じじい大丈夫か?」
宮地「大丈夫じゃ」宮地はドラゴンに乗りどこかに飛び去ったが、いくつか地面には血痕が残っていた。
服部「あのじじい無理しやがって・・・」
たける「僕全然分からないんですけど敵の攻撃受けてました?」
服部「あのじじいの能力の竜の鱗だよ」
たける「あれってもしかして竜だけにダメージが入るのではなくて自分にも不可がかかるんですか!?」
服部「ちょっと正解でちょっと不正解かな、予定してるキャパを越えられたら不可がかかってそれを越えなかったら無傷だ」
たける「なるほど、てことはこの血痕って・・・」と地面を見ながら言った。
服部「ああ恐らくあのじじいの血だろうな」
服部「ただその前に半壊したこの学校をどうしようかが先だな」
たける「もし能力の種類が無限大なら物を直せる能力とかないんですか?」
服部「いなくは無さそうだな、ちょっと待ってろ」服部はポケットからスマホを取りだし誰かと電話した。20分後電話を終えた。
服部「どうにかなりそうだわ」
たける「それなら良かったです」
服部とたけるはその後談笑し、1時間後救助隊と教会代理長が駆けつけた。
服部「遅いぞ森田ー」
森田「すみません無為転変様」
服部「なんかもういいやそれで呼んで」
たける「じゃあ俺も無為転変って呼んでいいですか?」
服部「お前はダメだ先輩と呼べ!」
森田「ここが半壊した学校ですか?」8割壊れている学校を直視して言った。
服部「直せるか?」
森田「一応あの子に相談しないとですね」
たける「あの子?・・・」
桜「どうも橘桜です」
たける「橘ってまさか・・・」
桜「うちの兄が大変お世話になっております、こちらが壊れた学校ですか・・・」桜は学校を見て驚愕した。
桜「やれる所まではやってみます」
服部「おう頼んだぜ」
桜「治山治水-修繕-」両手から包まれるような優しい光を放ち徐々に壊れていた壁が修復されていく。
桜「私のオーラ量だとここまでですね」
服部「なら俺のオーラ量を貰え、生まれつき俺のオーラ量は無限なんでな」
桜「ありがとうございます!」そして何とか全修復を終えた。
服部「森田!じじいと連絡はついたか?」
森田「いえ、まだ確認できておりません」
服部「世話のやけるじじいだな」
たける「僕が探してみましょうか?鼻だけはめちゃくちゃいいので血の臭いで探れると思います!」
服部「そうなのか!頼んだ!」
服部『やはり、あいつはあのじいさんの能力を・・・』たけるは先程地面にあった血痕の臭いを嗅ぎ似た臭いを辿った。
たけると服部、森田らは山頂に向かうと、血の臭いの他に違う物の臭いが濃くなっていった。
たける「ここから何か臭います!」とたけるは血の臭いと別の臭いの狭間で叫んだ。
服部「妙だなこの山は・・・」
森田「私も同感です・・・」
たける「この山って何かあるんですか?」
服部「何かあるってもんじゃねぇ早くずらかるぞ」
たける「どうしたんですか!急に」
森田「たける様ここは引いた方がよろしいかと思います」
300m先の方でザクザクと忍び寄る音が聞こえた。
服部「まずいなあこっちに来るぞ」
たける「なんかあっても服部先輩が・・・」
服部「俺じゃ対処出来ない相手だ・・・」
足音はだんだん近くなっていく。
たける『どんなのが現れるんだ?』恐怖と好奇心が溢れ、たけるは動くことが出来なかった。
「この山に勝手に侵入してきたのはどこのどいつじゃあ!!」と雄叫びを上げ姿を現した。
服部「はあなんだお前かよ」と服部と森田は安心していた。
たける「あなたって・・・」
宮地「ワシじゃよワシ」宮地は先程の白髪の老人と比べ10歳児位まで若返っていた。
たける「その口調宮地さん!?」
服部「そうそう、こいつは鱗の副作用で凶暴化か幼児化のどちらかになるんだ」
宮地「大丈夫大丈夫明日には戻るわい」
たける「凶暴化するとどうなるんです?」
宮地「鱗で吸収したエネルギーの100倍のパワーを得て制御できなくなるな」
服部「まあ安心したわ帰ろーぜぇ」
森田「そうですね」
宮地「森田!ワシを運べ!」
森田「ハイハイわかりましたよ」
たける『何だこの人達・・・』
気づけば19時半になっておりたけるは時計を見て焦った。
たける「すみません!自分門限で20時までに帰らなきゃ行けないんです!」
服部「そうか送ってやるよ」
服部「無為転変-緑-」指を円状に回し空間を作った。
服部「ここに入れば自分が想像した場所に飛べる、ただし行ったことがある場所限定だがな」
たける「ありがとうございます!御3方お先に失礼します!」
宮地「またの」たけるは空間に入り帰宅した。
宮地「服部いや無為転変お主はあやつにあいつの事を言ったのか?」
服部「いやまだ言ってねぇよ、てか言えるかよ」
服部「だってあいつのじいさんはこの国最悪の能力者リストの1位に載ってるんだからよ」
たけるは帰宅すると母親はいなかった。リビングの机の上には置き手紙があった。
『たけるへ 今日学校ずる休みした上に問題を起こしたらしいわね。まあいいわ。お母さんは少し用事でしばらくの間家を出ることになったの。突然の報告だけどごめんなさいね。しばらくの間は下に書いてある住所に行ってちょうだい。母より』と手紙に書いていた。
たける「いきなりどうしてこんな手紙を・・・、まあ明日は土曜で暇だし行ってみるか」たけるは疲れ果ててそのまま椅子に座ったまま寝たのだった。