表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/22

月は見ていた(千歳After)

最後まで読んでいただき

感謝しております。


いつも誤字脱字報告していただいてる

方々大変助かりました

ありがとうございます


評価、感想も励みになりました。

 藍里が去って、何も考えられなくなった。


 いつの間にか久々に家に帰ってきたお父さんが

悲しい顔をして私を見ていた。


 その後、お父さんからお母さんの事も聞いた。


 私は自分のしたことの気持ち悪さに気付き、

トイレに駆け込んで吐いた。


 当然だけど二人は離婚することになった。


 お母さんは塾講師を懲戒解雇となり

多額の慰謝料を抱えた上に

噂が広まり、この街には居られなくなった。


 私はお父さんに付いていくことになったが。

転校することになり、慣れ親しんだ場所から離れた。


 その後は何とか高校は卒業出来たけど、

父親との気まずい関係は修復出来ず直ぐに家を出た。


 家を出た後は何とか仕事をこなし普通に生活していた。


 でも、私はあんな事があったのに

結局、変わることが出来なかった。


 流されるままに色々な男と付き合った。


 抱かれてる時は欠けた何かを忘れる事ができるけど

ことが終わればカラッポな私に戻り後悔する。


 そんな事を繰り返して

 どんなに探しても

 私を満たしてくれる人は見つからなかった。



 そして、今も実業家の男の愛人としてここに居る。


 見晴らしの良い高層マンション。


 部屋に並ぶ高級感ある家具。

クローゼットには有名ブランドの服が並び

何一つ不自由がない今の生活。


 前に、どこで聞きつけたのかお母さんが

私にお金の工面をお願いしてきた。


 どうやら再婚したみたいだけど

相手の男がギャンブル好きでむしろ借金が増えていた。


 一度はお金を貸したけど何度も同じ事を

繰り返すので手切れ金を渡し縁を切った。


 そんな醜い姿を見せられると

自分の姿と重なり嫌悪感に苛まれる。


 知人には羨ましがられるが、

その都度に自分の浅ましさを実感する。


 私は何も変えることが出来なかった。


 男の欲望を満たして、

対価で一般的には贅沢な生活を送る。


 体だけの繋りで相手の心を全く無視した

今のような関係を私はアッ君に求めようとした。


 カラッポのはずの心が少しだけ震える。


 何かを紛らわすために少し強めのお酒を呷り眠りについた。



 翌日、定期の薬をもらう為に産婦人科に向かう。


 合わせて検診を受けるためにロビーで待っていると

忘れることのできない二人の声が聞こえた。


 声の方に視線を向けると、

 そこには大きなお腹を撫でながら笑う金髪の女性と

女の子を抱っこしながら相手を気遣う

優しそうな男性が見えた。


 目に映る幸せそうな家族が誰かは直ぐに分かった。


 いたたまれなくなり、薬も検査も放ったらかして

急いで自分の部屋に戻って泣いた。


 私が満たされないのは当たり前だ、


 だってもう私の心を満たしてくれてた人達は

私が自分から手を放してしまったから。


 もしかしたら、あんな馬鹿なことをしなければ

アッ君の隣にいたのは私だったかもしれない。


 今でも藍里ちゃんと笑って話が出来ていたかもしれない


 そんな、過去にでも戻らないと

実現しない今にまた後悔の涙が流れる。


 きっと私はこの先、満たされない思いを抱いたまま

生きて行かないといけない。


 私は疲れ果てて眠りに落ちる。


 

 真っ暗な部屋に月の光が射し込む。


 いつの間にか夜になっていたようで月の光だけが

部屋を照らし、飾られていた花が目を引いた。


 誘われるようにベランダに出ると

赤みがかった満月が煌々と輝いていた。


 昔アッ君が教えてくれた月が人を狂わせる話を思いだす。


「アッ君、月が奇麗だよ」


 返事のない現実にカラッポの胸がまた苦しくなる。


 本当に狂うことが出来れば…


 私は月に救いを求めて身を乗り出し手を伸ばす。


 ビューと風が吹く、バランスを崩した私は

流れる方に自然とその身を委ねた………



 最後まで月は私を照らし続けてくれた。





稚拙な文章にも関わらず

最後まで読んでいただき

皆様の心の広さを痛感しております。


ありがとうございます。


最後に宜しければ

下の☆から評価とブックマーク

お願いします。


新作始めました

宜しければこちらもお願いします


異世界恋愛物です

https://ncode.syosetu.com/n7510gr/1/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めました よければこちらもお願いします                 異世界恋愛物
― 新着の感想 ―
[良い点] この作品も面白かったです。 最後の表現は、凄く好きです。 千歳は、ある意味救われたと感じました。 自殺では無く、あくまでも事故。 自殺に限り無く近くても事故で終われるなんて、作者さん…
[気になる点] 最後まで楽な方を選ぶんだな… やっぱ人間根っこは変わらないってことかねぇ…
[良い点] 最後の表現は、とても素晴らしかったです。何か心に残る最後でした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ