4/5
敵か味方か
「なんでこんな時にわざわざお荷物つれてくるんだよ」
「市民を守るのが俺たちの仕事だろ」
「だからってお前今国がどうなってんのか分かってんのかッ」
微睡みの中言い争うような声が聞こえて意識が浮上した。
暗い天井がぼんやりと視界に入った。
あれ、なんで私ここにいるんだろう。
さっきまでの出来事がまるで夢のように思える。これは現実なのかな。
心が強い衝撃を受けると身体が追い付かないって誰かいってたなぁ
誰が言ってたんだっけ。
そんな風にぼんやりと考えながら身体を起こすと、その音に気づいたのか2つの視線が私に向けられる。
「お前大丈夫か?」
優しそうな目をした長身の男が話しかけてきた。
この人だ。私を助けてくれたあの優しい声
でも、怖かった。先程の光景が脳裏に焼き付いて離れない。
もしかしたら誘拐犯かもしれない。まだ、呑み込めていない現実にそんな事を考える。
私は恐怖に飲まれそうになりながら怯えきった心を必死に隠しつつ質問した。
「あのここはどこですか?」
この質問の答えでこの人たちが味方かどうか決まる。
一拍おいた後長身の男が口を開いた。