7 情報漏洩
一番最初に情報の洩れに気づいたのは、フォーカスだった。
「おい、ミア!どうしてくれるんだ、情報が洩れてるじゃないか!」
フォーカスはミアの口に貼ってあるガムテープを思いきり引っぺがした。
ミアは痛みのあまり悲鳴を上げた。
「黙れ!」
フォーカスはミアの頬を叩いた。ミアの頬には、ガムテープを剥がされた時の痕と、叩かれた時の痕が残っていた。
「全てお前のせいだ。お前が可愛い我が子など追い出すからだ」
「だって仕方ないじゃない!あなただって止めなかったでしょ」
ミアが反論すると、フォーカスは
「うるさい!」
と叫んだ。
マリーを追い出したあの日から、ライブリー家は様変わりしてしまった。ミアは引っ越しを決め、マリーが二度と家に戻って来られないようにとフォーカスに命令したのだ。
フォーカスはそれを渋々了承したが、我が子を追い出された怒りから、フォーカスの暴力が始まったのだ。
ミアはそれに耐えながら、なおフォーカスにマリーには見つからないようにと指令を飛ばし続けたのだ。
フォーカスは娘に帰ってきて欲しいと思う反面、ミアの言葉による支配により、半分洗脳状態にあった。言葉と気持ちに繋がりがないのだ。
これは、夫婦間での戦争的なものになってしまっていた。
「それより、あの子が来たらどうするつもりなのよ」
「あの子はお腹を空かせているのかもしれないんだぞ!」
フォーカスはその後、またぶつぶつと見つかるわけにはいかないなどとつぶやいていた。
「どこで間違えたのかしら・・・・・・」
ミア本人は、自分の犯した最大の間違いについて気づいていなかった。