11 女剣士ソフィア vs 弓使いルナティカ
【セフィ】▽
ソフィア・エリクール
★3ファイター BP 8600/8600
トライブ・ランスロット
★4ファイター BP 9800/9800 OH
【エリーゼ】
ルナティカ
★4ファイター BP 8300/8300
スターダスタ
★4ファイター BP 9999/9999 OH
「そっちは、女ファイター二人で立ち向かう気ね……。なめられたものだわ」
「それは、俺が女性キャラばかり創作で使ってるだけだ! 二人とも、手加減しないからな」
そう叫んではみたものの。
スターダスタはともかく、ルナティカは弓を構えた、俺から見てもイケメンの銀髪男性。
剣と弓では、普通に考えれば圧倒的に不利な立場に置かれるのは、剣のほうだ。
「あなたのターンは続いているわ」
トライブとソフィア、どっちをルナティカにぶつけるか。
というより、今まで俺の創作に弓で戦わせたキャラ、たぶんいないから、戦い方イメージできないよな。
いずれにしても、ソフィアの相手は★4ファイター、つまりランク的には格上の存在。
難しいなぁ、これ……。
よし、決めた。
「ソフィア。とりあえずは最低限、ルナティカの弓を打ち落とし、行けるところまで潰しておけ! で、トライブは、残りBPを全て滅ぼす」
「分かったわ」
トライブが数秒で言葉を返すものの、ソフィアが俺の目を睨みつけた。
ソフィアの目、本気になると怖いよ……。
「セフィ。私は最低限、ルナティカそのものを倒すつもり。弓を打ち落とすだけじゃ……、トライブには追いつけないから」
「ごめん……」
そうだよな……。
ソフィアだって、トライブの永遠のライバルとして一つでも多くの敵を倒したいものな。
トライブに残り全部と指示した俺が、悪かった。
だが、いろいろ考えている俺を尻目に、ソフィアは既にルナティカを向いていた。
「私は、たとえ飛び道具が相手でも怯まない!」
ソフィアがここまで強いセリフ言うの、なんか久しぶりのような気がする……!
トライブ以上に、ソフィアを戦わせてないからな、俺……。
「何が怯まない、だ。こっちも、月夜の暗殺者の異名を思い知らせてやる」
ルナティカが、ソフィアに薄笑いを浮かべながら、早くも弓に矢をセットする。
矢の長さは、ルナティカの身長のゆうに半分を超えるほどで、大きく太い。
ソフィアは、ストリームエッジで叩き落としさえすればいいんだ……!
ただ、どの距離まで近づくか。当然、近づけば近づくほど、発射した時から目の前にやって来るまでの時間が限りなく短くなってくる。
だとしたら、どこで叩き落とそうとしているんだ……。
「全く動いてない……」
当のソフィアはストリームエッジを両手で持ち、敵の正面に剣先を向けている。
20メートルほど離れた、いまの状態でまずは様子を見るようだ。
当然、何も動かないソフィアに、ルナティカが弓をゆっくりと引いた。
「三日月の舞!」
ソフィアの正面に向けていたはずのルナティカの弓は、瞬く間に角度をやや上に変える。
まるで空に向かって祈りを捧げるように、ルナティカの手から太い矢がソフィア目掛けて解き放たれた。
「あっ……!」
創作でほとんど弓を扱ったことのない俺でも、ソフィアにちょうど命中する角度で解き放たれたことに、簡単に気付いた。
それでいて、ソフィアはまだ剣を正面に向けている。
うわぁ……、どんどん時間なくなるぞ……。
「せいっ!」
正面に向けていたはずのストリームエッジが、瞬く間に振り上げられ、太い矢を下から叩きつけ、その軌道をわずかにソフィアの右に移した。
金属音こそ出なかったものの、かすかにキーンという音が響く。
てか、今の……、ソフィアから10センチも離れていないところを通ったのに、ソフィア何もビビってない。
これこそソフィアが、俺の中でトライブの永遠のライバルたる証拠なのかも!
「まだまだっ! 三日月の舞!」
一度目の攻撃を外されたルナティカが、すかさず二つ目、三つ目の矢を解き放つ。
今度は、ソフィアがやや屈みながらルナティカへと突き進み、矢はさっきまでソフィアが立っていた、無人の大地に落ちていった。
ただ、ルナティカとの距離を縮めるということは、自ら防御の難易度を上げに行ってると言っても過言ではない。
ソフィアがルナティカまで10メートルを切ったところで、ルナティカがより力を入れて、弓を引いた。
「月の女神、勝利を導け!」
真っ直ぐ放ちやがった……!
アーチを描いてた時は、余裕もたくさんあったはずなのに、今やソフィアに残された時間は1秒も……。
「よけた……!」
ソフィアが、大きく右にジャンプして、矢をかわす。
そして、5本目の矢をセットした弓に向かって、真っ直ぐ向かっていった。
「何をする……!」
「スピードがなければ、飛び道具には勝てないっ!」
振り上げられたストリームエッジを前に、ルナティカの弓を引こうとした手が震えた。
ソフィアは、相手が震えていることすら気に留めず、弓の上から下に向けてストリームエッジを振り下ろす。
ルナティカ:ダメージ2330
てか、ソフィアにとっては、弓って壊すためにあるのかよ。
冷静に考えると、弓使いも真っ青な戦い方だな。
「よくも……」
最大BPの3分の1に満たないとは言え、最大の武器を粉々にされたルナティカが目を細め、慌てて後ろにジャンプする。
それからスターダスタの横に立ち、スターダスタがルナティカに代わりの弓を渡した。
「きたねぇぞ、ルナティカ……!」
ソフィアよりも前に、俺が叫んだ。
まぁ、叫べるような立場ではないし、そもそもソフィアがあんな行動に出るなんて思わなかったけど。
「あら、バトルは正々堂々と戦うものよね。
外道なことをするソフィアを、生かしてはおけないわ。
ルナティカ。ソフィアの体に特大の一発を打ち込みなさい!」
エリーゼの声に誘われるように、ルナティカが今度はスターダスタの横に立って、再び弓を構えた。
それを見たソフィアが、先程と同じように素早くルナティカへと迫る。
だが、卓越した弓使いの目は、二度同じ手にはまることを許さない。
「月の女神、勝利を導け!」
同じ技を叫んだとは言え、今度はソフィアから見てやや右側に照準を定めた。
ソフィアが先程と同じように右にジャンプしても、それどころか正面を突き進んでも、命中する角度だ。
「ぐっ……!」
あああっ!
これ、かなりのダメージ、いったんじゃね……。しかも、剣士がバトル中かなり使う右肩だ。
左にジャンプしようとしたが、あと数センチのところでソフィアがよけきれなかった。
ソフィア・エリクール:ダメージ3780
弓を一つ落としているとは言え、バトルの途中から動き回っているばかりのソフィアも、BPがかなり消耗している。そこにダメージ3780。
ソフィアの残りBPは、わずかに1400。
やられた場所を考えれば、時間を追うごとにBPが減っていってもおかしくない。
これは、一度カットしたほうがいいのか……。
そこに、ソフィアの声が響く。
「私は……、右肩をやられても……、まだ戦うから!」
一撃の威力こそ、右肩のダメージでかなり下がったとは言え、それ以外、特にここまで動き続けてきた両足のスピードは衰えていなかった。
ルナティカもさらに弓を引くが、今度はソフィアが右によけ、ほとんどダメージを受けることなくルナティカの前に迫った。
そして、ソフィアが剣を両手で持った。
右肩が使えないから、両肩に力を入れるのか……!
「せいっ!」
ストリームエッジの先が、今度は弓ではなくルナティカの体そのものを刻んでいく。
「なあああああああああっ!」
ソフィアの剣の一振り。
その勢いでなぎ倒されたルナティカに、戦闘不能という名の赤い光が襲い掛かる。
「すげぇ、ソフィア……。ピンチもあったけど、本当にルナティカ本体を倒した……」
赤い光をじっと見つめるソフィア。
BPは273となり、時々右肩を左手で抑えるものの、★4ファイターに打ち勝った喜びが、その体から溢れていた。