下町の宿屋
「ここは下町の宿屋だお前はクーデターに巻き込まれていたから連れてきた」
目はしっかりと私を射ぬいた。
その答えにひとまずほっとする。この人は嘘をついていない命を張って助けてくれたんだ。そう思うと強ばっていた身体がほぐれていった。
でも、その人たちの人相は見慣れないものだった。
黒髪でもない銀髪に190cmは優に越えているであろう長身30代後半くらいもう一人はなんだろう疑心暗鬼そうにこちらを窺っている。
大柄で筋肉質銀髪より身長は低いものの日本人よりは遥かに高く赤髪がその悪人顔にマッチしていた。
さらに不思議なことに会話ができるのだ。
じっと見ていると流石に気まずくなったのか眼を反らされる。
「お前いく宛はあるのか?」
残念ながらこの状況を見る限りないし、私も途方にくれている所だ。
「ありません」
答えるとその人たちが顔を合わせて神妙に頷く。
「だよなまだ小さいのに可哀想に」
え?私一応高校生なはず胸だってそこそこあるし、身長だって女にしては高いはず。
慌てて自分の身体を確かめると小さくなっていた。手も縮んでいるし身長も9歳位の時と同じに、当たり前だけど胸も平になっている。なんでと頭が一杯になっていると声をかけられた。
「お前一緒にくるか?」
怒濤の展開だけどいく宛がないし、ここは多分異世界だし多分このまま外に出たら死ぬと思った私は頭を縦に降った。