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安寧のち憂慮

皆様の感想や応援

大変励みになります。


本当にありがとうございます。

朝食を済ませた後、引っ張られる形で

学園まで登校することが出来た。


多分、僕一人だったら

あのまま、今日も部屋に

引きこもったままだっただろう。



一日ぶりの学園は

勿論、特に何かが変わるでもなく

それでも、休んだ僕に対して

やんわりと気遣ってくれるクラスメイト達に

感謝する。


 約一名を除いて―――


「おはよう、暁斗

 昨日はお楽しみだったのかー」


 無神経に僕に絡んでくるこの男は

前島康太(マエジマ コウタ)」と言い、一応僕の友人である。


「はぁ、康太は本当に無神経だよね」

「何を言っている。

 体調崩して休んだのなら

 妹が一日中看病してくれる

 夢のイベントが起こらないわけないだろう」


 多分、冗談で言っていると思うのだが

彼の中では僕は可愛い妹が居る設定らしい。


いわく、親が海外に出張していて一人暮らしなら

可愛い妹が居ない訳がないとのことらしい。


一人暮らしだから妹なんていないはずなんだけれど。


 冗談にいつまでも付き合う気分ではないので

早々に話を切り上げたい、しかし

この男は全く空気を読もうとしない。


そんな僕を見兼ねたのか藍里が助け舟を出してくれる。


「前島君、暁斗は本当に体調悪いから

 程々にしてあげてね」


 流石に空気を読まない男も

女神の冷めた視線には耐えられないようで


「……うむ、済まなかった」


 そう言ってすごすごと自分の席まで退散した。


 そんな、女神様のお告げの効果か今日一日

学園内は平穏無事に過ごすことが出来た。


 懸念してた元カノとも遭遇することなく

特に部活にも所属していない僕は帰り支度をする。


すると、今日の平穏をもたらしてくれた

女神様が僕の席まで来ると言った。


「本当は心配だから家まで一緒に帰りたいけど

 野暮用があるから先に帰っててくれる」


 すっかり、僕の保護者感があるけど

それだけ心配かけてるのだと反省。


「分かった。大丈夫だよ

 藍里も気をつけて帰って来るんだよ」

「あと、夕飯も作りに行くから」

「流石に悪いよ」

「駄目よ今の暁斗をなるべく一人にしたくない

 これは私のワガママよ!」


 そう言って微笑む藍里にやっぱり反論できず


「分かった。ありがとう」


 そう、言葉を返した。


 ちなみに別件で康太から遊びに誘われたが

丁重にお断りした。


 寄り道せずに家まで帰る。

何もしてないと余計な事を考えてしまうので

藍里が来るまで掃除しようと思いつく

 多分、今の感じで行くと藍里が家事全般を

やってしまいそうで、そんな事になるのは

申し訳なさすぎる。


 自室から始め、リビングの掃除が終わりかけた頃

少し遅い時間になってきたので心配になってきた所で

丁度、藍里が家に訪ねてきた。


 藍里は母さんから合鍵を預かっていたらしく

今後、それで家に入る許可を求めてきた。

一応、行く前は連絡して訪ねるとは言っていた。


 途中で食材を買ってきたようで

手にはエコバッグを持っていた。


「掃除してたのね

 そんなの私がやっておくのに」


 案の定というか予想していた通りで

これ以上、藍里に甘えてばかりではいけない

僕としては掃除をしておいて正解だった。


 買ってきた食材等を収納しながら

夕食の準備を始める藍里。

気のせいか少し疲れているように見えた。


「藍里。大丈夫?」


 僕は心配になって声をかける。

藍里は僕の言葉に一瞬驚いた顔をすると

氷の女神とは真逆の優しい微笑みを返して

少し沈んだ表情を見せた。


「私もまだまだね。暁斗に心配掛けるなんて」

「別にそんな事は―――お互い様だろう」


「………うん、そうね。心配してくれてありがとう

 でも、大丈夫よ放課後の事が想定外すぎて

 思ったより大変だったから気疲れしたみたい」


「それは僕じゃあ手伝えないことかな?」

「………そうね、今の暁斗では難しいかしら」


 そう言った藍里の表情に陰りが見えた気がした。

やんわりとした言葉で明確に拒絶され

僕はそれ以上何も言えなくなってしまった。

 

 



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― 新着の感想 ―
[一言] 不穏な空気が。
[良い点] 放課後どんな展開か楽しみに待ってます( *´艸`)
[一言] 一緒に混ざろうよとか言われたのかね? というか主人公達はよく今まで脳内ピンクに気付かなかったな 先輩とやらはみんなNTRでも企んでるんかな
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