カツ丼の無い取調室
プロットは完成しているので
最後までお付き合い頂ければ幸いです。
いつの間にか寝入ってたみたいで
気づくと朝になっていた。
時計を見ると遅刻ギリギリの時間だった。
昨日の件が尾を引き学園には行く気になれない
体調不良で休む旨を連絡して再びベッドに潜り込む。
寝て起きてを繰り返しているうちに
いつの間にか夕方になっていた。
窓に差し込んだ茜色の光が昨日の出来事を想起させ
絡み合う幼馴染と一緒に居た男のイメージが頭に浮かぶ。
そうすると、自分の何が悪かったのか?
自分の何が足りなかったのか?と思い悩み
結局、幼馴染を悪にして、自分を悲劇の主にして
自己憐憫に浸る自分も酷く嫌になる。
そんな負のスパイラルに陥る中
「ピンポーン」と現実に引き戻す呼び鈴が鳴らされる。
昨日のモニタ越しの彼女だった幼馴染の顔が頭に浮かび
胃が締め付けられるような感覚になる。
億劫ながらインターホンまでたどり着く
モニタを覗くとそこに映っていたのは
母親譲りのプラチナブロンドに
切れ長で力強い意志を感じさせる瞳の
もう一人の幼馴染の顔だった。
不安そうにカメラを覗く彼女に返事をする。
玄関まで行き鍵を外し中に入ってもらう、
「おじゃまします」
遠慮がちに挨拶すると僕の後を着いてくる。
リビングまで案内しソファに座ってもらい
僕はキッチンに向かうと
彼女の好きな紅茶の準備をする。
「思ったより、元気じゃあない」
「ありがとう、心配して来てくれたの?」
「それは、いきなり休むから
おばさまにも、お願いされてるし」
もう一人の幼馴染。
「白川藍里」とは小学三年生の時に引っ越してきて
元カノのアイツの次に付き合いが長い相手だ。
しかも、家は隣で僕の母親とは仲が良い。
準備した紅茶を渡し僕は対面に座る。
彼女は渡されたお茶を一口含むと優しく微笑む。
「いつもながら、美味しいわね―――
―――それで、何があったの?」
優しく微笑みながら
目は問い詰める視線を投げかけてきた。
「…………」
彼女の尋問に黙秘権を行使しようとも考えたけど
きっと彼女は譲らないし僕が自白するまで居座るだろう。
「千歳と何かあったんでしょう!」
彼女の切り込みに思わず目を見開いてしまい
態度で何かあったということを示してしまう。
「なんで、分かったの?」
「学園で千歳の態度があからさまに変だったから」
「そっか」
「それで、何があったの?」
そう言った彼女の視線はいつの間にか
詰問から優しい眼差しに変わっていた。
その瞳に見詰められると、否応なしに思い出してしまう。
僕はいつも彼女に、藍里に敵わなかったことに。
子供の頃の藍里は男っぽく、事あるごとに競い合っていた
スポーツ、勉強どれを取っても一歩届かなかった。
でも、ライバルと競い合う感じで卑屈なく楽しかった。
それが小学生の高学年になり
男女の差が出た頃に変わった。
簡単に言えば女らしくなってきた藍里に
僕は素直に接することが出来なくなってしまった。
それが原因でしばらく藍里とは疎遠になってしまったが
中学二年の時に同じクラスになった事で転機が訪れた。
その頃の藍里は短髪だった髪が
女の子らしいサラサラショートになり
同世代に比べるとふくよかに育った双丘に育っ――――
兎に角、綺麗になったもう一人の幼馴染に
僕は過去の子供すぎる対応に謝罪し
照れくさかった事を打ち明けるた。
そんな僕を藍里は優しく笑って赦してくれた。
大人な対応で人としての器でも敗北した僕は改めて
信頼出来る親友で幼馴染として藍里と過ごしてきた。
そんな親友で幼馴染の微笑みと
無言のプレッシャーに耐えれる訳もなく
敢え無く、僕は昨日の出来事を洗いざらい白状した。
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