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メンタル的には圧勝である。フィジカル面ではどうか。

も、もしかして誘惑された?

 翌日、僕らは昨日宴会が開かれた大広間に集まっていた。今後の作戦などを確認するためだ。

 話を聞く限り僕は、ほぼお荷物のような感じだ。基本的に作戦を実行するのはハルさんで僕はサウナさんと後方の安全確認、あるいは小物の処理をする。

 というのも、この時期のリサラスは北東からの”侵入者”に悩まされるという。僕のいた世界から言わせれば北東とは鬼門に当たる。この世界でいえば魔物だろうか。

 当然、尽力をして対策を講じてはいるが、どうしてもこの時期は門扉が緩むようだ。そのため毎年幾人かの魔導士を北東方面に常備させているのだが、今年はその人数をセーブする必要がある。

 なぜなら国内情勢がこのようでは、人員確保も難しいだろう。

 そしてこの事態をより深刻化させている原因が二つある。

 一つ目は人間と魔導士との間に取り決められた謎協定による。なんと魔導士はいかなることがあっても協会の勅許なくして人間を殺傷してはならないという。ただし人間側は可。

 これにより魔導師側が今できることは危害を加えうる人間の妨害のみということだ。

 そして二つ目。人間側が隣国と同盟を結んだことだ。相手が人間国家ならまだしも、魔導師国家、その名もジアス。魔道士間の攻撃は禁止されていない。

 向こうの戦略としては人間を盾にしつつ、こちらへの攻撃。こちらは防戦一方の状況にならざるを得ず不利な展開になる。

 しかし、ハルさんならこの窮状を打破という。彼女は人間と魔導師を正確に区別し精密な攻撃が可能なのだ。


「あっ、そうだ。実は君に安全確保以外に重要な任務を任せようと思っていたんだ。少々厄介だが引き受けてくれるよな」


 昨日の宴の時とは違い、いかにも上官という言動だ。というか、僕に重要なミッションか。大丈夫だろうか。

 後方の魔物対策でさえ不安が残るのにさらに追加でとなると心中お察しください。

 その後、作戦内容を聞いてさらに仰天した。なんと人間側に拉致されたリサラス暫定市長を救出せよというものだった。

 なんとも違和感しかない。彼女の言い様から市長は魔道士だろう。ではなぜ、人間より優れている種族が拉致されるのか。そしてそれを一介の人間に依頼するのか。

 しかし、雰囲気的に断ることは出来ない。僕は渋々承諾した。

 そして両ミッションは今日から行うという。まずは後方からの魔物の対処。その間に偵察部隊が敵側の内情把握をし、ハルさんには複数人を連れてジアス周辺に向かってもらう。そこで不審な動き、つまりリサラスの人間と接触しようと試みたものを片っ端から殲滅する。(魔道士への攻撃は可能である)

 そして作戦が決行された。それぞれが自身の任務を行うため所定の位置に着く。

 僕らの前には既に多くの魔物が群をなしていた。だがその光景はつかの間のものだった。様々の種類の魔法陣が、魔法がそれぞれの魔物を襲い、瞬間に消えてゆく。

 それでも後ろから絶えず魔物は流入してくる。魔法を使用するにも体力を必要とするし、なにより連続して発動することができない。それに加えなかには魔法攻撃に耐性を持つものもいる。

 こういうのはよくある話だ。だから人間(物理攻撃)を必要としていたのだろう。だが残念だったな。僕は弱い……。


 ハルさんとの特練の成果か、魔物を前に怯むことはない。何せ今相手にしているのはヴァンピットという、吸血ウサギなのだから。


 ……。くっ、はっ、とやー!


 ふぅー、メンタル的には圧勝である。フィジカル面ではどうか。互角あるいは向こうの方が優勢かもしれない。


「なるほど。ハルの下にいる聞いていたから、大層腕の立つ格闘家なのだと思っていたら……。ただの異星人か」


 サウナさんは大袈裟に肩を落とし、左右に首を振っていた。役に立てなさそうなことは分かっていたが、実際に面と向かって言われると堪えるものがある。


「仕方ないです。この世界に来て間もないのでしょう。これから強くなればいいのです」


 有り難きお言葉。僕は戦いの中で強くなる男、ここでサウナさんの言葉に甘えてこの場から逃げることはしたくない。何とかして倒す手立てを見出さなければ。

 そのためには先ず敵を知ること。相手の攻撃手段を知らずに防衛、反撃など出来るわけないのだ。


「まずは余計な動きを減らしましょう。見ている限り動作一つ一つが大袈裟過ぎます。これでは隙だらけです」


 先程から腕と腕との間を掻い潜って攻撃を仕掛けてるくなとは思ってはいた。動きが大きければ威圧感もあるし見栄えも良いと思っていたが、実践においてはまず勝つことが優先だ。


「それと、数を打てばいいという訳では無い。無駄な体力を消耗してしまうだけでなく、カウンターを受けやすくなる。しっかりと相手との間合いを見極め、動きをとらえるのだ」


 彼女が慕われている理由がわかった。これほど的確に弱点を指摘してくれるなら上達も早くなるだろう。皆に慕われる上官であることがよくわかる。

 どこぞのメンタルブレイカーとは違ってな。


 それから小一時間ほど指導されたおかげで、易々とヴァンビットを倒すことができるようになった。サウナさんにまじ感謝。


 日が西へ傾きかけた頃、本日の任務は終了となった。

 一度拠点に戻り偵察組と合流し、状況を把握する。可能なら今夜夜襲をしかけることになっている。


「早くもジアスの魔導師と思われる者が、敵陣に侵入している模様。また、鈴蘭村長はサイゲル国立図書館にて信号を確認致しました」


「なるほど。あまり時間はないようだな」


 サウナさんは腕を組み目閉じ、考えを巡らせる。それから何かを良策を思いついたのか、目を見開くやいなや、今度は首を傾げる。


「残念だが、最終手段を行使するしかないようだな。ユカゲは教会に連絡を、ユアリは()()()にコンタクトをとってくれ」


 全体に指示を出すと僕の方に近づき、


「君の戦闘技術に関してはあてにしていないが、君には期待している。本日はヴァンビット討伐の任務で疲労が溜まっているだろう。早く休むがよい」


 それから今一度皆のほうに振り返り、


「明日から本格的に任務を開始する。ただ、教会からの許可が下りるまで数日はかかるであろうからくれぐれも気を付けるように。それでは本日は解散」


 こうして僕らはそれぞれが自室に戻り明日からの計画に思いをはせるのであった。

最後までお読みいただきありがとうございます。


いつものことなので、投稿間隔についての謝罪は致しませんw


まあ、また半年ごろになるかもしれませんがお待ちいただければ…。


それではまた次回もお楽しみに!

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