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16/22

セブンデイズ

そろそろ完結も見えてきました。


いつも読んでくださってる方々


ありがとうございます。

 保健室で目を覚ました後、

 気まずい思いをしつつ

 二人で教室に戻り放課後一緒に帰った。


 藍里は今日も部活を休んでくれた。


 夕食は僕の家で、

いつものように一緒に『いただきます』をする。


 食後は僕が紅茶と途中で買ってきたデザートを振舞った。


 デザートを食べた藍里は上機嫌で

やっぱり女の子は甘いものに弱いと実感。


 本題の千歳の話を藍里から聞いた。


 まずは、来週の一週間で千歳の態度を見て

どうするか判断してほしいとお願いされた。


 余り期待はしていないが、藍里が信じるという

千歳を見ていくことにした。


 その後は駄弁って、ゲームして、勉強して、

藍里は自分の家に帰っていった。 


 帰りに藍里から、来週にでも千歳と会えるか尋ねられた。

嫌なら、千歳には断りを入れるからと言ってくれた。


 僕自身もキチンと向き合ういい機会だと思い了承した。



 翌週、僕は千歳と向き合う日々が始まった。


(一日目)


 放課後、藍里立ち会いの元

 千歳から正式に謝罪を受けた。


「アッ君、本当にゴメンなさい、

 私、自分の事ばかりで、アッ君なら、

 何でも許してくれると甘えすぎてたみたい」


 何日かぶりに見た千歳は少し痩せた様に見えた。

 目に隈が出来てて、

 こいつなりに悩んだのかもしれない

 だからって許せるかは別の話だが。


「謝罪は分かった。でも今は何を言われても

 許す気にはならない。後、名前で呼ぶのは止めてほしい」


「そうだよね、私藍里ちゃんに言われるまで

 自分のした事がどれだけアッ君…じゃなくて

 朝比奈くん…を傷付けたのか分からなかった」


「ああ、そうだ、今なら分かるけど

 とても辛くて、腹立たしくて、悲しかったよ」


「うん、私も今なら少しは……分かるかも

 だから、これからの私を見て判断してほしい

 恋人は無理でもせめて友達には戻りたいから」


 『何が少しは分かる』だと

思わず叫びそうになったけど

我慢して、千歳の言葉を最後まで聞いた。


 千歳の瞳には涙が溜まっていて、

それを零さないように我慢していた。


 昔の僕だったらその姿を見ただけで

助けに入っただろうけど

今は全くそんな気持ちには、ならなかった。


「好きにしたらいいと思う、ただ僕一人のときは

 話しかけたり、近づくのは遠慮してほしい」


 昨日までだったら問題なかったけど

今の僕には一人で向き合うのは辛い。


「うん、分かったよ、話を聞いてくれただけでも

 ありがとう…あっ…朝比奈君」


 そう言って千歳は帰っていった。


 二人だけになった夕暮れの教室で

僕はあの時の光景を思いだしてしまう。


「頑張ったわね、暁斗」


 そう言って、僕を抱きしめてくれる。


「僕は藍里に甘え過ぎだね」


「いいのよ、辛いときはお互い様でしょう」


「そうだね、ありがとう」


「それじゃあ、帰りましょう」


 藍里は抱擁を解き、鞄を取ると一緒に歩き出した。


 夕食時に藍里が訪ねてきて

 いつもの様に平和な日常を満喫した。



(二日目)


 昼休み千歳が藍里を訪ねてきて、

一緒にご飯を食べる事になった。


 確かに僕を訪ねてきたわけではないけど…


 藍里が嫌ならそれとなく断るけどと

耳元で囁いたけど、僕は向き合っていくと決めたので

三人で食事を取ることにした。


 僕と藍里は同じお弁当。

 驚いたことに千歳が自分でお弁当を用意していた。


 藍里も驚いたようで千歳に尋ねた。


「もしかして、自分で作ったの?」


「えへへ、色々失敗したけど頑張ってみたよ」


 確かに見た目は残念だが、料理が苦手な

千歳が作ったのなら及第点だと思う。


「これなんか、どうかなー、

 多少はマシに出来たんだー、食べてみないかな?」


 千歳は恐る恐る、僕にタコさんウインナーを勧めてきた。


 僕は断ろうとしたけど、不出来なお弁当に千歳なりの

頑張りが見えて、断り切れずに一口食べた。


「まあまあかな」


 僕が素っ気なく言うと、藍里がすかさずフォローに入る


「そうかな美味しそうよ、私も食べてみていいかしら」


「うん、食べてみて」


  千歳がそう言ってお弁当を藍里に差し出す。

 藍里はそこからタコさんウインナーを取ると口にした。


「上出来じゃない、美味しいわよ」


「ほんとうー、嬉しいな、えへへ」


 千歳は藍里に褒められて嬉しそうにして

料理のコツとかを聞いていた。


 お昼を食べ終わった後はあっさりと

千歳は自分の教室に戻った。


 放課後は藍里は部活に向かい

久しぶりに一人で帰った。


 夕食時、久しぶりに藍里のおじさんが

早めに帰宅できるらしいので、お呼ばれした。


 おじさんと藍里と三人で食べる夕食も

楽しくて嬉しかった。



(三日目)


 今日の千歳は特に絡んでくることはなかった。

 ただ、昼休みに藍里経由で手紙を渡された。

 中身は藍里も聞いていないとのことだった。


 昼はいつものように藍里とお弁当を食べる。


 手紙を読もうとすると、

気を遣って藍里が席を外してくれた。


 手紙の中身はというと、

 僕に対する謝罪と、僕と離れてからの思い

 どんなに僕と会えなくなって

 辛かったか、悲しかったが書かれ。


 これから、僕との信頼を取り戻すための

 意気込みが書かれていた。


 どうして僕達はすれ違っちゃったのかな?

 その思いが込み上げる。


 藍里は何も聞かずに、黙って僕の手を握ってくれた。

 


(四日目)


 今日も千歳は特に絡んでくることはなく

平穏に一日が過ぎていく。


 放課後、部活の藍里と別れる。

帰る途中、廊下で千歳と鉢合わせしたけど、

約束通り僕に話しかけることはせず

会釈だけしてすれ違った。


 夕食時に部活から帰ってきた藍里に

不格好な犬?の縫いぐるみが付いたキーホルダを渡された。

藍里は同じく不格好な

猫?の縫いぐるみのキーホルダを見せる。


 千歳が作ったと教えてもらった

猫?の縫いぐるみは目がキリッとして強気な感じがした。


 藍里は嬉しそうにそれを鞄に付けていた。


 犬?の縫いぐるみはタレ目で情ない感じが何となく

千歳に似ている感じがした。


 鞄には流石に付けなかったけど

縫いぐるみには罪は無いので

机の隅に飾っておくことにした。


(五日目)


 藍里が行きと帰り、千歳が一緒でも良いか

尋ねてきたので承諾した。


 少し離れて僕らに付いてくる千歳。


 僕から話しかけることは無かったが

藍里がたまに話しかけると嬉しそうな顔をしていた。


 先々週までの当たり前が少し戻った気がした。



 学園での千歳は絡んでくることもなく放課後を迎えた。


 藍里が千歳も含めて、

夕食を食べに行かないかと提案してきた。


 僕は少し渋ったけど自宅じゃないならとの意見で

三人でファミレスでご飯を食べる事になった。


 駅前のファミレスまで二人の後を

追いかけるように付いて行き、店内に入ると

対面に藍里と千歳が座る。


メニューを見ならがら何にしようか考えていると

あいつが店内に入ってきた。


 あいつは僕達の近くまで来ると千歳の存在に気が付き

気安く話しかけてきた。


「あれ、千歳ちゃんじゃん、久しぶり元気だった?」


 藍里と僕がヤツを射殺すような視線で睨む。

藍里は苦々しい顔をするとヤツ『比留間陽介』に言った。


「済みません。もう話しかけないでと言ったはずです」


「あれ、そうだっけ?、でも友達じゃなくなっても

 知り合いな事はかわらないでしょ、ところで、

 この席、開いてるし座っていいかな」


 僕達のことを無視したような態度で

厚かましく隣に座ろうとする。


「やめてください!!」


 千歳が大声でクズ男を止める。

 店内の視線が集まり、

 さすがのクズ男もいたたまれず、

 舌打ちをして店から出ていった。


 涙ぐむ千歳に優しく藍里が語りかける。


「千歳、よく頑張ったわね」


「うん、だって、だって………」


 千歳は我慢出来ずに藍里の胸に

顔を埋めると静かに泣き始めた。


 そんな千歳の頭を藍里は優しく撫でていた。

 

 その後は少し微妙な雰囲気だったけど

千歳が明るく振る舞い、少しずつ藍里も笑顔が戻り

最後は普通に食事と話をして店を出た。


 話の中で藍里が映画のチケットを貰ったから

明日三人で、行かないかと言われた。

 特に予定もなかったのでOKして

明日は映画館に行くことになった。


 クズ男の事もあったので二人で千歳を家まで見送り 

そのまま帰宅した。


(六日目)


 映画は昼過ぎからなので、それまではゆっくりして

 いい時間帯になった頃、準備をして藍里に連絡する。


 藍里も身支度は整えていたとの事で

合流して千歳を迎えに行く。


 いつもの登校時の待ち合わせ場所に

かなりきわどいミニスカート姿の千歳が待っていた。


 そのまま三人で駅前にある映画館に向う

中はそれなりに賑わっていたが、僕達が見る予定の映画は

そんなに人気がないのか席がかなり空いていた。


 鑑賞席を三人で並んで席を取ろうとすると

千歳が遠慮して自分は後ろの席に座ると言いだした。


 結局、僕と藍里が隣り合わせに座り、

その後ろの席に千歳が座ることになった。


 開場10分前切ったのでシアター内に入ろうとすると

千歳はトイレに行きたくなったから先に行っててと

僕達を先に入場させた。


 上映開始前の告知が進む中、

千歳もギリギリで遅れて入ってきた。


 ちなみに映画は藍里の好きなホラーだった。

逆に千歳はホラーが苦手なので映画が終わった後は

少し赤らんで涙ぐんでいた。


 その後、喫茶店に入りデザートを注文する。

藍里も千歳も落ち着いたようで今日見た映画に対して

ダメ出ししたりしながら、それなりに楽しい時間を過ごした。


 夕方、千歳は母親と約束があるからと別れた。


 千歳の母親は駅前の進学塾の講師をしている。

この後、一緒に食事をする約束をしていたそうだ。


「暁斗、千歳も頑張っていると思うわ、

 直ぐには無理でも千歳のことを許してあげれそうかな?」


 寂しそうに千歳を見送った藍里の言葉に

 僕は返事を返すことが出来なかった。


(七日目)


 朝、起きて目がある程度覚めたころ

今後の対策を考えるため

昨日の夜に届いていた調査報告に目を通した。


 報告書に書かれていた内容に

 僕はあの時の夕陽の公園を思いだしていた。


 もうこれ以上の猶予は無いと判断し、

 僕は幕を下ろす決意をした。

 

少しでも楽しめましたら

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― 新着の感想 ―
[一言] あーあ、予想通りの展開がでしょうね。 屑男はタダの屑で(ただ、こいつの調査してたんだから、それとなく全校に暴露ぐらいしても良かったんでわ)、股ゆるちゃんはやはり頭も股も緩いと。 トイレでミニ…
[一言] ま、大方の読者の予想通りの結果だったんでしょうね
[良い点]  昨日の夜の調査報告が気になります。
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