19.まさかの結託ですの?
左からお父様、お母様、私、お兄様の順で腰掛けますが、さりげなく私の腰に手を回すのはおやめください。お兄様、腕を叩きますわよ? 睨んだら離してくれました。
向かいは、精霊王様を挟んで右に竜帝陛下、左が魔王陛下でした。ちょっとラインナップが華やかですね。全員主人公クラスなので、お顔は美しいですし髪色なども派手です。こちらが負けてますわ。これでも悪役令嬢と攻略対象、その両親ですのよ。
きりっと向き合う私の気合をよそに、お母様は小声で「どれが好み」と聞いてきます。ちょ……何ですか、その品定めは。強いて言うなら、魔王陛下の黒髪が好きですわ。日本人だったので、どうしても黒髪はツボです。
「提案をお伺いしましょう」
口火を切ったのは私です。向かいの御三方は、私への求婚に関する提案にいらしたのです。話はお伺いますわ。
「断られた理由を集めて検討した結果、我々3人は不利だという結論に達した」
何でしょう、報告会のようです。というより、元ゲームが同じと思われる精霊王様と竜帝陛下はともかく、ラノベの魔王陛下もご一緒とは……仲が良いんですのね。
私がラノベで読んだ『竜が舞う空の下で』は、今の竜帝陛下の先代のお話になります。乙女ゲーム化するにあたり、次世代にしたのは正解でしょう。お話が混じりますし、ラノベの世界観が台無しですもの。
魔王陛下に関しては、紫水晶の乙女がヒロインなので奈落の底で待機をお願いしたはずですが。瞳の色以外の共通点は見受けられませんし、バグの修正をしない運営に激しく抗議したいですわ。
「不利ですか」
首を傾げると、顔を赤らめて竜帝陛下が俯きました。ウブな方ですのね。
「セラフィーナ嬢と知り合う時間が少ないし、別作品だと言って話も聞いてくれない」
「そうだ。我々は伝説の乙女を探していたが、それ以上にセラフィーナ嬢を求めている」
「君が婚約破棄されたタイミングで目覚めたのも、きっと運命だ」
困りました。まさかの事態です。結託して情報共有した上で攻められるとは……防御の策を考えておりませんでしたわ。
彼らの言い分も理解できます。自分が好きだと思った方に、自分の評価ではなく別の部分を判断されて門前払いを食らう。たとえば出身地や人種、家柄などを持ち出されたら抗議したくもなるでしょう。わかるのですが……ヒロインがいるのですよ。
この3人の誰かを選び恋仲になるのは可能ですが、その後ヒロインが現れて後悔する恋人や夫を見るのは嫌です。何より、悪役令嬢の役回りで処罰されるのもご免ですわ。やっと解放されましたのに。
「わかりましたわ。では私がすべてお話ししますので、その後もう一度判断なさってください」
ここは覚悟を決めて、彼らを突き放すことにいたしましょう。




