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19/22

セルフディストラクション(Side藍里)

いつも読んでいただいている方々


誤字、脱字報告

感想、評価、応援いただき


ありがとうございます。

 映画を見に行った翌朝


 千歳から『昼過ぎから会えない?』と

メッセージが届いていた。


 特に用事はなかったので、

大丈夫だと返事を返す。


 暁斗にも午後に千歳に会いに行く事を

メッセージで送っておく。


 昼過ぎ約束の時間に千歳の家に到着して

インターホンを鳴らす、鍵が開いてるから

部屋まで来てとの事なので部屋に向かう。


 部屋の中で待ってた千歳は

私の知っている姿ではなかった。


 私の驚いた顔を見て千歳は楽しそうに笑って


「藍里ちゃん、ビックリしたかな

 どう、似合ってるでしょう」


 そう言った。


 千歳は長かった髪をバッサリ肩口まで切り

艷やかだった黒髪は金色に近い茶髪に変わっていた。


「いきなり、どうしたの?」


「こっちの方が似合ってて可愛いって先輩が」


「先輩って……もしかして」


「ほら、あとこれも見て、

 ピアスの穴も開けてもらったの

 痛かったけど、馴染めばもっと可愛くなれるよ」


 私は千歳の突然の豹変について行けず

戸惑うしかなかった。


「千歳…あなた、いったい…どうしたのよ

 それに先輩ってアイツの事?

 キッパリ縁を切ったって私に言ったよね

 嘘だったの……ねぇ…答えて」


「あはは、藍里ちゃんでもそう言う顔するんだね」


「ふざけないで」


「別にふざけてないよ

 藍里ちゃんに言われた通りに一度は縁を切ったよ

 でもね、結局私を助けてくれたのは先輩だったの」


「何を言ってるの私だって千歳のために…」


「あぁ、そう言うのもういいから、

 藍里ちゃん、ううん…もう藍里って呼ぶね」


「………」


「まさか、私が藍里を黙らせる日が来るなんてね

 さっきも言ったけど、

 私を助けてアッ君を取り戻す手伝いを先輩は

 かって出てくれたんだよ、

 悪者になってまで、凄いよね」


「あいつがそんな事する訳ないじゃない」


「酷いね藍里、

 何も知らないくせに先輩の悪口言うなんて

 手紙も縫いぐるみも映画のチケットだって

 先輩のアドバイスなんだよ、おかげで

 離れてたアッ君との距離が縮んだよ」


「違う。それは千歳が自分で頑張ったから……」


「うん、そうだよ私頑張ったんだよ、

 アッ君の為に…

 アッ君を喜ばせて…

 気持ちよくさせること一杯覚えたよ

 先輩だって褒めてくれたんだよ」


 嬉々として語る千歳の言葉に吐き気を催す。


「うっ…なんてことを……」


「ねぇ、藍里には出来ないよね、

 アッ君の為にここまで出来る?

 私は出来たよアッ君の為に先輩にも抱かれたよ」


「千歳あなた……本当にそんなこと…」


「だから、藍里はもうアッ君と一緒に居なくて良いんだよ」


「なんで、千歳…どうしちゃたのよ……」


「どうもこうもしてないよ、

 アッ君を取り戻すために頑張っただけ」


「何を言ってるのよ、いい加減にしてよ千歳」


「いい加減にして欲しいのは私の方だよ

 私がいない間に居座ったアッ君の隣は居心地が

 良かったでしょ、優しい眼差しを向けられて

 もしかして好きになったのかなー

 親友って言ってた癖にね」


「何で…私と暁斗は親友で……」

 千歳のことだって大切だと思ってた

 二人とも大事な存在だよ…」


「だから、そう言うのはもういいって何度も…

 藍里は昔からアッ君のこと友達の好きじゃないのは

 見てれば分かるに決まってるから」


「そんな事……」


「私はね…藍里のこと怖かったよ

 自分に自信がなくて、ずっと怯えてた

 アッ君を取られるんじゃないかって」


 知らなかった、千歳がそんな思いを抱えたなんて


「だがら、褒められてのぼせ上がって

 あんな馬鹿なことして浮ついて

 フラフラしてアッ君に拒絶されて

 気付いたよ一番大切なのは

 他の誰でもないアッ君だって

 アッ君のためなら何だって出来る自分に」


「……それなら、尚更どうしてこんな事してるのよ」


「そんなの…藍里…

 アナタがいたからに決まってるじゃない」


「……私のせい…なの?……」


「だって、私より綺麗で何でも出来て優しくて、

 アッ君の事大切に思ってくれる人が直ぐ側に居るんだよ

 何も出来ない私なんか幼馴染じゃなければ

 勝負にもならないよ、だから先輩から

 男の子の喜ぶ事、教えてもらったんだ。

 もちろんアッ君を喜ばせるためにだよ」


「それが、暁斗を裏切ることになるって思わなかったの?」


「どうして? アッ君の為にしてるんだよ

 それにアッ君も私と繋がれば分かるよ

 気持ちよくて、幸せな気分になれば

 直ぐに私の事また好きになってくれるよ」


 そう言って笑う千歳の姿を見て言葉を失う。


 昨日まで大事な幼馴染だったものが理解出来ない

得体の知れない何かに変わっていた。


 暁斗……今なら良く分かるよ大切な者を失って

感情を閉ざしてしまった気持ちが……



 そんな私に澄ました顔の千歳が告げる。


「ねえ、私はアッ君を狙う女の『藍里』は大嫌い――

 でも、私とアッ君の友達の

 『藍里ちゃん』はやっぱり好きだよ」


 一瞬、昨日までの千歳の顔を私に見せる。


「だから、提案があるの……

 藍里は先輩と付き合えば良いよ

 そしたら真面目な藍里は浮気なんてしないから

 私はアッ君と安心して付き合えるし

 藍里ちゃんとしてトモダチでいられる

 いい提案でしょう!

 大丈夫だよ、先輩、上手だから

 すぐアッ君のこと忘れさせてくれるよ」


 でも、言ってることは酷く利己的で

聞くに耐えない話だった。


「何で私があんなクズなんかと……」


「ひどいなー、藍里だって絶対気にいるのに

 だいたい、約束はどうしたのよ

 私とアッ君との仲を取り持ってくれるって言ったよね

 それなのに、やっぱり自分を優先して裏切るんだ、

 先輩の言ったとおりだね」


「違う、私は本当に暁斗と千歳を仲直りさせたかった」


 捨てきれない幼馴染への情に揺れる。


 ここまで来てしまったら、私は選ばないといけない、

笑い合う三人の日々に戻ることはもう出来ないのなら

私は……



「ごめん、私の曖昧な態度が貴方を傷つけてた」


「そうだよ、親友なんて誤魔化してまとわりついて

 いっそ私達から距離を置いてくれた方が

 どんなに良かったか」


 容赦のない千歳の言葉が胸に刺さる。


「千歳の言うとおり、親友と言ってたけど

 それ以上に暁斗のことが異性として好き」


「はぁ、やっと認めたね」


「でも、暁斗には私は相応しくないと思ってた」


「意味がわかんないよ、ふざけてるの」


「ふざけてなんかない、だって

 私は暁斗のお父さんを殺したから」


「いきなり何を言ってるのよ」


「だから、私は暁斗と千歳が仲良く笑ってる姿が

 見れれば良かった、それを守ることが償いだと思ってた」


 私の告白に戸惑いを見せていた千歳が

先程までの余裕を取り戻して言った。


「……それなら、ちょうど良いじゃない

 先輩の隣で私とアッ君を見守っててよ」


 私は千歳の目を見つめつづけて言う。


「でもね……そこには暁斗の笑顔はないでしょう」


 快楽に流された関係なんて暁斗は望んでいない。


 自分の事しか考えられなくなった

この千歳を暁斗に会わせる訳にはいかない。


 私は……暁斗の笑顔をまた失わせたくない

だから私は暁斗の未来を選ぶよ……ごめんね千歳


 あなたを助けてあげれなかった不甲斐ない私を…

 知らないうちに追い詰めてしまっていた私を…

 これからあなたの手を放すことになる私を……


 恨んでくれて構わないよ。



「千歳は暁斗から笑顔を奪って平気なの?

 好きな人には笑っていてほしいと思わないの?」


「そんなの、私が一杯喜ばせてあげれば

あの冷たい視線じゃなくて、今までの優しい

アッ君の眼差しに戻って笑ってくれる」


 私の言葉に反応して、千歳は怒りをあらわにする。


 そんな千歳に目を逸らさずに断言して言い返す。


「笑わないよ、だって暁斗が好きだった千歳は

 朗らかに笑って、困った顔してすぐ泣いて

 考えなしに人を助けるお人好しで

 不器用だけど一生懸命で

 世話がかかるけど放っておけなくて……

 それでもみんなを思いやれる優しさを持っていた

 私に無いものばかり持っていた千歳だもの」


 そして、そんな千歳が私も大好きだった。


 だから、せめて私が現実を千歳に教えないといけない

それに千歳の心が耐えきれなかったとしても。



「…嘘だよ、それじゃあなんのために……」


「千歳は間違えたの、もう後戻りできないほどに」


「違う、私は間違ってなんかいない

 こうすれば先輩はアッ君が戻ってくるって言った」


 私の言葉を否定し泥舟に縋り付く千歳。


「ねえ、どうして千歳は私や暁斗より

 そんな、クズで薄情な男の話を信じたの?」


「それは、先輩の言うとおりにしたら

 上手く行ったから」


「それは違うよ、さっきも言ったよね

 上手く言ったのは千歳が頑張ったから

 作りなれてないのにお弁当作って…

 タコさんウインナー美味しかったよ

 不格好だけどあの猫の縫いぐるみ…

 ちゃんと千歳の気持ちが詰まってたよ」


 ても、最後の最後で千歳は楽な道を選んでしまった。


「向き合って罪を償うのは辛いよね、分かるよ

 だけど、千歳は逃げた、逃げただけならともかく

 安易な方法に走った」


「そんなことない、私はアッ君の為に」


「そこに暁斗の気持ちはある?

 千歳が他の人とキスをしただけでも嫌悪感を示した暁斗が

 今の千歳を見たらどう思うかな?」


「いや、きっと、アッ君なら…」


「今の千歳を暁斗が見たらきっと物凄く悲しむね

 私達より薄っぺらな男の言葉を信じた、

 自分の事しか考えられなくなった千歳に」


 そうこんな千歳を見てしまったら、

私以上に暁斗は悲しむに決まっている。


「……いや、いやだよ、アイリ…藍里ちゃん…

 私からアッ君を取らないで…お願いだから……」


 千歳に張り付いた能面が剥がれ、

少しずつ元の千歳が顔を表してくる。


 でも、私はもうその手を取らないと決めたから。


「千歳……千歳は自分から手を離したんだよ

 誰のせいでもない、自分自身の手で暁斗と私との絆を

 壊したんだ」


「そんなの、そんなのってないよー」


 すがるような眼差しの千歳に

感情を押し殺し努めて冷静に私は告げる。


「だからね千歳、自分がやったことの責任は

 自分自身で取らないといけない

 私はもう手伝ってあげれない

 これからは一人で立ち上がらないと駄目だよ」


「イヤだ、やだよ、助けて藍里ちゃん…」


 子供の様に泣きだした千歳に最後のサヨナラを告げる。


「ごめんね、バイバイ千歳、あなたの事大切に思ってたよ」



「ごめんなさい、ごめんなさい……ごめん………

 うあぁぁぁん―――――」


 感情が抑えきれず

 千歳は泣きじゃくって私に助けを求める。


 手を差し伸べたくなる気持ちを抑えて私は背を向けた。


 心の中でもう一度、

 サヨナラを告げて千歳の家を後にした。


 知らないうちに私も目から涙が零れていた。



ここからは賛否両論

出てくると思いますが

今日中に完了予定です最後まで

読んでいただけたら幸いです。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] この年齢でここまで常識がないというか、壊れた思考の人っているのかな?千歳がもはや健常者なのか疑わしいレベル。
[一言] 余りに馬鹿でこっちもびっくり。 その前の話でバカとは分かってたが、ここまでとは。 そりゃあ彼女もムンクになるわな。 髪は切るわ、染めるわ、ピアスまで、その指南先輩と聞いたらそえりゃあ発狂する…
[一言] 終盤に何の捻りもない丸々エロ本内容コピーのしょーもない展開の後だと何書こうが茶番にしか見えねえんだよな~構想が甘かったね。 ざまぁとかどうでもいいからC級作品(エロ本)の劣化コピー版のD級作…
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