フィレリオ火山
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フィレリオ山まで、あと少し。
街で馬に乗り換えた私たちは、先を急いでいた。
今日は馬に二人乗り。
「バランスを崩すと危ない。もっと寄りかかっていて?」
レン様の乗馬は素晴らしい腕だ。一方私も、いつかの断罪回避のために練習していたから、まあ乗ることができる。
そう、乗馬はできるのだ。
「私にもできるのに」
「知ってる」
「じゃあ、何故ダメって言ったんですか」
「一緒に乗りたかったから。……シエラはそんなに一人で乗りたかった?」
「――――っ!」
そんなこと言って、笑うの……ずるいです。
それでも、言い返そうとした瞬間、レン様が急に馬を止めて私を抱きしめた。
その瞬間、地面が大きく揺れて景色が大きく変わっていく。そして地響きとともに空は暗くなる。
そして何よりも、さっきまで緑に包まれ美しかったフィレリオ山が、燃え盛るように赤く色を変えていく。
――――火の国、フィレリオ王国のプロローグ。
「シエラ! 一旦戻ろう」
レン様の言うことは正しい。
私が行っても、もう何もできないかもしれない。
「……でも、まだ時間はあったはずなのに」
「シエラ!?」
でも、この状態になってから、ほんの3日でフィレリオ王国の首都は壊滅状態になった。それは、火の国編のプロローグで語られている。
「――――レン様」
「……」
「私、行かないと」
こうなってしまったら、完全にフィレリオ山が火山になり、魔物の住処になる前に頂上にたどり着かなければ。時々、響き渡る地響きが、私の焦りを掻き立てる。
「じゃ、ついてこい」
ヤンヤンが、手を差しのべる。その手を掴むのが正解と思うのは、ただの直感だ。
でも、今はその直感に従うのが正しい気がした。
足元がグラリと揺れて、「シエラ!」と叫んだレン様の声と、掴まれた腕。
次の瞬間、赤い石で埋め尽くされた山の中ほどにいた。
「あー。王太子までくっついて来てしまったか」
「……どういうつもりだ。返答によっては」
レン様が、剣に手をかける。
「お前は歓迎されない。もともと、水の精霊と火の精霊は仲が良くない。聖女だけなら排除されなかったのに」
その瞬間、パンダは白髪に黒い瞳をした男性へと姿を変える。
「――――守ってやれるかわからない。自分の身は自分で守れよレン殿下」
「……ヤン・フィレリオ王子」
「王宮に招かれたときに一回会っただけなのに、よく覚えているな。さすがその体に生まれながら王太子に選ばれるだけある」
「お前……」
「なんだ、文句あるか」
「なんでパンダなんかになっていた」
――――そこ! 私も気になっていました。
「一番に突っ込むところ、それか」
ヤンヤン改め、ヤン王子が盛大な溜息をついた。
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