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これが僕の行動理念が成り代わった瞬間だった。

彼女は何かを隠している。気がする。

 僕の思惑とは裏腹に、市長との接触は順延されていく。その間にも人間側の攻撃が激しくなる。

 一方で教会からの許可状を貰った魔導士側も反撃を開始し、抗争は過激化する。

 純粋な殴り合いで魔導士が負けることはないと、サウナさんは言っていた。それならばこの現状はとっくに打破できているはずだ。

 ――ジアス。今の人間側には一国が背後にいる。魔導士が介入すると状況は複雑化する。

 それに加えサウナさんによると、ジアスは魔導士だけで構成された珍しい国であり、いわゆる鎖国政策で外部との接触をしばらく絶っていたいう。その性質上彼らにしか作成できないような高等な魔術もあるという。

 だからこそこの状況は異常であるという。突然人間に味方することはあり得ない話なのだ。それゆえこちらとしても下手に手出しできないという。


 そして僕がヒバナさんに襲われた日から一週間が経過した。どうやら鬼門からの魔物の攻勢は納まってきたようで、僕は用なしと堕落していた。悲しみ。

 当然だが僕は最前線には連れて行ってもらえなかった。魔力量が高いという話を聞いてから少し期待していた。

 この国に来てからも何度か魔道系統の機械を目にしていた。それらがどういう役割を担っているかまでは素人には分からないが、男心をくすぐるような荒々しく美しいフォルムをしていた。それらの原動力にでもなれればとは思っていたが、残念である。


 こうして日々の鍛錬以外にやることがないままあらに一週間が経過したある日、ついに僕に声がかかった。再び人間の陣地に行くという。


「前回は君の【薄影】をあてにしていたが、入国審査時に何者かに封じられた可能性が高い。国内全域に魔術が展開されている可能性はあるが、君を図書館内に転移させる。転移魔法に関して封じられてはいないことは確認済みだ」


 そういうと有無を言わさず僕を転送させる。

 一瞬のことだ。視界が一瞬暗くなり、目の前に大きな扉が現れる。

 そして僕の意思とは関係なしに体が動き、扉を開ける。中には豪華な絨毯に天井にぶら下げられたシャンデリア、中央に置かれた背の高い椅子。それだけだった。

 図書館の一室にしては狭く、会議室やその他事務室として利用するには広すぎる一室にそれだけしかないのだ。

 奇妙だった。それが第一印象。

 監禁するには不適切な場所のように思われる。


『無事着いたか。そこの椅子に市長がいる。魔力注入のためにその市長の腕の血管に針を通し行う。君はそれを持ったまま魔力の流れを意識してくれればいい。針は今から転送する』


 言われるがまま中央の椅子に近づく。そこに座っていた―というよりは眠らされていた―のは三十くらいの若い男で、端正な顔立ちで女性に好かれそうな柔和な面立ちである。

 視線を下に落とすと、彼の美しく細い腕には無数の針の跡が痛々しく残っていた。思わず目を背けてしまう。

 彼は今までも異星人によって魔力を注がれ続けていたのだろうか。あまりのむごさに目を背けてしまう。


『今針を転送した。頼んだぞ』


 念話の相手は果たして、頼れる上官でお酒に弱い優しい魔女なのだろうか。今の僕には悪逆非道な悪魔であるとしか思えない。

 しかし、彼女の命令に逆らうことはできない。恩情などではなく、能力によって行動が制限されているようだ。

 仕方なく、彼の腕に新たな傷をつけ、魔力を注入する。血の気が引いていく感覚がある。少し足元がふらつく。


『それくらいでいいだろう。さてこれで君の役目も終わりだ。どうもご苦労だった。ハルを君のもとに向かわせている。しばらく待っていてくれ』


 それだけ言い残すと念話は途切れてしまった。煮え切らない。これでは僕はただの使い捨て品だ。それに、展開が急すぎるのだ。サウナさんが隠し事をしていることは間違いないだろう。


「対面するのは久々だね。ライラ君」


 どこからともなくハルさんは現れた。なぜだろうか。彼女を見たら安心してしまった。

 穏やかな笑顔で僕を見ている。しかし、憔悴していてつらそうな表情にも思える。

 兎にも角にも僕らはその場をあとにし、飛行船に乗る。

 僕はきっとこの国を変革し得る事態に首を突っ込んでしまったのかもしれない。幾人もの人を殺し、見捨てた僕は断罪されるのかもしれない。

 しばらく僕はハルさんと行動を共にする。これは彼女との約束というだけではない。

 真実を知りたい。これが僕の行動理念が成り代わった瞬間だった。

最後までお読みいただきありがとうございます!


最近の悩みを一つ。そう、前書きのことです。


あそこ何書けばいいんですか?わからんなー。

まあ適当に書きますわw


それでは次回もお楽しみに!

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