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4 オーダーを結成するときのルール

【キャラハウス 登録リスト】

 ★4ファイター トライブ・ランスロット BP9800

 ★4ウィザード ジル・ガーデンス BP7800

 ★3ファイター ソフィア・エリクール BP8600

 ★3ウィザード バーニング・レジーナ BP7000

 ★1マジックファイター ハート・ウィンゾール BP3500



 丸テーブルを囲む席が一つだけ空いていて、俺はそこに座った。

 どうやら、これから召喚するオリキャラたちは、俺がこうやって円卓を囲むと、それぞれの名前とランクなどがそれぞれの頭上に表示されるようだ。


 ★の数はさっき聞いたから分かるとして、その次のファイターとかウィザードとかは「クラス」と書いてあって、おそらく武器か魔術かで分けているのだろう。ハートの「マジックファイター」はその中間か。

 BP(バトルポイント)が、おそらく体力的な何かだろう。

 完全に、ゲームのステータス表示だ。


 だがもう一つ、キャラリストを見た瞬間、俺はにやけた。


 よっしゃーっ!

 全、員、女!!!!!!!


 いまキャラハウスにいる人間、俺以外全員女だ。

 たしかに、俺の作品の主人公は、ほぼ女だけと言っていい。偶然ではなく、意図的にそうした。

 特に、トライブが主人公の『Sword Masters』を書き始めてからは、男が主人公の作品なんてほぼ書いたことがない。とにかく、肉体的にでも精神的にでも、強い女が書きたかった。


 その結果、生誕以来一度も彼女ができたことのない俺が、『オリキャラオーダー』の世界で念願のハーレムを作れるなんて、夢みたいだ。

 まぁ、死んではないから、この世界で婚姻届は出せないけど。



「セフィさん、なににやけてるんですか」


「何でもない。さ、会議、会議」


 俺の後ろに立ってるだけの15歳のアリスには教えてやらない。


「で……、アリス。さっきから会議ってせかされたけど、会議って何やるんだよ」


「はい。これからミッションを指令しますので、セフィさんにはオーダーを結成して頂きます」


 おーだー……。

 マジで『〇ェイトグランド○ーダー』の世界になってないか、このゲーム。

 いや、それ以前に、アリスが突然事務的な口調になったのが気になるんだが。

 というか、さらにそれ以前にだな……。



「なぁ、アリス。ちょっと確認したいんだけど、なんでアリスがリストに入ってないんだよ」


「私ですか? 召喚できませんよ」


「いや、アリスは『Sword Masters』だと、一応スナイパーで、ヒーラーじゃない?」


「うーん。元の世界ではそうなんですけど、私は弱いから、プレイヤーサポーターにされました」


 嘘つけ。

 10年後に「最強の銃使い(ライフルマスター)」の称号を手にした、とはっきりと書いたからな。『Sword Masters』で。


「でも、百歩譲って、アリスがドジキャラなので弱いということになったとしても、ヒーラーはいるだろ。どこのMMORPGにも」


「セフィさん。ヒーラーは、どのプレイヤーにも実装されません。バトルとバトルの間に少しずつBPが回復していきますが、バトル中は減るだけです」


 そうか……。

 このゲーム、自分のキャラの特性を知っている分、意外と難易度は高そうかもな……。



「分かった。じゃあ、本題に戻るよ。アリス、ミッションを教えてくれ」


「ミッションランクはいくつにしますか? ★3、★4、★5が選べます」


 事務的な口調じゃなくなったと思ったら、今度は○ックの店員かよ。

 で、ここにも★が出てくるのか。


「どうしよう……。そもそも、このミッションランクというのは、出てくる敵のランクってこと?」


「そうですね。一番高いランクがそれってことです。

 あと、ミッションヘッドという……、まぁ、普通ボスと言われる相手は、必ずそのランクです」


「じゃあ、★4ミッションにするよ。うちのオリキャラ、★4が一番上だし」


 細かいルールを知らない段階で、まずは手堅く同格の★4を狙わないと。

 このゲームのレベルがどの程度かは、そこで見極める。


「分かりました。というわけで、セフィさんへのミッションはこちらになりま~す!」



 ブラックルーフ鉱山にいる暗黒騎士を倒せ!

 ミッションヘッド:暗黒騎士(★4ファイター)



 おい、俺の知らない固有名詞だぞ……。

 少し考えたけど、そもそも鉱山ミッションを俺のオリキャラたちに挑ませたこともほとんどないはずだ。


「それって、ゲームオリジナルのダンジョン?」


「どうですかねぇ。ゲームマスターが、今の★4ミッションはこれ、という感じで言ってきたので、私には分からないです。他のプレイヤーの創作に出てくるダンジョンかも知れないです」


「だよな……。アリスが考えたわけじゃなさそうだし」


 俺は一度うなずいて、その場にいるオリキャラたち一人一人に目を合わせた。

 ミッションを聞いて、特に嫌そうな表情を浮かべているオリキャラはいないようだ。


「……で、オーダーを結成するんだよな」


「はい。まず、オーダーヘッドを決めましょう」


 なんか、さっきもミッションヘッドという言葉が出てきて、またしてもヘッドか。

 なんかややこしいな。


「あのさ、アリス。オーダーの決め方に、いろいろルールがあったりする?」


「ありますよ。

 1.オーダーは4人まで。

 2.オーダーヘッドを一人決める。オーダーで最高のランクを持っている★3以上のキャラ。

 3.オーダーヘッドのランクを、オーダーランクと呼ぶ。 表示上は、クラスを付けてプレイヤーに公開する。

 4.オーダーランクよりも低い相手に勝負を仕掛けることは出来ない。

 こんな感じです」



 なんか、途中からルールそっちのけで用語の説明になってないか?



「ちょっと待って。俺が、もしミッションランクが★3と言ってたら、オーダーヘッドは★4じゃダメってこと?」


「いい質問ですね~」


 アリスは、いつから池○彰まで知ってるんだよ。


「実は、ミッションランクより高いオリキャラをオーダーヘッドにできないんです。だから、オーダーランクはミッションランク以下になります」


「それがルールなら仕方ないけど……。いまいち納得できない説明だな」


「まぁ、どうしてそうなるかは、実際にミッションヘッドと戦うときに分かるんじゃないですかね」



 アリスは、もうこのゲームのことを分かってるからこんなこと言ってられるんだよな。

 でも俺は、まだ一度もミッション出てないから、これで逃げられると辛い。


 まぁ、最初から全部理解したら、後々面白くなくなるというのもよくある話だけど。



「ついでに、セフィさんに言っても納得しないルールを、もう一つ紹介します」


「まだあるんかよ」


「はい。えっと……、

 5.ファイターがヘッドになっているオーダーは、ウィザードがヘッドのミッションに挑めない。

 6.ウィザードがヘッドになっているオーダーは、ファイターがヘッドのミッションに挑めない。

 7.ファイターはウィザードをバトルで指名できない。逆も同じ」


「もう一つって言ったのに、しれっと三つ言ったな」


「バレました?」


「アリスの性格で分かるわ! つまり、ファイターとウォザードは戦っちゃダメってこと」



 普通、あり得なくないか?

 世界中、どこのRPGを探しても、そんなウィザード泣かせのルールはないぞ。

 これ、オーダー結成の制約がありすぎる……。


 ただ、ここまでアリスとやり取りした中で分かったことがある。

 ★4ファイターがミッションヘッドなんだから、トライブは今回のミッションに確実に参加できる。


「アリス、ありがとう。今の追加説明で、今回のオーダーを決めたよ!」


 俺がそう言い放つなり、これから俺と一緒に戦う5人のオリキャラたちが、一斉に俺の顔を見る。

 今まで、俺がオリキャラの動きとかを小説で書いているのに、この時ばかりは妙に恥ずかしくなる。


「発表します……」

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